アライアンスとは、事業成長させるための企業間提携
ビジネス用語としてよく利用されるアライアンスとは、企業における事業をより成長させる為に、他の企業と業務提携、技術提携を実施し、ビジネスパートナーになることをいいます。
業界個人対企業ではなく、企業間での提携であり、2つの企業同士ということに限らず、複数企業がアライアンスを組むこともあります。
アライアンスの意味
会社員として企業で働いている中で、時々耳にする『アライアンス』という言葉。普通に生活している中ではなかなか出てこないので、どんな意味なのかわからないという人も多いことでしょう。ここでは『アライアンス』という言葉そのものがどんな意味をもつのか,どういう状態の時に使うのかをわかりやすくまとめてみました。
語源は英語のalliance
アライアンスの語源は英語で、アルファベットではallianceと表記し、『提携』『連合』『協力』『同盟』といった意味をもっています。その他にも『縁組み』といった意味で使われることもあります。
企業同士が協力し合えばそれはすべてアライアンス
個人対企業ではなく、企業同士で協力関係を結びビジネスパートナーになることをアライアンスといいます。ただし、どんな形態で協力しあうのかや、資本関係をどのようにするか等、具体的な形式に決まりはありません。
その為、進め方によっては買収や合併に発展することもありますので、アライアンスという言葉は慎重に使わなくてはいけません。
ただし、ビジネスでさらなる成功をおさめるうえで、各企業の得意分野の知識・技術を活かしてより発展する為にもアライアンスというものは必要不可欠で、それによりそれぞれの企業のビジネス規模も拡大させていくことができるのです。
アライアンスの目的
「御社の技術と弊社のこの技術を一緒にすると良さそうですよね、すぐやりましょう!」というように、簡単なイメージだけでアライアンスは組むものではありません。
どんな成果をあげた時点で第一段階の達成とするのか、その先どこを目指していくのか等、中長期的なところだけでなく、初期段階での目的もしっかりと掲げた上でアライアンスの締結を進めていく必要があります。その際は、お互いに譲れない条件を明確にしておくというのもとても重要です。
また、アライアンスの契約成立は数日で完了するものではなく、数ヵ月~数年かかることが通常であり、その間の企業内部の環境変化に対応することや、お互いの関係性を維持していくこともとても重要なプロセスになっていきます。
実際に企業同士がアライアンスした目的
それでは、実際にアライアンスを実施したことがある、これからする予定だという企業は、いったいどのような目的をもって契約を進めていこうとしているのでしょうか。
NTTデータ経営研究所がこれについて調査をしていましたので、10%以上を占める目的結果をピックアップし、簡単に以下にまとめてみました。
■既存市場での新しい製品・サービスを開発する為 41.2%
■マーケットシェアの拡大の為 36.2%
■新しい市場での新しい製品・サービスの開発をする為 34.6%
■国内外販路の拡大の為 18.9%
■コスト削減の為 18.4%
■新規技術開発の為 13.4%
■技術・知識・ノウハウ・人材の補完の為 18.2%
(データ引用元:2015年10月1日 NTT DATA:https://www.keieiken.co.jp/aboutus/newsrelease/151001/supplementing01.html#result0104)
企業がアライアンスしたいテーマ
これまでにアライアンスの経験がないという企業だけに限らず、既に経験済みの企業も含め、今後アライアンスを実施したいと考えられているテーマの中のTOP3は以下のようになっています。
1位.新しい市場での新しい製品・サービスの開発
2位.マーケットシェアの拡大
3位.既存市場での新しい製品・サービスの開発
(データ引用元:2015年10月1日 NTT DATA:https://www.keieiken.co.jp/aboutus/newsrelease/151001/supplementing01.html#summary)
この調査結果からも、売り上げの増加に直接かかわるテーマにおいてのアライアンスを多くの企業が検討しているということがわかるのではないでしょうか。
アライアンスの使い方・例文
アライアンスの意味やどんな目的をもって使われる言葉なのかはだいたい理解していただけましたか?それではここで、実際の会話の中ではどのような使い方をするのかを例文を使ってみていきましょう。
【アライアンスを結ぶ】
A社とアライアンスを結んで、新しい製品を開発しよう。
【アライアンスを組む】
B社とアライアンスを組めばマーケットシェアの拡大につながるだろう。
もちろん、アライアンスは「やりましょう」という言葉を交わすだけで出来るものではないので、企業間で契約を交わす際には『アライアンス契約』『アライアンス契約書』という言葉も多くでてきます。
アライアンスの種類
冒頭でもお話したように、アライアンスは企業同士で協力関係を結びビジネスパートナーになることであって、形態に決まりはありません。そこでここではアライアンスにはどんな種類があるのか、主要なものをご紹介します。
業務提携
複数の企業が、技術開発、資材調達、販売促進、物流面などにおいて協力関係を築くことをいい、資本の移動は発生しません。
資本提携
