憂慮とはどんな言葉?
先輩
新人
先輩
憂慮は日常会話で使用する機会がまずない言葉です。
とはいえ、新聞やテレビのニュースなどにはよく登場するので、憂慮を耳にした経験がないという人はほとんどいません。
でも、言葉を聞いたことがあるのと使えるようになるのとでは大きな差があります。半端な知識で憂慮を用いると新人君のように笑われてしまいます。
社会人として恥ずかしくない国語力を身につけるため、しっかり学んでおきましょう。
憂慮の意味とは「心配すること」
憂慮は心配しているときに使う言葉ですが、ただ「心配すること」だけだとニュアンスが足りません。
正しくは、次のような意味になります。
憂慮は「人が死ぬ」「誰かの人生が壊れる」「会社が倒産する」「国家が崩壊する」など。このままだと、最悪の状況すら想定されるというときに用いる言葉です。
冒頭の新人君のように、ありふれた心配事ごときで憂慮を使用するのは一般的ではありません。
憂慮の語源・由来
憂慮は由来になるような故事をもたない言葉です。ワードを分解して語源を考えてみましょう。
まず、「憂」とは「案ずる」「心配する」という意味の漢字です。
そして、「慮」は「思いめぐらす」「よくよく考える」という意味を持ちます。
「憂」と「慮」を組み合わせると「心配して思いをめぐらす」や「案じてよくよく考える」という意味合いになります。
憂慮の読み方は「うりょ」?
憂慮の読み方は「ゆうりょ」です。「うりょ」ではないので、間違えないように気をつけてください。
憂慮の「憂」は、憂鬱(ゆううつ)や取り越し苦労を意味する杞憂(きゆう)の「ゆう」。
「慮」は、遠慮(えんりょ)や配慮(はいりょ)の「りょ」。日常的に耳にする機会の多い言葉と同じ音なので、組み合わせて覚えてしまいましょう。
憂慮の使い方・例文
憂慮は、心配するべき事態がすでに始まっているときに使う言葉です。もう起こっている事態が、これ以上悪くなってしまうのではと危機感を覚えているのが憂慮になります。
新人
上司
「憂慮する」は、危機感を持ってとても心配しているという意味です。
新人
先輩
新人
上司
憂慮の類義語「懸念」と「杞憂」
懸念は、未来に起こるかもしれないトラブルを予想して「こうなるかもしれない」「ああなったらどうしよう」と心配すること。
まだ心配するべき事柄が起こっていない時点でもう不安になっているのが懸念です。
一方、杞憂の意味は「とりこし苦労」。
心配しなくても大丈夫なのに不安になって、あれこれ考えるのが杞憂です。
懸念と杞憂の「心配する」というニュアンスは憂慮と同じですが、異なる部分もあるので注意してください。
懸念と杞憂について、くわしくは下記の記事で紹介しています。
「懸念」の意味と使い方とは?類語との違いや正しい使い分けを解説!
漢文由来の杞憂とはどんな意味?「杞憂に過ぎない」の使い方を例文で!類語や英語も詳しく解説!
憂慮の対義語
憂慮の対義語は「安心」「安堵」「期待」「安穏」です。
安堵(あんど):気がかりがなくなって安心すること
期待:ある事柄が実現するだろうとあてにして心待ちにすること
安穏(あんのん):心が静かで穏やかなこと
これらは「不安がない」もしくは「不安が取り除かれて、すでになくなっている」というときに使う言葉です。「いま不安を感じていない」という共通点がありますね。
憂慮の英語表現
憂慮を英訳するときには、次のワードを使ってください。
anxiety:心配、不安、心配事
concern:関心事、懸念、心配
「anxiety」は、将来のまだどうなるかわからない事柄に対する心配や不安を表す単語。
一方「concern」は、関心を持っている事柄についての不安を表現する語です。
憂慮はオブラートに包んだ言い方
ビジネスだと「ものすごく心配している」や「とても不安だ」とストレートに表現するのがはばかられるケースも出てきます。
たとえば、仕事関係者に「あなたの会社の経営状態をめちゃくちゃ心配しています」なんて言ったら、相手が気を悪くしますよね。
そんなときは憂慮の出番です。憂慮を用いると直接的過ぎる表現を和らげ、遠回しに意図を伝えられますよ。
大人な表現が必要になる場面で憂慮を使用してみましょう。