アウフヘーベンとは何か?ドイツ語に由来?例を用いて意味をわかりやすく解説

アウフヘーベンとは「否定しつつよりよいものへ高める」という意味

先輩

米粉パンってアウフヘーベンな食べ物よね。
アウフヘーベンですか?

新人

先輩

そう。米の消費量を上げられるし、パン食を好む現代人の食生活にも合っているわ。

アウフヘーベンはもともと哲学用語なので、やや難しいカタカナ語です。簡単に説明すると「あるものを否定しつつ、よりよいものへ高める」という意味になります。

建設的な話し合いに重要なアウフヘーベンについて学びましょう。

アウフヘーベンの由来はドイツ語の「aufheben」

アウフヘーベンは、ドイツ語の「aufheben」からカタカナ語になった言葉です。

「aufheben」にはたくさんの意味があり、日常会話に登場するときには、次のような意味で使われるケースがほとんどになります。

日常会話のaufheben
・拾う
・持ち上げる
・拾い上げる
・廃止する
・残す
・取って置く

哲学の話だと、止揚(しよう)という意味になります。

止揚とは、あるものをいったん否定し、矛盾する考え方を戦わせることでより高い次元の結論を導くことです。

アウフヘーベンの英語での意味は「止揚」

ドイツ語の「aufheben」は、そのまま英語で使っても通じます。

ただし、ドイツ語のようにいろいろなニュアンスをもつ単語として使用されるわけではありません。英語の「aufheben」は「止揚」という意味になります。

「aufheben」は「sublation (止揚)」という単語に置き換えられる場合もあるので、セットで覚えて語彙を増やしましょう。

例から簡単に考える!アウフヘーベンの意味をわかりやすく

カタカナ語のアウフヘーベンも、もっぱら「止揚」という意味で使われます。揚棄(ようき)と訳されるケースもあるので注意しましょう。

例1:米粉パン

冒頭で先輩が例として挙げていた米粉パンの話で、アウフヘーベン(止揚)を説明してみますね。まずは、アウフヘーベンで戦わせる2つの意見を準備しましょう。

意見1:米の消費量を増やさなければならない

意見2:現代の日本人はパン食を好んでいる

アウフヘーベンでは、意見に優劣をつけてどちらか一方を選択するようなことはしません。

2つの意見を組み合わせて「じゃあ、米粉で作ったパンを食べてもらいましょう」というような、より高度なアイディアを生み出すのがアウフヘーベンです

例2:リサイクルショップ

もうひとつアウフヘーベンの例を紹介します。

意見1:ビジネスは、ものを売ってなんぼ。どんどん売って市場を活性化させよう

意見2:頻繁なものの買い替えは廃棄物の増加につながり環境が破壊される。大量生産・大量消費は改めるべきだ

どちらも違ってはいませんが、方向性は真逆ですね。

この相反する2つの考え方を戦わせて、どちらの意見も活かした結論出さなければなりません。「不要なものを買い取り、きれいにクリーニングした後で必要な人に販売する、リサイクルショップを経営しよう」なんて結論はどうでしょうか?

アウフヘーベンでは、どちらか一方の意見を完全に叩き潰すような議論はしません。意見を戦わせつつ、どうしたら皆が納得できるよりよい結論が出せるかを考えます。

アウフヘーベンの話でよく登場する「アンチテーゼ」の意味は?

アウフヘーベンの出てくる話題では、別の哲学用語もしばしば登場します。 あわせて覚えておきましょう。

哲学用語意味
テーゼアウフヘーベンで挙がる最初の概念(例:「米の消費量を増やさなければならない」という意見)
アンチテーゼアウフヘーベンで対立するもうひとつの概念(例:「現代の日本人はパン食を好んでいる」という意見)
ジンテーゼテーゼとアンチテーゼを戦わせて導き出されるより高度な結論(例:じゃあ、米粉で作ったパンを食べてもらいましょう)
弁証法対話を繰り返すことで、物事の本質を理解しようとする対話術。アウフヘーベンも弁証法の手法のひとつ

日常会話ではあまり登場しないワードばかりですが、アウフヘーベンについて勉強するときには頻繁に使う専門用語です。知識として頭に入れておきましょう。

アンチテーゼは下記の記事でも紹介しています。こちらも読んでみてください。
アンチテーゼの意味と使い方は?一緒に覚えたいテーゼ・アウフヘーベンについても徹底解説

Mrs. GREEN APPLEの「アウフヘーベン」

「アウフヘーベン」は、男女5人組の日本のロックバンドMrs. GREEN APPLEの楽曲。ボーカル兼ギターを担当する大森元貴さんが、高校2年生のときに作った曲なのだそうです。

もうすぐ死ぬ人は「まだ生きたりないな」と願い、まだ生きられるものが「もう死にたいな」と思う。立場が違えば心が求めるものも変わってきますよね。

「もう嫌だ逃げていたいな」と諦める気持ちがある一方で「あそこが羨ましいな」とまだ諦めたくないからこそ浮かぶ感情もある。これもよくある心の矛盾です。

そんな相反するものの間をとってアウフヘーベンできればいいけど、この世界ではそうはいかない。どちらか一方しか選べなくてゆがんでしまった「僕たちの住む世界」について考えた結論は「歪んでいて綺麗なもの」なんだという歌詞になっています。

「歪んだ世界」で生きる自分に折り合いをつける深い歌詞ですね。高校生がこんなことを考えているのかと驚かされました。

アウフヘーベンの使い方・例文

アウフヘーベンは、相反する意見を戦わせてより優れた結論を導くという意味のカタカナ語でしたね。

ビジネス会話では、どのようにこのアウフヘーベンを用いるのか、例文でイメージしてみましょう。

例文1

新人

僕みたいな下っ端が、先輩の意見に反対するのって失礼ですよね。
遠慮せずにどんどん意見を戦わせてくれ。先輩君もよりいい解が得られるアウフヘーベンは望むところだよ。

上司

例文2

先輩

アウフヘーベンを発生させるのがミーティングの目的なのよ。遠慮しないでドンときなさい!
アウフヘーベンできるように頑張ります!

新人

意味は意外に簡単!アウフヘーベンに挑戦してみよう

日本語でのアウフヘーベンは、哲学関係の話で用いられる単語です。哲学と聞くと「難しそう」と感じてしまいますよね。でも、アウフヘーベンはそんなに難解な意味のワードではありません。

アウフヘーベンが意味する、対立する意見を戦わせてよりよい結論を導くという方法は、哲学だけでなくビジネスにも共通する重要な手法です。

一方的に否定するのではなく、やみくもに同意するのでもないアウフヘーベンに挑戦し、より優れたものを創り出しましょう!