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オーバーシュートとは?各分野での意味・英語・使い方もわかりやすく解説

オーバーシュートとは『度を超す』こと

先輩

スマホって、2~3年で機種変更する人が多いから、10年持つ電池の開発はオーバーシュートだって声もあるみたいね。私は一台を長く使いたいからうれしいけど。
あれ?先輩、オーバーシュートって今問題になってる新型コロナでよく聞く言葉ですよね?感染関係の用語じゃなかったんですか?

新人

先輩

そう思うのも仕方ないよね。これまであまり聞かなかったもんね。

新型コロナが流行している今、オーバーシュートは『感染者の爆発的な増加』の意味で使われています。

しかし、正しくは『度を超す』『行き過ぎる』を指す言葉です。

そのため、正しく意味を理解していなければ、場合によっては解釈を間違う可能性があります。

ここでは、日本語としての意味のほか、一緒に覚えてほしいカタカナ用語や英語についても解説していきます。

オーバーシュートの英語は『overshoot』

オーバーシュートは英語で『overshoot』と表記し、こんな意味をもつ単語として使われています。

■通り越す
■行き過ぎる
■(目標を)外す
■超える
■度を超す
■飛び越える など

熟語の例も少し紹介しておきますね。

■overshoot a target(的を大きく外す)
■overshoot one’s limit(限界を超す)
■overshoot phenomena(オーバーシュート現象) など

新型コロナの報道でよく言われている『ウイルスのオーバーシュート』をそのまま英語で表現すると『an overshoot』です。

しかし、英語圏ではこのような表現はせず、次のような言い方をします

■an explosive rise in virus cases(ウイルス感染の爆発的拡大)
■the coronavirus outbreak(コロナウイルスの大流行) など

新人

『outbreak(アウトブレイク)』はオーバーシュートの代わりになるってこと?
解説はもう少しあとでね。

先輩

日本語としてのオーバーシュートの意味

2020年の新型コロナ騒動がきっかけで有名になった『オーバーシュート』ですが、もとは金融・証券用語として使われていた言葉です。また、それ以外の分野でも違う意味で利用されているので、ここでは各分野におけるオーバーシュートについて解説します。

オーバーシュートの意味①:医療では『感染者の爆発的な増加』

本来は医療用語や感染関連用語の分類にはなりませんが、新型コロナ関連の話題の中では『感染者の爆発的な増加』の意味で使われています。

オーバーシュートという言葉そのものには『感染』の意味は含まれていないので、認識を間違わないようにしましょう。

オーバーシュートの意味②:金融・証券では『行き過ぎた価格の変動』

オーバーシュートとは、もともとは金融・証券の業界で、考えられないほどの価格変動が生じた際に使われている言葉です。

たとえば、通常1,000円~1,300円の間での変動を繰り返していた外食産業関連の企業があったとします。株価が400円台までに大きく落ち込んだ場合は、オーバーシュートが生じた状態といえます。

企業の株価だけでなく、日経平均、為替相場などの金融相場すべてにおいて使われるよ。

オーバーシュートの意味③:計測では『波形が基準を超える』こと

電子機器や車などの分野では、計測を行う際、目標値や標準値を大幅に超える現象をオーバーシュートと呼びます。波形で表すとこんな感じです。

大幅に上昇している、赤い丸のところがオーバーシュートが起きている部分ですね。

車では、ターボエンジン搭載車でよく使われる用語で、ターボの力を最大限に使いながら走行しているとき、設定値を超える状態を指します。

ターボエンジン搭載車とは、通常の排気量以上の空気をエンジンに送り込み、エンジンのパワーを引き出す装置を搭載した車のことです。

エンジンの力をアップさせすぎた状態がオーバーシュートなので、これが続くとエンジンの負荷が増えることになります。

オーバーシュートの意味④:製品開発では『過剰品質』のこと

製品開発の分野では、消費者が望む以上の品質や機能を兼ね備えた製品を開発して市場に出すことをオーバーシュートといいます。

「高機能ならいいんじゃない?」と思うかもしれませんが、『消費者が望む以上』というところがポイント。

新人

この電子レンジ、こんな機能もついてるらしいですよ。
こでも、温めることができればいいから、こっちの安いのでいいや。

先輩

高機能な製品は、それなりにコストがかかっています。そのため、上の会話の先輩のように、「そこまでの機能はいらない」と思う人が多ければ多いほど「開発したのに売れない」といった状況に陥ってしまうわけです。

オーバーシュートの意味⑤:飛行機では『行き過ぎる』のこと

飛行機の分野では、二通りの解釈があります。どちらの意味なのかは文脈での判断が必要です。

■着陸時、予定着地点よりも先の地点に降りてしまうこと。
■戦闘機での空中戦闘時、追っている敵機を追い越すこと。

オーバーシュートと一緒に覚えたいカタカナ用語

オーバーシュートの意味をもっと深く理解するためにも、ぜひ一緒に覚えておきたいカタカナ用語があります。

ここでは、『アウトブレイク』『パンデミック』『エンデミック』『エピデミック』について解説します。

用語 意味 感染の仕方
アウトブレイク
(outbreak)
『突然の発生』『突発』 特定の範囲内で予想以上の感染者が発生する
パンデミック
(pandemic)
『全国的に(全世界的に)広がる』 世界的に感染が広がる
エンデミック
(endemic)
『(ある地方)特有の』『地方病』 一定の地域や集団の中で感染症がゆっくり広がる
エピデミック
(epidemic)
『流行性の』『伝染性の』 一定の地域や集団で、予想をはるかに上回るほどの大量の感染者がでる

このような使い分けがあるので、豆知識として覚えておきましょう。

オーバーシュートの使い方・例文

ニュースなどで頻繁に耳にするオーバーシュートですが、使い方を意識して聞いている人は少ないのではないでしょうか。ここで、正しい使い方をチェックしておきましょう。

例文1
新型コロナを一刻も早く終息させられるよう、オーバーシュートを防ぐ対策が必要だ。
例文2
今日、成田空港に着陸した〇〇便が、オーバーシュートにより事故を起こしそうになったようです。
例文3
今日の東京証券取引所の市場でオーバーシュートが生じてしまった。

例文1は『感染者の爆発的な増加』、例文2は『行き過ぎ』、例文3は『行き過ぎた価格の変動』の意味でオーバーシュートが使われています。

オーバーシュートの意味を理解して正しく使おう

新型コロナ関連のニュースで『オーバーシュート』を頻繁に見聞きしますが、感染症分野の言葉ではありません。正しい意味をきちんと理解し、それぞれの分野で間違った解釈をしないようにしましょう。