「ご冥福をお祈りします」は死後の幸福を祈るお悔やみの言葉
新人
上司
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「ご冥福をお祈りします」は、亡くなった方の死後の世界での幸福を祈ったり、死後の世界に無事に行けますように、と祈ったりする際に使われる言葉です。
誰に向けて使う言葉なのか、使って良い場面、などをおさえておくことが大事です。誰に対しても使える言葉ではないため、基本をおさえておきましょう。
「ご冥福をお祈りします」が使用できない場合には、類語や言い換え表現が役立ちます。会話の場合、メールの場合、電報の場合など、シーンごとの例文も参考に上手に活用してみてくださいね。
・「ご愁傷様でございます」
・「哀悼の意を捧げます」
「ご冥福をお祈りします」の正しい意味や使い方
ここでは、「ご冥福をお祈りします」の正しい意味や使い方について詳しくご紹介します。言葉の意味を理解していないと使い方を間違えてしまうかもしれないので、しっかりと確認しておきましょう。
正しい意味を理解しておくと、より丁寧な表現や思いやりのある表現ができるようになりますよ。亡くなった方の信仰している宗教も関係するため少し複雑ではありますが、使用できる場面を整理しながら覚えてみてくださいね。
「ご冥福をお祈りします」の意味
「ご冥福」は、「冥福」に「ご」を付けて丁寧な表現にしたものです。
「冥」という漢字には、暗くて見えない、闇などの物理的な暗さが関係する意味から、道理に暗い、心の奥底、死後の世界を表す”あの世”という意味までさまざまにあります。また、神や仏に関することを意味する場合も。
「福」という漢字はよく使用されているので、ご存知の方も多いでしょう。幸せ、幸運、運が良い、裕福なこと、などの意味があります。
この二つの漢字を組み合わせた「冥福」は、意味も二つの意味が重なりますが、この場合の「冥」は死後の世界の意味が主です。つまり、死後の世界での幸せ、死後の幸福という意味で使われています。「みょうふく」とも読みますので、合わせて覚えておきましょう。
また、「冥福」には、仏事に関する意味が含まれる部分もあり、死後の幸福だけにとどまらず、死後の幸福を祈って仏事を営む、という意味もあります。
「ご冥福をお祈りします」は、死後の世界での幸福を祈っています、という気持ちを伝えるときに使う言葉です。
また、ニュアンスは少し異なりますが、亡くなった方が死後の世界に行く上で無事に行けますように、という意味を含めることもできます。
「ご冥福をお祈りします」の使い方
「ご冥福をお祈りします」の意味を詳しく見てみるとわかるように、死後の世界での幸福を祈っています、というのは、死後の世界へ行く人、つまり亡くなった方へ向けた言葉です。
死後の世界へ無事に行けますように、という意味も思い浮かべてみるとわかりやすいでしょう。
本来は亡くなった方、故人に向けた言葉です。実際にお葬式などで挨拶を交わすのはご遺族の方々ですが、ご遺族の方に向けた表現にならないように注意することがポイント。
まだ生きている人に対して、死後の世界での幸福を祈っています、と言うのは不自然ですよね。どういう意味で言っているのか、状況から判断することはできますが、”言葉の意味をわからないまま使っている”と思われてしまうことも否めません。
かえって失礼な挨拶になってしまう場合もあるので、ご遺族の方への挨拶の際には言い方に気を付けましょう。
ご遺族の方との会話で使う際には、誰に向けた言葉なのかを示すために主語を含めて使うと、よりわかりやすく伝えられますよ。
例えば、「~様のご冥福をお祈りします」と「~様」と入れることで、誰に向けた言葉なのかがはっきりとわかりますね。
また、より丁寧な表現にするためには「お祈りします」の部分を「お祈り致します」にするのがおすすめ。
ほかには「お祈り申し上げます」という表現方法もあります。「申し上げる」という言葉は謙譲語のため、亡くなった方が目上の方で敬意を表したいときなどに役立つでしょう。
ただ、「ご冥福をお祈りします」という言葉は、どちらかと言えば、お悔みの手紙や弔電、弔辞、など文章の中で役立つ言葉です。そのため、実際に面と向かって会話の中で使う表現としては使いづらい部分もあるかもしれません。
言いづらいときや、ご遺族の方に直接会って挨拶をする場合には、一般的な「お悔やみ申し上げます」という表現の方が良いでしょう。
「お悔やみ」は、「悔やみ」に「お」を付けて丁寧な表現にしたもの。「悔やみ」の直接的な意味としては、悔やむことや後悔などですが、人の死を悲しみ弔う(とむらう)、という意味もあります。
~様が亡くなって悲しみいたんでいる、という気持ちを伝えることができるでしょう。
