散見とは『散らばっているものが目に留まること』
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誰もが一度は見たことあるかもしれない『散見』という言葉ですが、詳しい意味は知らないという人が多いのではないでしょうか?今回は散見という言葉の意味だけでなく、間違った使い方や英語についても紹介します。
散見の意味をチェック
『散見』の漢字を紐解くと、「散らばっているものが見える」と読むことができます。散見の意味は『いろいろな場所でところどころ目に触れる』『何度か見える』です。
ちなみに、散見の主語は人物でなく物が対象となります。
一見すると視覚だけを指しているように見えますが、そうではありません。例えば「賛成意見が散見する」の場合は耳を媒体としています。ほかにも、「マイナス思考が散見された」といった視覚や聴覚に定義付けられていない抽象的表現でも、散見という言葉を使用できます。
散見の間違った使い方について
散見は細かい意味が分かりにくい言葉です。そのため、間違った使い方をしていることをたびたび見かけます。
例えば、「3回も誤字が散見された」というように、回数を限定してしまう場合です。散見は回数を明確に表現しておらず、「何度か」「ちらほら」目に映ることをいいます。そのため、回数を指定してしまうのは間違いです。回数だけでなく「多く」や「たくさん」といった言葉とともに使用するのは二重表現になってしまいます。
ビジネスメールでよく見かける「散見できる・できない」と使用するのも本来であれば間違いです。散見は偶然のできごとであり、意志動詞とは異なります。意志動詞とは人が自分の意思で操作できる行動をいいます。自発的に行うわけではないので「できる・できない」という表現は間違っているのです。
散見されるは一般的?
頻繁に使われることがある「散見される」ですが、本来は「散見する」と使用するのが正しい使い方です。「散見される」の意味を分解すると「目に触れられる」「見えられる」となり、重複してしまいます。
そもそも散見は自動詞として考えられており、目的語をとらない自動詞が「散見される」といった受動態として扱われることに違和感を抱く人もいます。
しかし「散見される」という言葉は定着しており、日本語活用辞典においてもサ行変格活用の未然形に助動詞が付いた形と定義されています。
散見の対義語とは?
散見は「ちらほら見える」といったあいまいな言葉のため、明確な対義語はありません。「滅多に見かけない」といった「稀有」が、対義語に近い表現です。「稀有」の読み方ですが「けう」だけでなく「きゆう」とも読みます。また、古語において「稀有」はとんでもないという意味もあります。
ちなみに同じ読み方の「杞憂(きゆう)」と混合しやすいので注意が必要です。
散見の英語表記
『散見』に合致する英語はなく、日本語として使われている『散見』を英語へと翻訳はできません。参考までに、近い意味合いの英熟語を紹介します。
『be found here and there』散在
『here and there』あちこち
『sometimes see』時々見る
上記、英熟語を使用した例文は下記になります。
Such cafes are to be found here and there.
あのカフェはあちこちであります。
To walk about here and there.
あちこち歩き回る。
I sometimes see this in the home.
私は家で時々見かけます。
散見と見受けるの違い
散見と似た言葉として見受けられる(見受ける)が用いられることがあります。見受けられるとは「見て感じること」「目に留まる」という意味合いがあります。後者は見て推測した意味になり、見たことによる主観も含めます。前者の意味は、見た際記憶に残るといった自然に目に入った意味です。
つまり、散見とはちらほら目に映った様子であり、主観や感情は混じえません。
散見の使い方・例文
それでは、散見を使用した例文を見てみましょう。
先輩
新人
上司
新人
散見はビジネスでも使用しやすい言葉
『散見』は、ビジネスで使用しやすい言葉といわれています。結果の良し悪しに関係なく表現できるからです。例えば、類義語の往々という言葉は悪い印象が強い表現になります。また「見受ける」の場合、主観が混じるため事実を伝える際には適しません。散見の意味をしっかり理解して、日常生活に生かしていきましょう。