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彷彿(ほうふつ)の意味、正しく説明できますか?日常的にはあまり使わない表現なので、ちょっと自信がないという方も多いのではないでしょうか。
今回は彷彿の意味や使い方、類語や英語表現について解説します。
彷彿の意味は?
彷彿(ほうふつ)は「彷」=さまよう「彿」=ぼんやりしているを意味する二文字を組み合わせた表現。主に3つの意味があります。
②ありありと思い浮かぶこと
③姿・形がぼんやりしていること
現代の口語で使われることは減っていますが、文学や映像作品、ニュース原稿や記事などでは、今も一般的に使用されています。また、どちらかといえば①②の意味で使われる頻度が高いです。
「彷彿とさせる」「彷彿させる」正しいのはどちら?
彷彿は「する(自動詞)」「させる(使役の動詞)」と組み合わせて使うことが多いですが、この場合、間に「と」を入れるか入れないかで迷うことがあります。結論からいうと、どちらも文法的にはアリ。ただし厳密には用法に区別があります。
①「彷彿とする/させる」など「と」が必要なケース
- 副詞的に使う場合。「嬉々として」「憤然として」などと同じ。
- 「彷彿と(タリ形容詞)」+「する/させる(動詞)」の組み合わせで使う場合。
②「彷彿する/させる」など「と」が不要なケース
- 「「彷彿(名詞)」+「する/させる(動詞)」の組み合わせ。「表現する」「暗示する」などと同じ
ちょっと複雑ですが、実用的には、どちらも使えるということを覚えておくレベルでよいかもしれません。
彷彿を使った例文
具体的な使い方を例文から見てみましょう。
・かつて栄華を極めた帝国の面影を彷彿とさせる遺跡
・西の夜空に小さな星明りが彷彿と現れた
・臨場感あふれる描写を読んで、激動の時代を彷彿した
彷彿の類語は?
彷彿の類語には「想起」「連想」などがあります。いずれも思い起こさせる、イメージさせる意味です。日常会話では、こちらの方がなじみがありますね。
・彼の思い出話は楽しかった子ども時代を連想させる
彷彿の英語表現は?
彷彿は英語でもさまざまな表現が可能です。いくつか文例をご紹介します。
・「resemble」=似ている
(彼は亡くなった父親を彷彿とさせる)
・「reminiscent」=回想
(その曲は70年代のポップミュージックを彷彿とさせる)
・「remind」=思い出させる
(この人形は私の幸福な子ども時代を彷彿する)
おまけ:文豪の作品にも頻出する「彷彿」
彷彿は、今でこそ普段は使わない表現になっていますが、教科書に登場するような明治の文豪の作品では頻繁に目にします。いくつか具体例をご紹介しましょう。
- 吾輩は猫である(夏目漱石)「ミイラに因って埃及(エヂプト)人を彷彿する」
- 青年(森鴎外)「彼が何物をか有しているのが、彷彿として認められた様である」
- 即興詩人(森鴎外・訳)「眸を凝らして海を望めば、彷彿の間」
- 当世書生気質(坪内逍遥)「田の太夫の舞台顔に彷彿たり」
他にもいろいろ。興味がある方は探してみるとおもしろいかもしれません。
知性や教養が彷彿する大人に?!
日常ではあまり縁のない表現かもしれません。正しく使いこなせると、知性が彷彿する大人とみてもらえるかもしれませんね。