寛容とは『心が広いこと』
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『寛容』(かんよう)は日常の会話でも見かける言葉です。寛容な人、寛容な意見など、人の性質やイメージを表すときに使われています。
なじみのある言葉ですが、使う場面や似たような言葉との違いなど、わからない部分もけっこうあるのではないでしょうか。この記事では、寛容の意味や使い方についてくわしく紹介しましょう。
寛容には2つの意味がある
寛容には2つの意味があり、それぞれ使う場面が異なります。順に見ていきましょう。
寛容とは『心が広くて、よく人の言動を受け入れること』
1つ目の意味は、『心が広くて、よく人の言動を受け入れること』です。細かいことにはこだわらず、自分と反対の意見も受け入れて認めるという懐の広さを表します。
例文を見てみましょう。
・荒れた会議の席でも、彼は寛容な受け答えに終始した
寛容とは『人の過ちや欠点をきびしく責めないこと』
2つ目の意味は、『人の過ちや欠点をきびしく責めないこと』です。人が何かミスをしたときや欠点が目立つ場合にも、それをとがめたり指摘したりせずにやり過ごすことを表します。
こちらも例文を見て、意味の違いを確認してみてください。
・教師は非行に走る生徒にも寛容に接した
明治になってtoleranceから翻訳された言葉
寛容は明治時代に、英語のtoleranceが翻訳されて使われるようになった言葉です。
toleranceはもともと宗教の対立が激しかった15世紀のヨーロッパで生まれた言葉で、
「耐える」「我慢する」という意味をもつ言葉でした。
それが時代とともに「広く相手を受け入れる」の意味合いを含むようになったのです。
寛容の英語は『tolerance』
寛容は英語の『tolerance』を翻訳した言葉なので、当然英文にする場合も『tolerance』を使います。
『tolerance』を使った例文を紹介しましょう。
私はもっと寛容になりたい。
寛容にも、彼は私を許してくれた。
彼女は誰に対しても寛容である。
寛容と寛大の違い
寛容と似た言葉に、寛大があります。寛大は「度量が大きく、思いやりがあること」という意味です。「寛」という文字には「広い、ゆるやか」という意味があり、同じ文字を使う点でどちらも共通した意味をもちます。
ただし、寛大は思いやりがあるという点にフォーカスしており、寛容とはニュアンスがやや異なります。また、寛大は人や物事を責めないことを賞賛する意味合いで使われることが多いのも特徴です。
言葉の使い方でも、寛容は「寛容な〜」など形容詞として使うほか、「寛容する」など動詞として使うこともありますが、寛大は「寛大する」などと動詞では使いません。ほとんどが「寛大な」といった形容詞として使われます。また、寛容は否定を表す「不」をつけて「不寛容」という使い方もできますが、「不寛大」という使い方はしません。
寛大の例文を見て、寛容とのニュアンスの違いを確認しておいてください。
・今回の件で会社は彼に対し寛大な処分で済ませた。
・寛大にも、彼女は彼の失礼な態度を許した。
寛容の使い方・例文
日常会話でもよく使われる寛容という言葉、ビジネスの現場ではどのように使われているのでしょうか。例文を見ていきましょう。
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[おまけ] 類義語の「大らか」との違いもチェック
『寛容』と似た言葉には、「寛大」のほかに「大らか」もあります。大らかは「ゆったりしていて、細かいことにとらわれない様子」という意味です。
寛容と寛大は混同しやすいのに比べ、大らかとの違いは比較的わかりやすいかもしれません。
寛容や寛大がほかの人に対する態度や接し方を表すのに対し、大らかはその人自身の性質を表しています。対象がなくても成り立つ言葉です。
大らかを使った例文を紹介します。
・彼女は大らかな性格なので、細かいことは気にしない
寛容の意味を理解して正しく使おう
寛容は日常生活でもよく使われ、意味も比較的わかりやすい言葉です。しかし、似た言葉がいくつかあり、会話の中で使い分けることが必要になります。寛大や大らかとの違いには注意して、間違った使い方をしないようにしましょう。正確な意味を理解し、ビジネスシーンの中でも正しく使うようにしてください。