「貴殿」とは「丁寧な『あなた』」
貴殿におかれましてはご清栄のこととお喜び申し上げます
ほとんどは文中でしか見かけない表現ですよね。それもビジネスレターの定型文でしかお目にかかれません。会話で使っているのは時代劇かアニメのキャラくらいですよね。
「貴殿(きでん)」とは二人称代名詞です。「あなた」や「君」のように目の前の相手を呼称する際に用いられます。古くから同等以上の男性を呼称する表現として使われていきました。「あなた」よりも敬意のある表現です。しかしながら、現在では会話で使われることはまずありません。
「貴殿」は女性に使える?
「貴殿」は江戸時代には武士が目上以上の武士、後には同等の武士を呼ぶ表現として用いられました。歴史的背景から考えても「貴殿」は同等以上の男性に対する人称代名詞です。
基本的には「貴殿」は男性用の表現と言えます。とはいえ、定型文でしか使われない現代においては、相手の性別はあまり気にしなくてもいいかもしれません。
現に不特定多数に送られるビジネスレターやビジネスメールで、「貴殿」と呼称されたものを受け取ったことがある女性も多いでしょう。
あまり使われませんが、男性用の「貴殿」に対して女性用の「貴女(きじょ)」という呼称もあります。
「貴殿」の類語
・貴女(きじょ) ・貴兄(きけい) ・貴台(きだい)
「貴女」とは
「貴女」は「貴殿」の女性バージョンとして使うことができます。「貴殿」と同じく文中でしか使われない表現です。
「貴女」と書いて「きじょ」と読みますが、「あれっ?」と思った人も多いでしょう。
「貴女」には「あなた」という読み方もあります。この場合、男性を表す「貴方(あなた)」と対をなす言葉です。ひらがなで書かれることも多いですよね。
いずれにせよ、現代では「あなた」はそれほど丁寧な表現として使われていません。文中で「貴女(きじょ)」つもりで使ったとしても「あなた」と読まれてしまう可能性もあります。
そのため受け手の性別関わらず「貴殿」を使うのが無難かもしれません。
その他の類義語
「貴兄」も「貴殿」と同じく同等、目上の人に対して使うことができます。「貴台」は「貴殿」よりも敬意の高い表現。より改まった文章に使います。いずれにしても文中でしか使わない表現です。
「貴殿」の使い方・例文
・貴殿におかれましてはご清栄のこととお喜び申し上げます ・貴殿ますますご健勝のこととお喜び申し上げます ・貴殿のご活躍とご健勝をお祈り申し上げます
ビジネス文書冒頭の挨拶文に「貴殿」はよく使われます。その後の文中でも引き続き「貴殿」を使っても、名前や他の人代名詞に置き換えても構いません。
「貴殿」をビジネスシーンで使いこなす
「貴殿」を使う場合はほとんどが定型文です。自分で一から文を作る必要はないので、一度覚えてしまえばビジネスでも使っていける表現でしょう。
日常会話では使われないので、ビジネス文書専用のワードと思っておけば大丈夫です。