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『私淑』の意味とは?『親炙』との違いは?例文、類語、英語表現も紹介

『私淑』とは『密かにその人を師と考え尊敬し、模範とする』という意味

先輩

A先輩、退職しちゃったねぇ。私彼女に私淑してたから、もっといてほしかったな。
Aさん、凄い人でしたよね。僕は尊敬してましたよ。で、私淑って?

新人

先輩

本人に「弟子入りさせてください!」っていうわけじゃないけど、密かに師匠と思って模範にすること…って感じかな。

『私淑』とは、『密かにその人を師匠と考えて模範にする』といった意味の言葉です。一般的には『尊敬する』と簡単な言葉であらわすことが多いので、あまり馴染みがないかもしれません。

そこで、ここでは由来、意味、使い方だけでなく、類語、英語表現についてもわかりやすく解説します。

『私淑』の由来・意味

『私淑』の読み方は『ししゅく』です。漢文の中では、『私』には『こっそりと』、『淑』には『よいと考え慕う』といった意味があります

そして、これら二つの漢字をあわせ、次のような意味をもつ言葉となりました。

直接教えを受けるわけではなく、密かにその人を師と考えて尊敬し、模範とすること。

尊敬し模範とする人は、実在している必要はありません。過去に存在していた人物で、その人の書物を読んで師とする場合も『私淑』になります。

『私淑』の使い方・例文

密かに「あの人尊敬するなぁ。」と思い、真似をしてみる人はいるでしょう。しかし、『私淑する』といった表現はあまりしませんよね?そこでここでは、会話の中でどのように使うのか、例文でチェックしておきたいと思います。

例文

■入社当時からBさんを私淑し、努力してきたつもりだ。
■大学のときに私淑していた教授はまだご存命らしい。
私淑し続けてきたAさんにアメリカ支社勤務の辞令が出て、嬉しい気持ちと悲しい気持ちが混在している。

『私淑』の類語

『私淑』の類語としては、次の言葉があげられます。

『私淑』の類語

・手本
・模範
・見本

また、『私淑する』をほかの言葉に言い換える場合はこんな表現ができます。

『私淑する』の言い換え表現

・見本にする
・手本にする
・後に続く
・見習う
・模範にする
・模倣する

ただし、『淑』には『慕う(したう)』感情が込められています。『慕う』とは、『心からその人を想う』といった気持ちが込められていることです。

類語や言い換え表現にあたる言葉は、ただ『見習う』『模範にする』だけであり、慕う気持ちはありません。そのため、『心』が込められた『模範』であれば、『私淑』が最も適した表現といえます。

『私淑』と『親炙』の違い

『親炙(しんしゃ)』とは、『親しく接し、その感化を受けること』という意味です。『感化』とは、『考え方や行動に影響を与え、自然にそれを変えさせること』をいいます。

直接会わない『私淑』とは違うので、間違わないようにしましょう。

『親炙』と『師事』の違い

『師事(しじ)』とは、『その人を師として仕えたり、先生としたりしてその人の教えを受けること』をいいます。二つの言葉の違いをあらためてチェックしてみましょう。

【親炙】
親しく接し、その感化を受けること。
師匠と弟子といった関係性は薄く、接することで自然に吸収するという点で『師事』と異なる。
【師事】
その人を師として仕えたり、先生としたりしてその人の教えを受けること。
師匠と弟子の関係性ができ、自然に吸収するのではなく、しっかり教えを受けるといった点で『親炙』と異なる。

『私淑』の英語表現

日本語の『私淑』と同じ意味やニュアンスをもつ英語はありません。ただし、『adore=崇拝する』や『respect=尊敬する』を使った表現が可能です。

■Book of the person to respect.
(尊敬する人の本)
Adore him forever.
(永遠に彼を敬慕します。)

意味や使い方を理解し『私淑』を使おう

実際に尊敬している人に会った場合は『私淑』と使われることがあります。しかし、『親炙』や『師事』のほうが適切です。言葉の意味や状況をしっかり理解したうえで『私淑』を使うようにしてください。