「ご冥福をお祈りします」という言葉が故人に向けたものであるのに対して、「お悔やみ申し上げます」はご遺族に寄り添った表現でもあります。
亡くなった人がいなくて悲しい、という言い方は亡くなった人に対してもかけられる言葉ですので、故人とご遺族の両方に向けた挨拶ができるでしょう。
「ご冥福をお祈りします」を使ってはいけない場面とは
「ご冥福をお祈りします」には、誰に向けた言葉なのかを理解して使うという注意点がありますが、それ以外に宗教にまつわる注意点もあります。亡くなった方の信仰している宗教によって、使って良い場合と使ってはいけない場合がありますので、あらかじめ意識しておきましょう。
例えば、キリスト教、神道、浄土真宗などの葬儀の席では使用しない、などのマナーが挙げられています。少しデリケートな事柄ですが、死後の世界をどう捉えるか、が見極めのポイント。
「冥福を祈る」という概念がない場合には、意味のない声かけになってしまうほか、かえって失礼にあたる場合もありますので気を付けましょう。
亡くなった方の背景がよくわからないときや、「冥福を祈る」ことが失礼にあたる宗教の方の場合には、類語表現などで工夫しましょう。ただ類語表現の中にある「お悔やみ申し上げます」も宗教を選ぶ言葉のため、言葉選びはいずれの場合も慎重に行うことが大切です。
「ご冥福をお祈りします」を話し言葉やメール、電報で使う際のマナー・例文
ここでは「ご冥福をお祈りします」の例文を、個々のシーン別に紹介します。挨拶をするシーンに合わせて、適切な表現方法を心がけましょう。
「ご冥福をお祈りします」を話し言葉で使う際の例文
ご遺族と顔を合わせて挨拶をする場合には、短めの挨拶を心がけると良いでしょう。親しい人が亡くなった状況では、いつも通り会話をすることも負担になるときがあります。
そのようなご遺族の気持ちを察して、気を遣わせないようにすることも大切です。伝えたい気持ちだけをシンプルかつ丁寧に述べましょう。
「~様のご冥福をお祈り致します。」
「~様にはお世話になりました、心からご冥福をお祈り申し上げます。」
「ご冥福をお祈りします」をメールで使う際の例文
メールの場合には、メッセージとして残るものですので、より慎重に言葉を選ぶことがポイント。件名はお悔みのメールだとわかる簡潔でわかりやすいものにしましょう。
改まった内容のため、多少長くなる場合もあるかと思いますが、「忌(い)み言葉」などを使わないようにくれぐれも気を付けてください。「忌み言葉」とは、特定の場面でふさわしくない、縁起が良くないと思われるため避ける言葉です。
お葬式にまつわる忌み言葉には、「重ね重ね」「返す返す」「再び」などがあります。不幸なことが重なる、と連想できる言葉は避けるようにしましょう。
都合によりご葬儀に伺うことができず、メールでのお悔みとなり申し訳ございません。
略儀ながら失礼致します。
心より~様のご冥福をお祈り申し上げます。」
「ご冥福をお祈りします」を電報で使う際の例文
参列できない際には、電報でお悔やみの言葉を伝えます。取り急ぎの挨拶のため、通夜または告別式が終わるまでに送りましょう。間に合わないと失礼にあたるため、タイミングも大切です。
「~様のご逝去に際し、惜別の念を禁じ得ません。ご生前のご功績を偲び、心からご冥福をお祈りいたします。」
ご冥福をお祈りしますの類語・言い換え表現
「ご冥福をお祈りします」の代わりには、「お悔やみ申し上げます」のほか、「ご愁傷様でございます」「哀悼の意を捧げます」などの表現方法があります。「ご愁傷様」は、相手を気の毒に思う気持ちを表した言葉です。また、「哀悼」には、人の死を悲しみいたむ、という意味があります。
「ご逝去を悼み、謹んでお悔やみ申し上げます。」
「心からお悔やみ申し上げます。」
「この度はご愁傷様でございます。」
「この度は本当にご愁傷様でございます。誠に残念でなりません。」
「ご逝去の報に接し、心から哀悼の意を捧げます。」
「~様のご訃報に接し、心から哀悼の意を表します。」
「ご冥福をお祈りします」の英語表現とは
I pray for your soul
と表現できます。
「ご冥福をお祈りします」を使用した例文はこちらです。
⇒〇〇君のご冥福をお祈りします。
⇒〇〇にはお世話になりました、心からご冥福をお祈りします。
⇒〇〇様の突然の悲報に接し、驚いております。謹んでご冥福をお祈りします。
「ご冥福をお祈りします」は使用する場面に注意しよう!
「ご冥福をお祈りします」は、使える場面が限られるなど少し複雑な部分もありますが、シンプルに丁寧な気持ちを伝えたいときに役立つ美しい日本語です。適切なシーンを見極めて、言い換え表現も活用しながら、ご遺族の心に少しでも寄り添えるような別れの挨拶を心がけてみてください。