ポジショニングとは「位置どり」のこと
上司
新人
上司
ポジショニングとは、「位置どり」という意味のカタカナ語。
スポーツの話題でよく登場するワードなので、知っているという人も多いかもしれませんね。ビジネスでのポジショニングも理解し、社会人としてレベルアップしましょう!
ポジショニングの意味を解説
スポーツでは「選手がフィールド上のどの位置につくかを決めること」をポジショニングとするのが一般的ですよね。でも、ビジネスでポジショニングを使うときには、この意味だと変。
シチュエーション別に変わるポジショニングの意味を理解するために、言葉のもともとの意味を正しく知っておく必要があります。
英語のポジショニング(positioning)はどんな意味?
ポジショニング(positioning)は、位置・配置・姿勢などの意味をもつ「ポジション(position)」に「ing」をつけた単語です。
「positioning」には、次のような意味があります。
・位置決め
・位置調整
・位置選定
・ターゲットにしている消費者に、自社ブランドの独自性を印象づけるマーケティング戦略
「positioning」は「一列に並ぶ」や「位置につく」という、物や人の様子を表す形容詞としても使われます。
カタカナ語のポジショニングとは?
カタカナ語のポジショニングは、次のような意味をもつ言葉です。
・全体の中に適した場所をみつけて、位置を決めること
・市場の中で、自社製品の立ち位置をきめるマーケティング戦略
ビジネスでポジショニングを使う場合、英語の「positioning」とカタカナ語のポジショニングはほぼ同じ意味になります。
マーケティングにおけるポジショニングの意味
マーケティング分野でのポジショニングは、他社製品と差別化し、消費者の認識の中に自社製品の立ち位置を作ること。
他社製品にはない自社ならではの強みを創り出すのがポジショニングです。
ターゲットにした顧客に「ほかの競合商品にはない〇〇があるからこの商品がほしい」と思ってもらえればポジショニング成功!
ポジショニングマップとは
ポジショニングマップは、自社製品と他社製品の特徴を把握するために作成する図です。
ポジショニングマップを使うと、自社製品の立ち位置がひと目でわかります。また、ライバルがいない穴場の市場を探すときにも便利ですよ。
ポジショニングマップのサンプル
ポジショニングマップでは、関数グラフの基準線のように、縦軸と横軸を十字に引き、それぞれの軸に比較したい項目を設定。
自社製品、他社製品がマップのどの位置に当てはまるか、それぞれの特徴を考えて記入すれば完成です。
たとえば、ある製品の「デザイン性」と「性能」を軸に設定したときには、このようにして自社の立ち位置を整理することができます。
この場合は、自社製品が性能もデザイン性も兼ね備えていることになり、他社と差別化を図れることになります。もちろん、コストや商品価格など、他にも検討すべき事項はありますが、ある特徴に関して競合商品の中での位置づけ(=ポジショニング)を把握できます。
ポジショニングマップの作り方
ポジショニングマップは、軸に設定する項目選びが一番の鍵!2軸の選び方のポイントを紹介します。
選び方①:自社の強みを考える
軸に設定する項目は「デザインと性能」「美味しさと量」「遊び心と使いやすさ」など、自社製品の強みを選びましょう。
2つの項目は、なるべく関連性が薄いものにしてください。
「価格と質」のように、結果が比例しやすい項目だと、どちらか片方の特徴で比較しても同じような結果になりがち。安いのにとびきり質がいい製品が完成して、相関関係を大幅に崩せるのでない限り、2軸ある意味がなくなります。
また、自社製品の苦手分野を選択して勝負するのは、あまりおすすめできません。苦手克服できる見込みがあるならいいですが、無理して失敗したら自ら負け戦に突っ込んでいく羽目に。
選び方②:ターゲットがほしがるもの
軸には、ターゲットが求めているものの特徴を選ぶ必要があります。
「最強の強みになる!」と会社が自信を持って勧める素晴らしい特徴が、自社製品にあったとしましょう。しかし、そもそも顧客がその特徴を求めていなかったとしたら、お客さんはそこに魅力を感じてくれませんよね。
ターゲットが何を求めているのか、しっかり調査してから項目を決めてください。
選び方③:消費者にとってわかりやすいもの
軸にする項目は、消費者にとってわかりやすいものである必要があります。
たとえば、デジカメは画素数が高ければ高いほど高性能なわけではありません。しかし、一般人はきれいな写真になる条件として「画素数」に魅かれがちです。ただ、「高画素」=「高画質」ではないのです。この場合、「画質がいい」や「高画質」を軸に選んであげるほうが、消費者がシンプルに理解しやすくなるでしょう。
商品を見極めるお客さんは、その分野の詳細な知識を持っている専門家ではありません。
素人に理解できないようなマニアックな特徴を選択してしまうと、顧客は自社製品と他社製品の差を感じられなくなってしまいます。商品ごとの違いがはっきり出る、ターゲットが理解しやすい特徴で勝負するようにしましょう。
選び方④:長期間有利な立ち位置をキープできるもの
軸にする項目は、なるべく長く自社に有利な状況を維持できる特徴を選んでください。
たとえば、最近美容の分野で「マット化」というワードが注目されています。しかし、10年後、20年後にも「マット化」がもてはやされているかどうかを考えたら、ちょっと微妙じゃないですか?
