渡りに船とはどんなことわざ?
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渡りに船は、ビジネスだけでなく日常会話でも使いやすいことわざのひとつです。
ただ、多くの現代人にとって、船に乗る機会は多くないでしょう。そのため、新人君のように、ことわざの文言から意味をイメージできない人がいても不思議ではありません。
ことわざの由来も含めて渡りに船について学び、社会人としての常識を身につけましょう!
渡りに船の意味とは「ちょうどよかった!ラッキー!」
渡りに船は、次のようにナイスタイミングでラッキーなことが起こったという状況を意味することわざです。
・困っているときに、天の助けのように問題を解決してくれる人や状況に恵まれること
「うそでしょ?」と思うようなタイミングで、ほしいものが目の前に現れるのが渡りに船になります。
渡りに船の語源・由来は「法華経」
渡りに船は、仏教の経典「法華経(ほけきょう)」に由来することわざです。法華経の中に、川の向こうに渡りたいとき、都合よく船があったというお話があり、それがもとになっていると考えられています。
昔は川に橋がほとんどかけられていませんでした。川を渡るためには、船で対岸に連れていってもらうか、歩いて渡れるところを探すかするしかありません。
人を雇って肩車で川を渡ってもらったり、台に乗って担いで運んでもらったりする場合もありましたが、いずれも大変な労力が必要になります。
どうやって川を渡ろうか考えているときに、船が通りかかったらとてもラッキーですよね。このことから、困っているときにタイミングよく助けとなるものに恵まれることを「渡りに船」というようになりました。
渡りに船の読み方は「わたりにふね」
渡りに船の読み方は「わたりにふね」です。「渡りに舟」と表記される場合もあります。
「船」は大きなものから小さなものまで幅広く含みます。一方、「舟」は人力で動かすごく小さなものを指します。
大きさこそ違えど、どちらも川や海を渡るものであることには変わらないので、両方の漢字が「渡りにふね」の字として使えます。
「渡りに船」の使い方・例文
「渡りに船」でもたらされる幸運に、自分の努力は一切関係ありません。ただ単に、ものすごく運がよかったことを意味することわざです。
そのため「努力して渡りに船を引き寄せる」というような使い方はしません。正しい使用法を例文でイメージしてみましょう。
先輩
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渡りに船の類語「地獄に仏」とはどんな慣用句?
地獄に仏は「じごくにほとけ」と読みます。
地獄のような危機的状況や苦難に直面しているときに、仏様のような思わぬ救い主に会えた喜びを表すことわざです。
渡りに船は、特に困っているわけではないけどさらに好都合になったという使い方もできました。それに対して、地獄に仏は困ったとき限定の慣用句になります。
「地獄で仏」や「地獄で仏に会ったよう」といわれる場合もあるので覚えておきましょう。
渡りに船のそのほかの類語
下記に紹介することわざは、好都合という意味合いや天の助けといったニュアンスをもっています。
・渡りに船の申し出
・地獄の地蔵
・地獄で舟
干天の慈雨(かんてんのじう):日照りに雨と同じ意味
闇夜に灯火(やみよのともしび):困り果てているときに頼りにできるものに出会うこと。強く望むものに巡り合うこと
闇夜の提灯(やみよのちょうちん):闇夜に灯火と同じ意味
数が多いので覚えるのが大変と感じるかもしれませんが、意味は同じものがいくつもあるのでそれほど難しくはありません。
ニュアンスごとにまとめて頭に入れていきましょう。
渡りに船の英語表現
渡りに船を英語で表現するときには、次の単語が使えます。
lifesaver:苦境を救ってくれる人
godsend:思いがけない幸運
「You are a lifesaver.」や「You’re a godsend.」で「すごく助かったよ」という意味になります。
渡りに船を逃さないように!
天の気まぐれでやってくるものが、たまたまあなたの役に立つものだったというのが渡りに船です。
渡りに船は、まったく予期せぬタイミングでひょっこり目の前にくるので、ぼーっとしていたら見逃してしまいます。また、より好みしたり迷ったりしていると、渡りに船はさっさとどこか別の人のところに行ってしまう場合も。
渡りに船に出会えたら、せっかくの幸運を逃さないため思い切りよく乗り込むようにしましょう!