『斟酌』とは『相手の気持ちや事情をくみとる』の意味
新人
先輩
新人
上の会話での『斟酌』は、『相手の気持ちや事情をくみとる』という意味で使われています。しかし、状況によってはこれとは違う意味合いで使われる場合も多く、文脈によって適切な解釈が必要になる言葉です。
今回は、『斟酌』の正しい意味と使い方のほか、類語・英語についてもわかりやすく解説します。
『斟酌』の意味と使い方
『斟酌』は『しんしゃく』と読み、広い意味としては、『事情をくみとり考慮する』です。しかし、もう少し細かくみると、次の3つの意味があります。それでは、それぞれの意味と使い方をチェックしていきましょう。
意味①:相手の事情・心情をくみとること
その人にどんな事情があったのか、どんな心境でそのようなことが起こったのかを考慮し、その事情や心情により手加減をする場合に『斟酌』が使われます。
【例文】
事故で入院していたことを斟酌し、研修レポートの提出についてはあと二日間の猶予をもうけることにする。
意味②:あれこれと照合してほどよく取捨すること
『取捨』とは、『良いものや必要なものを取り、悪いものや不要なものを捨てる』という意味があります。
つまり、この場合の『斟酌』とは、『さまざまなものや事柄をいろんな方向から照らし合わせ取捨すること』を指します。
【例文】
どのレベルまでシステム改良するかは、営業部と管理部、双方の意見を斟酌して決めたいと思う。
意味③:言動を控えたり遠慮したりすること
これは、①や②とは少しニュアンスが違うように感じるかもしれません。「こんな状況だったんだな」「こんな心情なんだろうな」ということを考慮したうえで、言動を控えたり遠慮したりする、と解釈するとわかりやすいです。
【例文】
先輩しかいないプロジェクトでも斟酌せずに意見を言うようにしなさい。
『斟酌』の類語
『斟酌』で通じないと思った場合には、次の言葉への言い換えが可能です。
・胸中を察する
・気持ちをくみとる
・心情をくむ
・気を利かす
・気持ちをおしはかる
・気をまわす など
また、『斟酌』と同じような熟語としては、『考慮』『顧慮』『酌量』があげられます。
・考慮(こうりょ):そのことについてよく考えること
・顧慮(こりょ):そのことについて考慮し、心遣いすること
・酌量(しゃくりょう):事情をくみとり手加減すること。
『斟酌』と『参酌』の違い
『参酌(さんしゃく)』とは、『ほかのものを参考にし、長所を取り入れること』の意味をもつ言葉です。
『斟酌』は、いろいろなものを照らし合わせて、必要なものを取り、不要なものを捨てていきます。『参酌』は必要なところのみをピックアップしていくというイメージになります。
『斟酌』の英語表現
『斟酌』を英語で表す場合、日本語のように細かいニュアンスは含まれませんが、『考慮、じっくり考える、心遣い』などの意味をもつ『consideration』を使います。
■in consideration of~(~を斟酌して)
■take something into consideration(斟酌する)
意味をきちんと理解し、適切に『斟酌』を使おう
『斟酌』は、いくつものニュアンスをもつ言葉です。そのため、きちんと意味を理解し、適切な状況下で使わなければ正しく相手に伝わりません。話が通じにくいと感じた場合には、ここで紹介した言い換え表現や類語も上手に使い分けてみましょう。