「仰ぐ」は「上を見る」「尊敬する」ってこと!
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先輩
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「仰ぐ」とは、「上を見る」「尊敬する」の意味合いとして一般的に使われる言葉です。
ここでいう一般的とは、日常生活やビジネスシーンでの使用機会を指します。では、ほかの意味もあるのかといえば、ニュアンスが異なった使い方として、使用されています。
今回は「仰ぐ」のもつ意味や使い方、類語について詳しく解説します。今までなんとなくで使っていた方は、この機会にぜひ本来の意味と使い方をマスターしていきましょう。
・仰向く
・崇める
・尊敬
・敬愛
・心服
など
「仰ぐ(あおぐ)」の意味
「仰ぐ」は「あおぐ」と読みます。さまざまなシチュエーションで使用され、複数の意味をもつ言葉です。「仰ぐ」がどういう意味をもつのか、詳しく解説します。
「仰ぐ」は複数の意味がある
先述したように、「仰ぐ」には複数の意味があります。一般的に周知されている意味が以下になります。
尊敬する
何かを求める
「仰ぐ」は”上を見る”のニュアンスで使われており、文字通りそのまま上を見る様子や、自分より上の立場の者への比喩表現として使用されています。また、上を見ているような仕草に対し、「仰ぐ」を使う場面があります。
このように、実際に上を見る仕草や自分より上の立場の者に対し、「仰ぐ」の表現を使用する機会は多いです。
「仰ぐ」の使い方
先述したように、「仰ぐ」には複数の意味があり、使い方もシチュエーションごとに異なります。ここでは場面ごとの「仰ぐ」の使い方をご紹介します。
上を見る意味の「仰ぐ」の使い方
「仰ぐ」には上を見るの意味があります。顔や腹が上を向いている、寝ているときの状態を「仰向け」や「仰向ける」と表現します。
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上司
部下
実際に空を見るときや上に視線を向けるときに「仰ぐ」を使いますが、現在では少し大げさな表現と捉えられています。”まるで空を見上げているかのような”例えとして、「空(天)を仰ぐ」の表現のほうが使用頻度が高いです。
尊敬の意味の「仰ぐ」の使い方
師事した人、尊敬する相手を敬う表現として使います。自分より視線が上の相手を「自分より格上の相手」と例えた言葉です。「師と仰ぐ」などの使い方をします。
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部下
上司
何かを求める意味の「仰ぐ」の使い方
自分より上の立場の者に対し、要求・お願いをする使い方です。上司や自分より上の立場からの指示や命令、または教えをを求める際に使用します。「現場の指示を仰ぐ」や「上司の指示を仰ぐ」など、ビジネスシーンで多用される表現です。
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上を向いて一気に飲む意味の「仰ぐ」の使い方
文字通り上を向きながら、一気に飲み物を飲む様子をあらわす表現です。酔っ払っているさまや勢いよく飲み込んでいる表現として、使われています。ほかの「仰ぐ」の意味ほど使用頻度は高くありませんが、表現方法のひとつとして覚えておきましょう。
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後輩
先輩
この場合の「仰ぐ」は「煽(あお)る」に言い換えることができ、「酒を呷る(煽る)」の表現のほうが一般的です。
「仰ぐ」の類語
複数の意味がある「仰ぐ」には、さまざまな類語が存在します。すべてを網羅するには数が多すぎるので、ここでは使用頻度の高い「仰ぐ」の類語を紹介します。
「仰向け/仰向く」
視線・頭・腹など、体の中心を上に向ける素振りを指す表現です。体を横たえて、寝ている様子を「仰向け」の態勢といいます。
部下
課長
課長
部下
「敬愛」/「心服」
「敬愛」とは親しみの意味を込めて尊敬の念を抱く様子をあらわし、「心服」とは心から尊敬して従う意味を指す言葉です。いずれも”人物に対しての深い尊敬”を意味します。
課長
部下
新人
先輩
そのほかにも「尊敬」の意味での「仰ぐ」の類語は数多くあります。相手やシチュエーションごとに選んで使い分けましょう。
・尊敬
・敬服
・親愛
・敬慕
・崇拝
・崇敬
など
※「敬服」をもっとよく知りたい人はこちらの記事がおすすめです!↓↓
「敬服」の意味や使い方は?目上の人に使う場合、類語もわかりやすく解説!
「要求する」/「願い求める」
自分が必要としている事柄や物事を、相手に対してお願いして求める意味の表現です。さらに強い表現には、「懇願」や「嘆願」などの言葉があります。
先輩
後輩
部下
上司
・懇願
・嘆願
・切願
など
一気飲み
ぐいっと一気に飲み物や食べ物を飲み干す表現です。勢いをつけて飲むため、行儀のよい行為ではありません。酒や飲み物に対して「一気飲み」の表現が使われる機会が多いですが、スープや汁物などの食品にも使えます。
「一気飲みは体によくない」
「応えるかのように、渡された杯を一気に飲んだ」
「悔しさのあまり、手元の水を一気に飲み干した」
「仰ぐ」の対義語
「仰ぐ」は「上を見る/向く」の素振りや例えとして使う表現です。その反対の「下を見る/向く」は対義語となります。
例えば以下の言葉が対義語として挙げられます。
・蔑む
・俯く
・見下す
・見下げる
など
視線や体を下に向けた状態を指す場合には、「下を見る」や「伏す」。頭を下に向けた状態を「俯く(うつむく)」と表現します。
尊敬する意味の「仰ぐ」は相手を上に見て敬うさまをあらわしているので、対義語は”相手を下に見て軽蔑する”意味の言葉になります。
「仰ぐ」の基本的な意味は「上を見る」こと
「仰ぐ」には「(目上への)要求」の意味が含まれています。「仰ぐ」の基本となる意味は「上を向く」ですので、対義語は「下を向く」の意味合いにならなくてはいけません。
例えば「要求」とは「求める」の意味ですので、対義語は「求めない」になります。「求めない」は必ずしも「下を向く」必要はありません。身体の向きを示す「仰ぐ」の対義語としては不自然です。
「仰ぐ」の英語表現
「仰ぐ」はビジネスシーンでも使われる言葉です。ものごとの指示をお伺いする際にも使用できる「仰ぐ」の英語表現を確認しておきましょう。
seek
look up
と表現できます。
「仰ぐ」の英語表現を使用した例文はこちらです。
⇒部長の判断を仰ぐことが大事だ。
・Can you tell him to look up the section manager’s instructions?
⇒課長の指示を仰ぐように彼に伝えてもらえる?
・Fail and look up to heaven.
⇒失敗して天を仰ぐ。
・He is someone I look up to as a master.
⇒師匠と仰ぐ人だよ。
「仰ぐ」の意味は複数ある!それぞれを理解し使いこなそう
「仰ぐ」には複数の意味があり、尊敬の念や要求としての意味以外に、上を向いている態勢を表現する言葉になります。ビジネスシーンでは主に「目上に対して使用する言葉」として覚えておきましょう。
丁寧な言葉として使われている意味と覚えておけば、相手に失礼なく円滑な人間関係を築けます。「仰ぐ」の理解度をさらに深め、状況に応じて意味を使い分けてくださいね。