「仰る」は敬語?使い方や注意点、類語・英文をまとめて解説!

「仰る」は「言う」の尊敬語!

部下

課長、今度の僕の意見書はどうですか?かなり説得力があると思うのですが!
確かに意気込みを感じるものはあるが、これってつまり、君の要望を前面に押し出してるのではないのか?

課長

部下

ははは…。なにを仰るんですか。ちゃんとみなさんの意見を汲み取ったうえでの内容ですよ。


「仰る」とは、「言う」の尊敬語にあたります。「いう」や「口に出す」など、目上の人の動作をかしこまって表現した言葉です。

社会に出れば自分より目上の立場の人と接する機会も増え、自然と使用する場面が登場します。面接や取引、顧客との対応など、失礼があってはならない相手に対してスムーズに使えるようにならなくてはなりません。

「仰る」はビジネスシーンで幅広く使われている言葉ですが、誤った使い方をしている人も見られます。すでにご存じの人やまだ具体的に使った経験がない人も、この機会にぜひ覚えておいてください。あわせて「仰る」の類語についても解説します。

「仰る」の類語(言い換え表現)
・言う(こと)
・話す
・物言う
・物語る
・申し上げる/申し述べる
・陳ずる
など

「仰る」の読み方と意味

口語では頻繁に使用されている「仰る」ですが、深く理解しているかと問われれば、そうではない人も多いかもしれません。。漢字の読み方や書き方、または意味をよくわからずに使っているなどなど。そういった懸念が起こらないよう、ここでは「仰る」の読み方と意味について解説します。

「仰る」の読み方と表記の種類

「仰る」は「おっしゃる」と読みます。漢字で書く際には「仰有る」や「仰っしゃる」などの表記もありますが、一般的には「仰る」と書いて「おっしゃる」とするのがベターです。

それぞれの表記に意味の違いはありませんが、メールや文章では「仰る」で統一したほうが読むときにすっきりします。

「仰る」の意味

「仰る」は「言う」や「話す」を尊敬語であらわした表現です。「○○さんが言う」の意味を、「仰る」を使って表現した場合が次の例文になります。

例文1

先輩

明日の打ち合わせが急に延期になったらしいわね?
部長が仰るには、明日は風水的に日が悪いとのことです…。

後輩

例文2

部下

課長、先輩からさっき連絡があって、「来週は一週間休む」とのことです。なんでも「懸賞で旅行チケットが当たった」とかなんとか…。
仰ることは理解できるが、これまた急だな~…。

課長

相手の「いう」や「いうこと」を「仰る」に置き換えて使用します。

「仰る」の使い方

尊敬語を使うケースは、基本的には目上の相手になります。例えば上司や先輩、取引先などです。「仰る」を使った主な例文をご覧ください。

・社長が仰るにはまず顧客目線であること。
・田中様と仰る方がお見えになっています。
仰る意味が理解できません。
・そこまで仰るなら証明してみせてください。
・そう仰るにはなにか理由があるのでしょう。
・お客様の仰る通りでございます。

自分を相手より下に置き、かしずいた*態度で使います。また、「仰る」のほかの使い方には「仰る通り」の表現があります。相手の言葉に同意や同調する「言う通り」や「その通り」など、これらの表現を尊敬語に変えた言葉です。

*「かしずいた」とは・・・漢字で「傅(かしず)く」。人に仕え、大事に世話をしたり大切にすること。「かしずいた態度」とは、その人に仕えるような態度をあらわし、忠実で礼儀正しいさまに例えた言葉。

同格や目下を相手に使用する言葉ではなく、あくまで目上に対して「仰る」を使用します。そうではない場合だと皮肉として使用されるケースもありますが、軽口を叩ける間柄でなければ使用を控えたほうが無難です。

メールや電話で「仰る」を使う場合

ビジネスシーンでは、メールや電話などあらゆる場面で「仰る」を使用する機会があります。先述した「仰る」の例文は口頭で使用可能です。ここでは口頭以外でも使えるさまざまな「仰る」の使い方を一覧でご紹介します。

メールや電話で使える「仰る」の例文
・お客様の仰るように、弊社で取り扱いさせていただいております。
・○○様が仰ることは十分理解しております。何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます。
・お客様の仰る通りでございます。謹んでお詫び申し上げます。
・○○様が仰るようなことは決してございませんので、安心してご利用くださいませ。
・なにか意見やご不満点がありましたら、遠慮なく仰ってください。

「仰る」は口頭でもメールでも使い方に大きな変化はありません。「言ってください」のニュアンスを相手に伝えたい場合、「仰る」の形にこだわらず、「仰って」に変化させて使用します。

「仰る」の基本的な使い方さえ覚えておけば、あらゆる場面で使いまわしが可能となります。

「仰る」の過去形

「仰る」の過去形
・仰った
・仰いました
・仰りました

「言う」の過去形をそのまま「仰る」に当てはめればいいわけではありません。例えば「言われた」を「仰っしゃわれた」に差し替えた使い方は間違いです。「仰る」を過去形として使う場合、上記の3つを覚えておけばOKです。

「仰る」を使う際の注意点

「仰る」の誤用で特に多いのが、二重敬語やウチソト逆転敬語です。特に気をつけたいのが、社外の人間に対して尊敬語を使う際、社内の人間にまで謙譲語ではなく尊敬語を使ってしまうパターンです。「仰る」の誤用と注意点を詳しく一覧で解説します。

