「不条理」とは「筋道が通らない」という意味
天災や疫病に直面して世の中の不条理に気づかされる
自然災害や疫病でまじめに働いていた人が命を落としたり、悪いことに手を染めている人が罰も受けずにのうのうと生きていたり…世の中は「不条理」なことが多いですよね。
「不条理」とは「筋道が通らない」という意味。物事が当然そうなるべきと予想する展開にならないことを指します。「いい人は幸せになり、悪い人は罰を受ける」、「種をまけば花が咲き実がなる」といった道理に当てはまらないことが「不条理」。
哲学での「不条理」
「不条理」という言葉は、フランスの作家であり、哲学者のアルベール・カミュが流行らせたとされています。人は世界のあらゆることに意味を求めますが、世界はそんな人間の都合は知らないとばかりに「不条理」です。
カミュは世界の「不条理」に気づいた人間は自らも「不条理」な行動をしてしまうことがあると述べています。確かにそうですよね。やるべきことをやってもそれが報われないかもしれないと気づいてしまえば、腐ってしまうかもしれません。
カミュは「不条理」からくる苦しみを解決する3つの方法を提示しています。
・自殺 ・盲信(理性をなくして宗教等にのめり込む) ・受け入れ
自殺はもちろん、盲信も現実から目を背けて、ある意味生きることを拒否しています。「不条理」な世界は「受け入れる」しか生きていく術はないと遠回しに言っているのかもしれません。
ユーモアの「不条理」
「不条理ギャグ」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。現実にはあり得ない設定で、その意味不明さで笑わせるお笑いやマンガなどのジャンルのこと。
キャラクターや世界観が突拍子もなかったり、ストーリーがめちゃくちゃだったり…。好みは分かれるかもしれませんが、一定のファンがいるのは事実です。
「不条理」の類語
・理不尽(りふじん) ・不合理(ふごうり) ・ナンセンス ・シュール
これらは「不条理」と同じような意味ですが、微妙にニュアンスの違う言葉。
「理不尽」は人間が行う「筋道が通らない」言動に使います。「理不尽な説教に腹が立つ」などです。
「不合理」は制度や仕組みについて使うことが多いです。「不合理なシステムを改善する」といった使い方ができます。
カタカナ語の「ナンセンス」や「シュール」も似たような使い方をされます。詳しくは以下でご確認ください。
ナンセンスの意味とは?類語や対義語、ナンセンス文学とは何か解説
「不条理」を英語で
the theater of the absurd ⇒不条理劇
「abusurd」で「不条理」を表しています。「不合理」と訳すこともできます。「バカげた」というニュアンスでも使われますが、日常で使うのであれば「foolish」や「stupid」の方がいいでしょう。
「不公平」や「不当」というニュアンスを出したいのであれば「unjust」。「理不尽」と訳することもできます。
「不条理」な世界でも
どんな大聖人も大悪人も大自然から見たら単なる一人の人間に過ぎません。そう考えると人間の道理を自然や世界の仕組みに当てはめて考えようとすること自体間違っているのかも。
「不条理」な世界かもしれませんが、人間の社会で生きている以上、「不条理」なことはしないようにしましょう。ストレスがたまったら「不条理ギャグ」でも見て発散してください。