従前とは『今よりも前』
上司
新人
上司
上の会話のように『従前』という言葉をあまり聞いたことがない人も多いでしょう。この記事では、従前の意味や「以前」との違い、正しい使い方を例文と一緒に解説していきます。それぞれの言葉を理解して、適切なシーンで使用できるようにしておきましょう。
従前の意味をチェック
従前(じゅうぜん)とは『今よりも前』『これまで』『以前』などを表す言葉です。「従前の」「従前から」「従前どおり」などと使用されます。「前」という漢字が使われているため「なんとなく今よりも前のことかな」と感じている人も多いでしょう。
よく見かける場所として住民票が挙げられます。住民票に記載されている「従前の住所」という言葉は、「以前の住所」という意味で書かれているためこれまでに住んでいた住所を記入する場所になるわけです。
カジュアルシーンではあまり使わない
前述のとおり、従前という言葉は日常会話ではあまり使用されません。おもにビジネスシーンやニュース、お役所仕事で使われる言葉です。硬い印象があるため、公的機関が発表するスピーチや文書などで多く用いられています。
従前はカジュアルシーンには不向きな言葉です。不向きというだけで決して間違いではありませんが、もしも「友達との会話で使ってみよう」と思っている人は使うべきシーンが違うため注意してくださいね。
従前の対義語は?
従前の対義語としては「今後」「向後」が挙げられます。
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今後:これから先、現在よりも後
向後:これからのち
「以降」や「以後」は「以前」の対義語として考えられるため留意しておきましょう。
新人
従前の英語表記
従前という日本語に最適な英語表記はありません。英語圏では次のような表記で従前を表しています。
【previous】
Land location pictures or parcel area survey drawings pertaining to the previous land.
従前の土地に係る土地所在図又は地積測量図。
【formerly】
Such was formerly not the case.
従前はこうでなかった。
【the past】
According to the past, I will prohibit photography in future.
今後も従前どおり、写真撮影を禁止しています。
従前と以前の違い
類義語として「以前」が挙げられます。前述のとおり、従前とは『以前』のことでしたね。両者にはほとんど違いがないため、同じ意味の言葉として使われているのが現状です。ただし、ほんの少しだけニュアンスが異なるためうまく使い分けられるようにしておくことをおすすめします。
以前とは「ずっと昔、その時から前のこと」を意味しています。従前は『今よりも前』のことを表しているのに対して、以前は「ある時点を含んで、それよりも前のこと」です。つまり、従前には「今(現在)」が含まれていますが、以前には今は含まれておらず、過去のある出来事を基準にそれよりも前のことをいいます。
普段これらの言葉を使って話をする際にここまで深く考えていないことが多いですが、ニュアンスの違いを理解して使い分けてみましょう。
従前の使い方・例文
それでは、従前という言葉を実際に会話で使うとどうなるのか、例文をあげてご紹介します。
新人
上司
上司
先輩
新人
従前の使い方を正しく理解しておこう
この記事では『従前』という言葉の意味や正しい使い方を解説しました。従前はビジネスシーンやニュースなどで使われる言葉のため、なかなか聞き慣れない人も多いかもしれません。市役所などの公的機関の書類で『従前』と見かけたら「今よりも前のことを意味しているんだな」と思ってくださいね。
また従前はカジュアルな場面には適しません。もしも軽いニュアンスで使用したい場合には「以前」を用いておくと良いでしょう。