企業同士がお互いに株式を持ち合い、資本的に協力関係を結ぶことを資本提携といいます。お互いに支配権、経営権、拒否権が発生しない程度に実施することが通常となっています。
その他、業務提携と資本提携を同時に行う場合も多くあり、これについては資本業務提携といいます。
資本提携はお互いに株式を持ち合うことですが、一方の企業がもう一方の企業の株式を取得する場合には、資本参加という言葉を使います。
技術提携
複数の企業がそれぞれの事業の独立性は維持したままで、事業をするにおいて重要な技術をお互いに提供しあう企業関係になることをいいます。片方の企業はもう一方の企業に有償または無償で技術や生産におけるノウハウなどを提供することもあれば、共同で新しい技術開発に取り組む場合もあります。
他社の技術、優秀な人材、ノウハウを提供しあうことで、さらに高度な技術開発、開発速度のUPなどが実現するメリットがあります。
産学連携
民間の企業と高専や大学がお互いに強力しあい、共同で商品開発をしたり、研究をしたりすることを産学連携といいます。その他、学校の所有する特許の使用を進めたり、技術の教育をすることもあります。
特に、研究資金が限られる大学によっては、技術を連携することで研究資金の確保ができるというメリットもあり、学生の知識の向上にもつながります。
オープンイノベーション
まったく新しい製品やサービスを生み出すこと、社会を大きく揺るがすほどの変化を生み出すことを『イノベーション』
といいます。
このイノベーションを、一つの企業内だけでなく、大学や研究機関、起業家など、外部からの技術やアイデアを取り入れて新しいものを開発することをオープンイノベーションといいます。同業種の機関だけでなく、異業種の機関と共同で実施されることも少なくありません。
航空業界でのアライアンス
一般企業と航空業界ではアライアンスによって得られるものはちょっと違っており、運航面やサービスの面で相互に提携することが主流となっています。
そして、新たにアライアンスを組むということではなく、すでに『Star Alliance』『onworld』『Sky Team』という3つのアライアンスが存在しており、今ではほとんどの主要航空会社はいずれかのアライアンスに属しているといわれています。
自社の運行の中だけでは新たな路線を展開をするのが難しい場合でも、アライアンスを組んで共同運航という形をとることで、世界中に路線を拡大することができるというのが大きなメリットです。
メリットがあるのは航空会社だけではありません。利用者側も、アライアンスを組んでいるチェックインカウンターを両方利用することができたり、相互のラウンジを使える、マイレージの相互利用ができるなどの利点があります。
アライアンスの関連語
ビジネス用語の中には、アライアンスと似たような意味合いをもつ言葉やアライアンスに関連する言葉がいくつかあります。ここではいくつかピックアップして解説していきます。
M&Aとアライアンスの違い
アライアンスと同じような意味合いで使われがちな言葉に『M&A』というものがありますが、この二つには大きな違いがあります。
アライアンスは提携を結んだ各企業の独立性は保たれたままで実施されますが、基本的にM&Aでは合併や買収が実施され、複数の企業が一つになることをいいます。
ただし、業務提携や資本提携といった、経営を統合しないアライアンスといわれる形式をとる場合にもM&Aが使われることがあり、アライアンスを実施した後、買収や合併といったM&Aの形式に移行する場合もあります。
コラボレーションとアライアンスの違い
『ファッションブランドとアーティストのコラボレーションで作られたグッズ』『アニメとのコラボレーションが実現』といったように、耳にすることが多いコラボレーションは、コラボという略語でも私達の間でも幅広く使われている言葉ですよね。
一見するとアライアンスと同じような意味に思えますが、この二つの言葉には違いがあります。
こちらの記事で解説をしているアライアンスが企業間の提携というものを概念としているのに対し、コラボレーションは、企業間に限らず、広い分野で個人や団体が共同事業を実施することを概念としているのが特徴です。
関係失敗を表すミスアライアンスとは?
企業同士で協力関係を結びビジネスパートナーになることをアライアンスといいますが、そのすべてがうまくいくわけではなく、中には関係を失敗することもあります。これをミスアライアンスといいます。
本来ミスアライアンスとは『不釣り合いな結婚』という意味をもっていますが、不釣り合いな男女が一緒になるとうまくいかないということと同じように、不釣り合いな企業同士が一緒になるとうまくいかないということからミスアライアンスということばが使われるようになったといわれたいます。
あなたの会社がもしアライアンスするなら?
企業がビジネス社会で生き残っていくのはとても大変なことです。世の中で大企業とされている企業や一部上場企業も経営破綻をすることがあるのも不思議ではありません。
そんな中で実施されるアライアンスは他企業の問題ではなく、あなたが勤めている会社で実施される日がくるかもしれません。
もしそうなった場合は、「うちの会社は危ない…」と悲観的になるのではなく、自社にはどんな技術や知識が不足していたのか、自分にはどんなことができるのかを前向きに、経営者視点で考え、新しいことができる喜びや期待としてとらえてみましょう。