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「五月雨」の本当の意味とは?ビジネス用語「五月雨式」も解説!使い方や英語表現も

「五月雨」とは“梅雨に降る雨”のこと

五月雨を集めて早し…

実は「五月雨」って五月に降る雨じゃないって知ってた?

五月雨を集めて早し最上川

これは江戸時代の有名な俳人、松尾芭蕉(まつおばしょう)が詠んだ俳句です。松尾芭蕉の作品の中でも有名な一句なのでご存知の方も多いでしょう。ちなみに意味はこんな感じ↓

五月雨を集めてきたように最上川は流れがすごいなー

最上川は山形県を流れる川です

ここでいう「五月雨」ですが、現在の5月に降る雨ではないことはご存知でしょうか。「五月雨」とは梅雨に降る雨のことを指します。

梅雨といえば6月ですよね。なぜ“六月雨”ではなく「五月雨」なのでしょう。

答えは簡単。ここでいう“五月”は旧暦の5月だからです。旧暦5月は現在でいう6月頃を指します。

芭蕉は最上川の流れを梅雨に降る大雨に例えたんですね

「五月雨」の読み方

今更ですが、「五月雨」は何と読むでしょう。「さみだれをあつめてはやし…」と俳句を思い出せばスッと出てきますが、「五月雨」だけ見て一瞬、「ごがつあめ?」「さつきあめ?」と迷ったことがある人はいませんか。

「五月雨」は“さみだれ”と読みます。「さ」は旧暦5月を指す「五月・皐月(さつき)」から。「水垂(みだれ)」には「雨が降る」という意味があります。

「さつきあめ」と読む場合もありますが、一般的に「ごがつあめ」とは読まないので注意。

「五月雨式」とは

芭蕉の俳句ぐらいでしか耳にしない「五月雨」よりも、「五月雨式(さみだれしき)」の方がビジネスパーソンにとっては馴染み深いかもしれません。

「五月雨式にすみません」というフレーズを聞いたことはないでしょうか。

「五月雨式」とは物事をまとめてではなく、小出しにして断続的に行っていくこと。「五月雨」が表す梅雨の雨のように、少しずつ断続的に続いていく様に例えています。

ビジネスシーンではEメール等で質問や依頼、情報などをまとめてではなく小出しに送信、連絡していく様を表す言葉として使われています。また、商品や書類などを小出しに納品、提出するような際も使用します。

「五月雨式にすみません」とは、まとめて連絡や情報提供できないことを謝罪する際の言葉です。

「五月雨式」の例・使い方

ビジネスシーンでの「五月雨式」とは具体的にどのようなものなのでしょうか。以下の例文で見ていきましょう。

五月雨式」のEメール

A社との打ち合わせの件です。B案とC案だったらB案の方がいいといっていました。

オッケー。次回の打ち合わせまでにB案をもっと詰めておいて

C案も条件によってはありとのことでした。

B案を前提に進めつつ、C案も準備しておいて

でも、やっぱりまったく新しいD案を持ってきてといってました

結局どうだったの!?一度にまとめてよ(怒)

「五月雨式」の悪い例ですね。あらかじめ「五月雨式にすみません」と断っておけば怒らせることはなかったかも。とはいえ、この表現を知っている人であれば、あえてだらだらしたEメールは送らないですよね。

「五月雨式にすみません」と断るのは、事情があって断続的にならざるおえない場合です。例えば以下のような場合。

・送信した後に新情報が出て、追加送信

・完成したものから順次納品していく

・相手の様子を見ながら情報を小出しにして渡す

事情がある場合に「五月雨式にすみません」、「五月雨式になってしまいますが…」と断りを入れておけば相手を怒らせることはないでしょう。

「五月雨式」の例文

五月雨式にすみません。

五月雨式に申し訳ありません。

五月雨式ではございますが…

五月雨式に失礼いたします。

「五月雨」「五月雨式」の類語

「五月雨」「五月雨式」の類語表現も見ていきましょう。

「五月雨」の類語

「五月雨」を言い換えるとしたら「梅雨」「大雨」「長雨」「じとじと雨」「6月の雨」などでしょうか。「5月の雨」と言い換えるのは間違いです。「旧暦5月の雨」ならいいかもしれません。

「五月雨」と似た言葉で「五月晴れ(さつきばれ・ごがつばれ)」はご存知でしょうか。

はいはい、これも「五月雨」と同じで5月の晴れた天気のことじゃなくて、6月の晴れ日のことなんでしょ

と考えたあなた!半分正解で半分外れです。たしかに「五月晴れ」は以前は梅雨の合間の晴れ日のことを指しましたが、現在では5月の晴れ日のことも指すようになっています。

その証拠に気象庁のサイトを見ても「五月晴れ」の意味は「5月の晴天」とあります。備考には「本来は旧暦の5月(さつき)からきたことばで、梅雨の合間の晴れのことを指していた」とあるように、誤用が一般的になり浸透していったようです。

ニュースや新聞で見聞きする「五月晴れ」は基本的に「5月の晴天」であると覚えておきましょう。

「さつきばれ」と読むと「梅雨の合間の晴れ」、「ごがつばれ」と読むと「5月の晴天」と使い分ける説もあります。

ちなみに、「五月雨」は気象庁では使用を控えるべき言葉として「予報、解説には用いない」と記載されています。

梅雨の間の束の間の晴れ日と、五月の雲一つない快晴ではまったく印象が違いますね

「五月雨式」の類語

「五月雨式」を言い換えるとしたら、「断続的」「だらだら」「絶え間なく」などが挙げられます。

「五月雨式にすみません」というフレーズごと言い換えるのであれば、「まとめてお渡しできず申し訳ありません」といった言い回しが可能です。

「五月雨」「五月雨式」の英語表現

「五月雨」「五月雨式」の英語表現も見ていきましょう。

「五月雨」の英語表現

「五月雨」、つまり梅雨を英語で外国人に説明したい場合、「rainny season」や「monsoon season」「wet season」などで表現できます。梅雨の古い言い方だと補足しておけばいいでしょう。

「五月雨式」の英語表現

「五月雨式」を英語で表現する場合、「repeatedly(繰り返し)」や「intermittently(断続的に)」などの単語を使用できます。また、「in a row(立て続けに)」「on and off(断続的に)」などの表現も使用可能。

文章にすると、以下のようになります。

I’m sorry for sending you so many emails in a row.

(立て続けにメールを送ってしまい申し訳ありません。)

「五月雨式」は断りを入れてから

誰でも連絡は、まとめてスマートに行いたいですよね。報告や納品も同じです。小出しにして提出するよりも、一度で終わらせた方が何だかできるビジネスパーソンっぽい…

とはいえ、いつでもそんな風にうまくできるわけではありません。自分の意思に反して「五月雨式」にならざるおえないこともあるでしょう。また、戦略的に「五月雨式」にする場合もあります。

だらだらと理由もわからず「五月雨式」に連絡されたら腹を立てる人もいますが、あらかじめ「五月雨式になるかもしれません」といえば問題ないでしょう。「五月雨式」になりそうなときは断りを入れておけばスマートです。