要領には3つの意味がある
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新人
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日頃、使い慣れた『要領』という言葉ですが、意味をきちんと理解していない人も多いのではないでしょうか。要領には、3つの意味があります。それぞれの意味について、次から解説していきます。
要領とは『手際や立ち回り』
要領という言葉は、日常生活の中でもよく使われる言葉です。「あの人は要領がいい」、「人柄はいいけど要領が悪い」などと聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。このように、要領がいい、要領が悪いと使う時の要領の意味は、『手際や立ち回り』を指しています。
要領とは『物事の要点』
要領には、『物事の要点』という意味もあります。要領を得ると使う場合であれば、物事の要点がよく分かる、重要なポイントを理解するという意味合いです。とはいえ、要領を得ると使う機会は多くありません。「市役所職員の要領を得ない説明に、住民の不満が爆発した」といった使い方が一般的です。
要領とは『物事をうまく処理する方法』
要領にはほかにも、『物事をうまく処理する方法』という意味があります。『コツ』と言い換えてもいいでしょう。『要領を教える』といった使い方をします。
要領の意味をチェック
要領には、『手際や立ち回り』、『物事の要点』、『物事をうまく処理する方法』の3つの意味があります。
要領の大まかな意味合いがわかったところで、次に要領の語源や要領が使われている熟語の使い方をチェックしましょう。
故事成語『要領を得ず』とはどんな意味?
要領は、中国の古典に書かれている逸話をルーツとする「故事成語」から生まれた言葉です。二十四史のひとつ「漢書」の一説には『不得要領』が登場します。
皇帝・武帝の命によって、同盟を説くために大月氏国(東アジア、中央アジアに存在した遊牧民族の国)まで赴いた前漢時代の政治家・張騫。わざわざ訪れたかいもなく、協力を得ることができなかったことを武帝に報告する際に「月氏の要領を得ること能わず」という表現を使っています。『不得要領』は、この一文に由来した言葉です。
『不得要領』を日本語読みしたものが、『要領を得ず』という故事成語です。物事の要点がはっきりしないことを意味します。
要領が使われている熟語の使い方
要領が使われている四字熟語『不得要領』は「ふとくようりょう」と発音し、『現場監督の不得要領な説明に、職人から不満の声が聞かれた』といった使い方をします。
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要領の英語表記
要領を表す英語は複数あります。
『手際、立ち回り』という意味の『clever』
『物事の要点』という意味の『important point』
『物事をうまく処理する方法』、『コツ』という意味の『get the hang of』
それぞれ例文とともに紹介します。
He is clever.
彼は要領がいい
I conveyed an important point to her.
私は彼女に要領を伝えた
You will find the task very easy once you have got the hang of it.
要領を掴めば仕事は簡単だ
ただし、「He is clever」など、手際や立ち回りの良さという意味で「clever」を使う時には注意しましょう。なぜなら、使い方や文脈によっては誤解される場合があるからです。
cleverには、「巧妙」や「ずる賢い」というニュアンスがあり、素直に褒め言葉として受け取ってくれる人がいる一方、皮肉や当てこすりと捉える人がいる可能性もあります。
要領と方法の違い
「要領を教える」といった使い方をする場合、よく似た意味合いの言葉に「方法」があります。方法は、物事をすすめるためのやり方や手立てといった意味があります。使い方は、「操作方法」「この方法で資料を作成する」などです。
一方、要領には物事を上手く行うための方法やコツという意味があります。数ある方法の中でも、より物事を上手く処理できる手立てが要領というわけです。
要領の使い方・例文
日常会話やビジネスシーンでの会話の際の、要領の使い方を紹介します。
先輩
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先輩
新人
要領の意味を知って正しい使い方をしよう
要領は、決して珍しい言葉ではなく、日常会話にも多く登場する言葉です。要領には3つの意味があり、意味によって使い方が変わります。
そして、意味によって英語訳もまったく違います。ビジネスの場面で英語が求められるケースは、今後ますます増えていくでしょう。言葉の意味を正確に理解しないと、正しく英語に訳すこともできません。この機会に、言葉の深い意味と正しい使い方を覚えましょう。