「ナチュラル」や「美白」なら、20年後にも通用するかもしれません。
軸には、このように流行に左右されない、息の長いものがおすすめ。一度決めた軸をコロコロ変更しないほうが、消費者の中にしっかりとした自社製品の立ち位置を刻み込めます。
しかし、時代の変化などによって選択した特徴が軸にふさわしくなくなってしまったときには、潔く新しい項目を設定しなおすのも大切です。
ポジショニングと一緒に覚えておきたい関連語
ビジネスでは、ポジショニングの関連語もよく使われます。マーケティングで重要な働きをするワードなので、ポジショニングとあわせて覚えておきましょう。
ポジショニングステートメント
ポジショニングステートメントは、自社製品のポジショニングについて、誰が読んでもすぐわかるよう簡潔に記した文のこと。
次のようにまとめると、商品の特徴やPRポイントがお客さんに伝わりやすくなります。
①誰に向けた
②どんな特徴をもつ
③こんなニーズを満たす
④〇〇(商品名)
自社製品の魅力を前面に押し出した、ポジショニングステートメントを考えてみてください。
リポジショニング
リポジショニングは、すでにポジショニングを決めて市場で販売している自社製品のポジショニングを見直すこと。
時代の変化などによって、最初のポジショニングでは自社製品の生き残りが難しくなったときに行うのが一般的です。
リポジショニングでは、自社製品の新たな魅力を消費者に植えつけ、新規の市場の開拓を目指します。
ポジショニングの使い方・例文
ポジショニングは、マーケティング分野で重要な働きをする言葉でしたね。意味がわかったら、次はビジネス会話での使い方を確認しましょう。
シチュエーションをイメージしながら、例文を読んでみてください。
先輩
新人
上司
先輩
上司
たくさんの例から学べる書籍「ポジショニング戦略」
「ポジショニング戦略」は、ポジショニング理論の基本戦略から実践方法まで、くわしく学べるバイブル的なビジネス書です。
成功事例・失敗事例が多数紹介されているので、自分の仕事に置き換えて、イメージしながら読み進められます。
新社会人から起業を目指す方まで、多くのビジネスマンにおすすめの一冊です。
[番外編]看護・介護・リハビリにおけるポジショニング
医療の世界でも、ポジショニングは登場します。それぞれの分野で少しずつ異なる、ポジショニングの意味を確認しましょう。
分野 | 意味 |
看護 | 手術を安全に行うため、患者を適した体位にさせる。治療中の患者の苦痛を和らげ、回復を助ける体位を工夫する |
介護 | 患者の苦痛を緩和するためや、気分転換を図る目的で体位を工夫する |
リハビリ | リハビリの効果を上げるため、患者に正しい姿勢・適切な体勢を取らせ、それを維持する |
母性 | 出産時・産後の回復期・授乳時における母子の疲労回復や、心と身体を楽にしてあげるための姿勢指導 |
ポジショニングするときには、クッションなどを使って患者にとって最適な体位を作ります。
マーケティング戦略はポジショニングで差別化を図ろう!
上手なポジショニングで競合他社と差別化できれば、小さな労力で長期間、他社よりも有利に自社の商品やサービスを売ることができます。
逆にいうと、ポジショニングを無視したマーケティング戦略は無駄が多く、行き当たりばったりになりがち。
他社がマネできないポジショニングを考え、勝てるビジネスを目指しましょう!