二重敬語
同じ種類の敬語を重ねて使用すること。
尊敬語+尊敬語
謙譲語+謙譲語
など
ウチソト逆転敬語
社内の人間を社外の人間と同格、または高めてしまう敬語。
社外と社内の人間に同時に尊敬語を使ってしまうこと
尊敬語と謙譲語の違い
尊敬語・・・目上に対し、相手を立てる表現
謙譲語・・・自分を下げることで相手を立てる。へりくだった表現
二重敬語の誤用例
○「課長が忘年会の日程は任せると仰いました」
×「課長が忘年会の日程は任せると仰られてました」
※「仰られて」は「仰る」と「られる」の尊敬語の重複
ウチソト逆転敬語の誤用例
○「○○もそのように申してました」
×「○○もそのように仰っていました」
※社外の人間に対する上司への表現は謙譲語or丁寧語を使用する

古語である「仰せられる(おおせられる)」が誤用として表記されるケースもありますが、「仰せられる」は「言いつける」の意味をあらわす言葉です。「言うこと」と「言いつける」では意味が異なるため、どちらにしても「仰(せ)られる」は誤りです。

尊敬語は自分より格上に対して使う表現であるため、たとえ上司であっても格上とされる社外の人間と同格に扱うのは失礼にあたります。この場合は上司に敬意を払った表現で十分です。

二重敬語と社外の相手への尊敬語の使用。この2点に注意して「仰る」を使用しましょう。

「仰る」の類語

目上の人への「言う」と同じ意味の言葉には、「仰る」以外にもまだまだあります。ビジネスシーンや披露宴などのフォーマルな場所で使う機会がある類語をご紹介します。社会人であるみなさんは、これらの言葉も十分に使いこなせるようにしましょう。

「物言う」

文字通り「物を言う」と書いて、言葉を口に出すさまをあらわす言葉です。言葉を出すさまだけではなく、気の利いた言葉をあらわした表現としても使えます。どちらかといえば「物申す」の表現のほうが広く使われています。

例文1

上司

やれやれ、さすがに部長のワンマンぶりにはみんな困り果ててる様子だね。
かといって、僕らが物言う(物申す)にはちょっと勇気がいりますね。

部下

例文2

部下

とりあえずここは切り替えましょう。このままだと仕事にも影響が出るし、今日はここまでってことで。
君のその遠慮なく物言う姿勢も大したものだと思うよ。

上司

例文3

後輩

なにをいってるんですか!こういうときこそ前向きな姿勢が大事なんじゃないですか!
ストレス社会には、君のようなポジティブな考えが物を言うのかもしれないわね。

先輩

「物語る」

事情をあらわす言葉です。ある原因があることにより、その結果があらわれていることを表現する際に使われます。

例文1

部下

ここのところ、会議明けの課長はずっとゲッソリしてますね。
それだけのプレッシャーがあるってことを物語ってるわね

先輩

例文2

部下

相変わらずAくんの机は汚いなあ・・・。ちょっとは片付けようって気にならないのかしら?
デスクの扱いが、まさに彼の性格をよく物語ってるね。

上司

「申し上げる/申述べる」

「言う」の謙譲語である「申す」を使った敬語です。相手に敬意を払う表現であるため、ウチソト逆転敬語を避ける場合にも使用できます。丁寧語の「ます」で締める「申し上げます/申し述べます」は、重要な報告をする厳粛な場で使用する機会も多いです。

例文1

先輩

君の机があまりにも汚いから、ちょっと綺麗にしておいたわよ。これからはちゃんと整理整頓しなさい!
先輩…。お心遣いに感謝申し上げます!

後輩

例文2

上司

で、なんでここまでぐっちゃぐちゃになったのか、一応言い訳を聞かせてもらおうか?
えーっと…。ことの顛末を申し述べさせていただきますと、長くなりまして…。

部下

「申し上げる/申し述べる」は、「~る」で絞めるよりも「申し上げます/申し述べます」と言い換えて使う機会が多いです。その代表として、「お願い申し上げます」がよく使われています。

また、「申し上げる」と「申し述べる」は口語と書き言葉で使い分けされるケースが多く、口頭では「申し上げる」を使用するのが一般的です。

「陳ずる」

「陳ずる」とは、公の場で物事を説明する際に使用される言葉です。似た言葉として「陳述する」も耳にする言葉かと思います。ビジネスシーンでは、理由や弁明が行われる「申し開き*」の場で使われます。

*「申し開き」とは・・・自分の行いに対し、理由を説明すること。別の言葉で「弁明」や「釈明」など。
例文1

後輩

ちょっと色々ありまして、あとにしようあとにしようと思ってたら手つかずになってしまって・・・。
・・・などと意味不明なことを陳述しており…。ってところね。

先輩

例文2

後輩

これからは気をつけますので、何卒ご勘弁を!
とりあえずごまかす癖を直して、もっと真摯に陳ずるべきだよ。

上司

「陳ずる」は古語として使われる古い表現です。表現的にも仰々しく感じるため、現在では別の類語を使用したほうが無難で通じやすくなります。

ビジネスシーンで「仰る」を使いこなそう

社会人になると目上の人との付き合いが増え、失礼のない対応を求められます。丁寧な言葉遣いを心がけていても、使い方を間違っていては台無しです。今回ご紹介した「仰る」も、無意識に誤用してしまっているケースの多い敬語です。

敬語を正しく使用し、目上の人に対しての礼節や気配りを完璧にこなしてこそスマートなビジネスパーソンです。みなさんも今回の内容を参考にして、「仰る」をスマートに使いこなしてくださいね。