『遵守する』とは『法律や規則に従いしっかり守る』という意味
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『遵守』とは、『法律や規則に従いしっかり守る』という意味で、公的な書類の中で特によく見かける言葉です。
今この記事を読んでいるのは、『遵守』の意味を知りたかった人だけでなく、上の新人くんのように『遵守』と『順守』でどちらが正解なのかを調べている人もいるでしょう。
ここでは、『遵守』の正しい意味や使い方のほか、「どっちの漢字が適切なの?」といった疑問も解決していきます。あわせて、類語・対義語・英語についても紹介します。
『遵守』の意味
『遵守』は『じゅんしゅ』と読みます。『遵』には、『法律にしたがって行動する』の意味があり、それに『守る』が一緒になることで、こんな意味を表す言葉となります。
法律や規則に従いしっかり守る
『遵守する』と『順守する』の違い
日本語には、『当用漢字』『常用漢字』『教育漢字』という区分が存在します。それぞれの意味は次のとおりです。
昔の日本には、現代よりも多くの漢字が使われており、国民における漢字の認知度が低いといわれていました。また、将来的には漢字を廃止するといった案があり、それまでの間(当面の間)使う漢字として定められたのが『当用漢字』です。
当用漢字の後継として制定されたのが『常用漢字』です。将来的に漢字の廃止をするという案が撤回され、漢字の使用制限もなくなり、当用漢字表に新たに漢字を追加して制定されました。
義務養育で学習する常用漢字の中で、小学1年~6年の間で学習するよう定められた漢字が『教育漢字』です。
日本で初めて定められた漢字表である『当用漢字』は何度か改正されており、『遵』が除外の候補とされた時代がありました。その代用文字としたのが『順』です。この『順』にも『したがう』という意味があります。
そのため、現代では『遵守』と『順守』の両方が存在しますが、意味そのものは同じです。しかし、法律などの公的文書や教科書においては『遵守』、新聞・雑誌などのメディアでは『順守』と使い方がわけられているのが現状です。
『遵守』の使い方・例文
ビジネスシーンに限らず、プライベートの場では、『遵守』と『順守』をきちんと使い分けなければいけない、といった決まりはありません。
ただし、ビジネスシーンでは、契約書や労働条件など、法律に則った規律も存在するため、一般的にはこのように使い分けられます。
【遵守】
法律や公的な規律を守る。
【順守】
独自の規定や社会の一般常識的なルールを守る。
そして、実際の文章中に使う場合はこのようになります。
■納期に間に合わず忙しすぎるとはいえ、労働基準法を遵守した働き方をしなければならない。
■環境に対する基準・規律を遵守しなければISO認証は受けられない。
■借りる会場の規定を順守したイベント計画をする。
上司
『遵守』の類語・対義語
『遵守』を簡単な言葉に言い換えると『規則を守る』『法律を守る』ですが、熟語としての類語としては次の言葉があげられます。
【厳守(げんしゅ)】
規則、命令、約束などを厳しく守ること。
【遵行(じゅんぎょう/じゅんこう)】
命令や規則などにしたがい、行動を起こすこと。
【遵奉(じゅんぽう)】
法律、規則、道徳などにしたがい、それを守ること。
『遵守』の英語表現
遵守を英語で表現する場合、次の単語が使えます。
【compliance】
(要求、命令、法律など)を守る、応じる
【obey】
~に従う、~の言うことをきく
これらの単語を使った熟語も紹介しておきますね。
obey the traffic laws(交通規則を遵守する)
compliance with international standard(国際基準の遵守)
『遵守』と『順守』をうまく使い分けよう
基本的には『遵守』と『順守』は同じ意味なので、必ず使い分けなければいけないという決まりはありません。しかし、公的文書、新聞などのメディアでは使い分けをしているのも事実なので、人によっては二つの漢字は別だと考える人もいます。取り扱う文書や状況に応じて上手に使い分けてみてください。