インフレ/インフレーションとは『物価が上昇し、貨幣価値が下がる』こと
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この記事をご覧の方は、ここの新人くんのように、「インフレーションって何?」「インフレってどんな状況?」と思ってこの記事にたどり着いたのではないでしょうか?
経済に関する言葉は理解するのが難しいものが多々ありますよね。
ここでは、「インフレ」という言葉を聞いて「あ、こういう状態ね」とすぐにピンとくるよう、わかりやすくまとめました。ぜひ最後まで読んでしっかり学んでいってください。
インフレ/インフレーションの意味をチェック
よく見聞きする『インフレ』ですが、正式名称は『インフレーション』です。
これを簡単に解説すると『物価上昇により、貨幣価値が下がること』となります。しかし、これだけではいまいちイメージがわかない人も多いでしょう。
そして、インフレは、『〇〇インフレーション』といった、さまざまな分類のものが存在します。そこで、一般的によく耳にするインフレーションをわかりやすく解説します。
需要インフレーション
需要インフレとは、供給が需要に追いつかないことが要因で起こるインフレーションです。
たとえば、1つ1,000円で売っているココナッツオイルがあったとします。
そこに「ココナッツオイルにはダイエット効果だけでなく健康効果も!」と話題になると、買う人が急激に増えますよね?こうなると品薄が続きます。これは、供給が需要に追いついていない状態です。
そうなると、次に入荷したときは「1,300円でも売れるんじゃない?」と値上げされます。これが需要インフレーションです。
コストインフレーション
コストインフレとは、資金や材料などが値上がりすることで発生するインフレーション。『コストプッシュインフレーション』とも呼ばれています。
わかりやすい例としては『ガソリン価格の値上がり』があります。
ガソリン価格は、『原油コスト』『精製コスト』『配送コスト』『ガソリンスタンド運営コスト』の合計から成り立っています。その中の原油価格が高騰すると、必然的にガソリンの価格も上げざるを得なくなるわけです。
ガソリン価格は長い期間一定であることは少なく、値上がり・値下がりが頻繁に発生します。その多くは、原油価格が要因といえるでしょう。
輸出インフレーション
輸出インフレとは、輸出が増えることで、国内供給が減り、それにより物価が上昇して起こるインフレーションです。
海外への輸出が原因ですが、需要が供給に追いつかなくなるといった状況になるため、『需要インフレ』につながるインフレーションとなります。
輸入インフレーション
日本企業の中には、製品を作る原材料を海外から輸入しているところも少なくありません。
そのため、輸入先の国でインフレが起こっていると、輸入商品価格も上昇します。これを輸入インフレといいます。簡単にいうと、輸入商品の物価上昇ですね。
インフレーションの英語は『inflation』
インフレーションを英語で表すと『inflation』となり、次の意味をもつ単語として使われています。
■膨張
■慢心
■得意
■通貨膨張 など
『膨張』の意味でも使われますが、海外でもinflationは日本と同じ意味で登場することが多いです。
インフレーションの反対語はデフレーション
インフレとデフレが相対する言葉だということは、内容を理解していなくてもわかっている人は多いでしょう。そして、インフレ同様デフレも略語で、正式名称はデフレーションで、『物価が下落し、貨幣価値が上がる』ことをいいます。
物の値段が下がると売り上げも下がり、企業の利益も減少します。この状況が長引くと、資金源の少ない企業では、悪くすると従業員への給与支払いが困難になります。
一般的に景気が悪いといわれているのは、このデフレーションに陥っているときです。
ここで状況を簡単にまとめておきましょう。
■インフレ→貨幣価値が下がる=円安
■デフレ→貨幣価値が上がる=円高
なお、デフレーションについては次の記事で解説しているので、あわせて読んで理解を深めてください。
デフレーションの意味とは?デフレスパイラルって?原因・影響・メリット・デメリットも解説
インフレーションが起こる原因
前述したように、インフレが起こる原因は一つではありません。その中でも大きな要因となっているとされているのは『需要インフレ』と『コストインフレ』です。
需要インフレでは、モノが少ないのに需要が多いため、モノより貨幣は多く流通します。そして、コストインフレが起こっていても、必要なモノは購入するため、需要が減ることはありません。
インフレーションによる影響とは?
インフレーションに陥ると、少し値上がりしても消費者は買っていきます。そのため、「もう少ししたらもっと高くしても売れるかも」と考える店舗が出てきます。
そうなると、ますます品薄になり、店頭に並んだときに前より値上がりしているといった状況になってしまいます。
しかし、給料は急には上がりません。そうなると、貯金を切り崩すことになるため資産が減ってしまいます。
インフレーションのメリット・デメリット
インフレーションについていろいろと解説してきましたが、結局は「いいことなの?悪いことなの?」と疑問に思っている人もいるでしょう。
そこで、ここではどんなメリットやデメリットがあるのかを簡単にまとめてみました。
メリット
インフレになると物価が上がるため、企業としての利益も増加します。そうすれば、企業によっては給料UPできるところや、臨時ボーナスを出すところもでてくるでしょう。
このように、収入が増えれば「これを機に買い物をしよう」と思う人も増えます。
また、インフレになると円安、つまり円の価値は下がります。『ドル→円換算』にした例をあげてみると、1ドル=100円だったのが、1ドル=130円になるということです。
インフレのときに日本で旅行をすると、いつもよりたくさんの円に換えられるので、海外旅行者が日本で使うお金が増え、観光業の利益は上がります。
デメリット
短期のインフレならメリットも多いかもしれません。しかし、物価上昇にともなって収入がどんどん増えることはありません。そのため、インフレが長く続くと、今度はお金を使わなくなり、景気は悪くなっていきます。
そして、この景気下降状況が続いていくと、今度はデフレが起こるというデメリットがあります。
インフレーションの関連語
インフレーションには『インフレーション〇〇』といった関連語がいくつか存在します。ここでは、よく目にする2つの用語について解説します。
インフレーション宇宙
宇宙は、もとは熱い火の玉で存在し、それが膨張するにつれ温度が下がり、ガスが固まって銀河や数々の惑星が生まれたといわれています。
この膨張による宇宙の変化を『インフレーション宇宙理論』といいます。そのほか、『宇宙のインフレーション』や『インフレーション理論』と呼ばれることもあります。
インフレーションフィルム
ポリエチレンはさまざまな形成ができる素材で、その中の一つに『インフレーション形成』があります。これは、溶かしたポリエチレン樹脂を筒状に押し出し、中に空気を吹き込んで風船のように膨張させます。
そして、これを2つに折りたたみ、適度な長さで切って片方を閉じればポリエチレンの袋ができるわけです。
多くのポリエチレンフィルムは、このインフレーション形成法で作られており、これを『インフレーションフィルム』といいます。
インフレ/インフレーションの使い方・例文
インフレ/インフレーションの意味がわかったら、カッコよく会話でも使いたいですよね。そこで、例文を3つ用意してみました。間違った使い方をしないためにも、場面を想像しながら読んでみてください。
インフレーションの意味を正しく理解し、日本経済を観察しよう
これまでインフレーションの意味があいまいだったあなたも、今回学んだことでしっかり理解できましたよね。
これからは、『インフレ』という言葉を耳にしたら、日常生活での物価上昇率やニュースで経済状況を観察してみましょう。