「文盲」とは「非識字者」という意味
「文盲(もんもう)」は「非識字」・「非識字者」を表す表現。「ぶんもう」と読む人が多いですが、正しくは「もんもう」なのでこれを機に改めましょう。
パソコンやスマホで入力する際は、「文盲」と一発変換できなかったり、「ぶんもう」と打ったらなぜか変換できたり、また辞書登録ができなかったり…。使うに不便な表現です。というか、「文盲」は現代ではあまり使わない方がいいかも。
「文盲」に当たる人
「文盲」に当たる人はどのような人なのでしょうか。
障害が理由で文字を読めない、書けない人は「文盲」ではありません。
「文盲」は何らかの理由があり、「読み書きの学習をしていないため文字が読めない・書けない」こと・人。
「文盲」は差別用語か
視覚障害を「盲目(もうもく)」ということがあります。また、「盲目」は「恋は盲目(周りが見えなくなる)」といった使い方もあり、「文盲」よりは一般的な言葉といえます。
「文盲」は「文字」の「盲目」という意味。
何をもって差別用語とするかはとても難しい問題です。言葉自体にそのような意味がなくても差別とされて消えていった表現がたくさんあります。
「文盲」も差別用語ととらえ不快感を表す人がいる以上、あえて使う必要はないでしょう。このページでは言葉の解説という意図で多用していますが、差別の意図はありません。
「文盲」の言い換え表現
「文盲」は差別用語とされることがあるため、言い換える必要があります。
文字の読み書きができることを「識字」といいます。その割合を指す「識字率」という使い方がよくされます。
逆に読み書きができないことを「非識字」、できない人を「非識字者」といいます。「文盲」は「非識字・非識字者」に言い換えましょう。
日本の「文盲」の実態
日本は「非識字者(文盲)」がいない国とよくいわれます。それを信じている人も多いでしょう。
しかし、果たして本当にそうなのでしょうか。
日本で最後に識字率の調査が行われてから、60年以上、識字率調査は行われていません。当時、調査を打ち切った理由は戦後の初等教育でほとんどの人が読み書きを学んだから。
現在も義務教育を受けてさえいれば読み書きは問題ないと考えられます。しかし、引きこもりや親の教育放棄が理由で学校に通えない人、帰国子女、親が外国人など様々な理由で非識字者は一定数いると考えられます。
世界の「文盲」は
ユニセフが15~24歳を対象に行った調査(2011~2016年)では、男性の識字率は92%、女性の割合は85%と決して低い数字ではありません。
しかし、ほぼ100%の国もあれば、50%台、30%台の国も。国によって格差が大きいのが現状です。
また、日本のように調査を行っていない国もあるため正確な数字とはいえません。
新しい「文盲」
「文盲」は文字の読み書きができない人のことですが、「文章の読み書きができない人」を「文盲」と呼ぶ新しい使い方があるようです。一般的な話ではなく、ネット界隈に限る話です。
ネット掲示板やSNS等、不特定多数との会話ができる場で、読解力がない人を「文盲」と煽る(挑発する)ことがあります。
文字でのコミュニケーションの場において自らの意図と別の意味にとられてしまっては会話が成り立ちませんよね。
文章の読み書き力をつけるには
挑発行為はよくないことですが、文章の読み書きができない人が増えているのは事実といわれています。それぞれの言葉の意味はわかっても、文章になると正確に読み取れない、前後の文脈や行間を読み取れないなど。
文章に込められた意図がわからないと、日常生活に何かと支障が出てくるかもしれません。
文章を読む習慣をつければ、ある程度は改善できます。気軽に読めるネットニュースやネット小説でOK。自信がない人は読む習慣をまずは身につけましょう。
「文盲」を英語で
illiteracy ⇒文盲(非識字)
「literacy」で読み書きの能力を表します。「literacy」に否定の意味を持つ「il」を付け「illiteracy」で「文盲(非識字)」の意味に。ちなみに識字率は「literacy rate」です。
「文盲」の読みだけでも
「文盲」を積極的に使うことはないでしょう。しかし、「文盲」の意味や背景、新しい使われ方を確認しておくことは大切です。
「文盲」は「ぶんもう」ではなく「もんもう」ということだけでも覚えておきましょう。