『阿鼻叫喚』とは『泣き叫ぶほど惨たらしく悲惨なさま』という意味
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『阿鼻叫喚』は、紛争地域、災害現場、事故現場などの悲惨な状況を表す際に使われる言葉で、新聞などのメディアで目にすることが多いです。しかし、冒頭の会話のように、事故や災害以外の日常において悲惨な状態においても使われます。
ここでは、『阿鼻叫喚』の正しい意味や使い方のほか、由来、類義語、対義語、英語表現についてもわかりやすく解説します。
『阿鼻叫喚』の由来
『阿鼻叫喚』は『あびきょうかん』と読み、『阿鼻地獄』『叫喚地獄』の様子を表した言葉です。
地獄は、現世で悪いことをした人が死後に行くといわれている、仏教においての世界観のひとつです。地獄は、八大地獄と八寒地獄があり、『阿鼻地獄』『叫喚地獄』は八大地獄に分類されます。
『阿鼻地獄』は、現世でもっとも大きな罪を犯した者が落ちるところで、地獄の中で一番激しい苦しみを受ける場所とされています。
『叫喚地獄』は、現世で悪行を犯した者が落ちるところで、亡者が熱湯や猛火に入れられ苦しみ泣き叫ぶ地獄です。
苦しみ泣き叫ぶ二つの地獄の名前をあわせ、『泣き叫ぶほど惨たらしく悲惨なさま』を『阿鼻叫喚』と呼ぶようになったとされています。
『阿鼻叫喚』の意味
本来は、戦争で思わず目を覆いたくなるような状態や、災害や事故で多くの犠牲者がでた際に、人々が泣き叫び、苦しんでいるさまを表す言葉です。
しかし、現代では、生活苦で泣きたくなる状況に追い込まれている人、経済的に難局に陥った場合などに、悲惨さを代用する言葉としても用いられています。
『阿鼻叫喚』の使い方・例文
災害などの現場を見た際に『阿鼻叫喚』を使うのは想像ができますよね。しかし、それ以外にはどのような使い方をするのかイメージしにくいと思います。そこで、いくつか例文を用意したので、場面を想像しながら読んでみてください。
■保有していたA社の株が、倒産により8,000円から1円にまで下落した。まさに阿鼻叫喚の大暴落といえるだろう。
■大手チェーン店が、コロナの影響で大量閉店の阿鼻叫喚!高騰するマスクや消毒薬でお金が必要なときに失業に追いやられた人の生活はどうなるのだろうか…。
■コロナ渦で常に満床の病院の阿鼻叫喚な状況はいつまで続くのだろうか。
『阿鼻叫喚』の類語・言い換え表現
『阿鼻叫喚』の類語にあたる四字熟語は『地獄絵図』です。そのほかの言い換え表現として使える言葉は次のとおりです。
・修羅場
・おぞましい光景
・悲惨な状態
・悲惨な光景
・ひどい状態
・まるで生き地獄
・この世のものとは思えない光景
・地獄さながらの光景
・この世の地獄 など
『阿鼻叫喚』の対義語・反対語
『阿鼻叫喚』とは反対の意味になる四字熟語には、『安楽浄土』『極楽浄土』があげられます。
【安楽浄土(あんらくじょうど)】
苦しみのない安楽な世界。
【極楽浄土(ごくらくじょうど)】
すべての苦しみから解放され、極めて安楽な世界。
『阿鼻叫喚』の英語表現
『阿鼻叫喚』を英語で表現する場合は、『泣き叫ぶ』『苦しい』といった意味の英語を使います。
もっとも使いやすいのは、『agonizing cries=苦悩の叫び』です。そのほかには、『苦痛や恐怖などで叫び声をあげる』の意味をもつ『screaming』があります。
『阿鼻叫喚』は状況を見極め正しく使おう
『阿鼻叫喚』は、地獄を見ているかのように悲惨な状況下で使う言葉です。たとえば、失業して明日の生活に不安を抱えている人に、「今月は残業代が稼げなくて阿鼻叫喚」と言えば「それぐらいで何を言ってるのか?!」と怒りをかってしまうでしょう。
あなたが目にしているところがどんな状況になっているかを正しく理解したうえで『阿鼻叫喚』を使うようにしましょう。