「図らずも」とは「偶然」という意味
図らずも取引先の社長と顔見知りになった 新人サラリーマンを主人公にしたドラマなら、ここからストーリーが動き出します。 「図らずも(はからずも)」の意味は「偶然」。そのような結果になるとは思っていなかったのにそうなったということ。 社長と知り合おうとあれこれ画策することなく、特に知り合いになりたいとも思っていなかったのに偶然知り合っちゃった、ということです。 「図らずも」は「計らずも」と書く場合もあります。どちらが正しいのでしょうか。「図る」「計る」の違いを見るとわかるかもしれません。 ・図る⇒物事の実現に向け処置、方法を考える ・計る⇒時間、数、量などを数える、物事の見当をつける 一見、「図る」の方が正しそうですが、「計る」にも「見当をつける」という意味があります。「計画」の「計」もこの意味ですね。 結果、どちらを使っても問題なさそうです。「図らずも」と記されることが多いですが、「計らずも」でも間違いではありません。このページでは「図らずも」に統一します。 「図らずも」の具体的な使い方を例文を通して確認していきましょう。 ・図らずも長期の休暇を取ることになった ・図らずも二人の案は同じものだった ・図らずもSNSで話題を集め、売り上げにつながった ・今回の騒動は図らずも製品の信頼性を試す結果となった ・図らずも外に出て活動することができなくなった 「図らずも」起こる結果には、「いいこと」も「悪いこと」もあります。ですが、「いい結果」に対して使われることが圧倒的に多いようです。「図らずも宝くじに当たる」「図らずも高く評価される」など。 そもそも、悪いことは「図って(企てて)」起こそうとは思わないので、いいことに対して使われることが多いのではないでしょうか。 「図らずも」を「図らずしも」と言っている人を見たことはないでしょうか。会話の中で出てきたらなんとなく流してしまいそうですが、これは間違い。「図らずしも」は「必ずしも」と混同した結果だと思われます。 似たような間違いは他にも。これを機会に使わないようにしましょう。 ・図らずしも⇒「必ずしも」と混同? ・図らずもがな⇒「言わずもがな」と混同? ・図らずとも⇒??? 「図らずも」と似たように偶然何かが起こることを表現する言葉はいくつかあります。 ・思いがけず(おもいがけず) ・意図せず(いとせず) ・期せずして(きせずして) ・予期せず(よきせず) 「思いがけず」は基本的にいい結果に対して使われます。 ・思いがけず大金が転がり込んできた ・思いがけず受賞することになり笑いが止まらない 「意図せず」「期せずして」はいい結果にも悪い結果にも使うことができます。 ・SNSでは、使い方次第で意図せず加害者になることもある ・期せずして入院することに 「図らずも」は英語ではどのように表現できるのでしょうか。 When something amazing happens unexpectedly ⇒図らずも幸運に恵まれた 「unexpected(予想しなかった)」で「図らずも」を表現できます。「思いがけず」や「期せずして」を英訳する際にも使用可能。 図らずも幸運なこと、予想もしなかったことが起こることは誰にでもありますよね。「運も実力のうち」といいますが、その逆もまた然り。図らずも起こる幸運・不運に振り回されることのないようにしてください。「図らずも」と「計らずも」はどっちが正しい?
「図らずも」の使い方・例文
「図らずも」のよくある間違い
「図らずも」の類語
「図らずも」の英語表現
「図らずも」は誰にでも