パラドックスとは『逆説』のこと!
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パラドックスという言葉は日常においても耳にすることがあるでしょう。そして、『パラドックス』をよく見聞きするのは映画や小説で、現実ではありえない仮想現実の世界や時空を超えたストーリーであることが多いですよね。しかし、パラドックスの言葉の意味をきちんと説明できる人は少ないのではないでしょうか。
パラドックスとは、一言で説明すると『逆説』のこと。上の会話で先輩が言っている『急がば回れ』がまさにパラドックスです。こちらの記事ではパラドックスの正しい意味や使い方などをわかりやすく解説します。
パラドックスの意味をチェック!
パラドックスは、ギリシア語の『反』『超』を意味する『para』と、『意見』『通念』を意味する『doxa』を合成してできた言葉です。それでは日本語ではどのような意味で使われているのでしょうか。英語でも同じ意味として通じるのでしょうか。あわせてチェックしておきましょう。
日本語のパラドックスとは?
パラドックスを簡単な日本語で表すと『逆説』。もっとわかりやすく説明すると、次のようになります。
■正しいようで、実は正しくないこと。
■定説に逆らっていること。
■間違っているようで、間違っていないこと。
つまり、一瞬矛盾しているように感じることが、実はつじつまがあっている様子を表す言葉です。
簡単な例としては、『急がば回れ』ですね。急いで目的地に行きたいなら、混雑している近い道よりも、スイスイ通れる遠回りで行ったほうが早い。『遠回りの方が早い』というのは矛盾しているようでそうではない。これがパラドックスというわけです。
パラドックスの英語は『paradox』
パラドックスの英語のスペルは『paradox』です。次のような意味をもつ単語として使われています。
■逆説
■矛盾した
■矛盾した人
■奇説 など
そして、英語の熟語としては次のような使い方をします。
■apparent paradox(明白な矛盾)
■profound paradox(深い矛盾)
■resolve a paradox(矛盾を解決する)
■twin paradox(双子のパラドックス) など
[ビジネス版]パラドックスの使い方・例文
パラドックスの意味がわかっても、「例としてはどんなものがある?」と聞かれるとパッと思いつかない人は多いでしょう。ちょっと難しいカタカナ用語のパラドックス、ビジネスシーンではどのように使えばいいのでしょうか。
上司
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パラドックスとジレンマの違い
ジレンマを簡単な日本語にすると『板挟み』です。ジレンマは、AとBという2つの事柄の板挟みになることで、葛藤が生じます。
一方、AとBが相反するものであるときに使う言葉がパラドックス。一見すると矛盾しているようにみえるけれど、実は正しく、理にかなっているという意味になります。パラドックスには、葛藤や板挟みの要素がありません。
有名なパラドックスの例を紹介!
パラドックスの身近な例には、『急がば回れ』『負けるが勝ち』などがあります。しかし、もっと面白いパラドックスの例がいくつもあります。ここでは有名なものをピックアップしてみました。どんなところがパラドックスなのか考えながら読んでみてください。
タイムパラドックス
タイムトラベルで過去に行き、そこで起こす事柄によって、今ある現代に矛盾が生じてしまう現象を『タイムパラドックス』といいます。現代では現実に起こりうることではありませんが、SF小説やアニメなどの題材としてはよく取り入れられています。
双子のパラドックス
速く動くと時間が遅れるという相対性理論に矛盾があるかどうかを、アインシュタイン本人が時計のパラドックスとして出した問題があります。その後、ポール・ランジュパンが双子をモデルにしたパラドックスを提案し、『双子のパラドックス』が有名になりました。
これは、双子の兄がロケットで宇宙に行き、弟が地球に残った状況を仮定した説です。宇宙にいる兄は、光速に近いスピードで進んでいます。弟から見ると、兄のほうがより多く進んでいるため、弟のほうが加齢が遅いという考え方ができます。
しかし、宇宙にいる兄から見れば、弟のほうが動いています。弟のほうが加齢が進んでいるという逆の説が立てられるため、パラドックスになるわけです。
ゼノンのパラドックス
俊足のアキレスという人と、足の遅い亀の徒競走が題材となったパラドックスで、『アキレスとカメ』といわれています。
アキレスのいるところから100メートル先に亀のスタート地点を設定します。アキレスと亀が同時にスタートすると、亀も歩き続けている限り、アキレスは追いつくことはできないという話です。
理論上は、アキレスも亀も休まず歩き続けるわけですから、アキレスは追いつけないというのは正しそうに見えます。しかし、実際は足の速い人が亀を追い越せるので、これが理論と逆になっていることからパラドックスになります。
[番外編]『パラドックス』を名前に用いた作品もある!
これまで解説してきたように、不思議だと思える説がたくさんあるパラドックス。ここからは番外編として、パラドックスを題材とした作品を紹介しておきます。
東野圭吾の『パラドックス13』
舞台は東京。3月13日13時13分13秒にブラックホールの影響で『P-13』という現象がおき、選ばれた10人以外の人が消え、その10人の中には過去に死んだ人も。そしてその世界では善悪が変わり、人殺しさえ『善』になるというパラドックスがおきており、その中で生き残りをかけていくといった話です。
参考
Amazonパラドックス13(サーティーン)東野圭吾
パラドックスという名の楽曲もある!
ジャニーズのアイドルグループである嵐が、2013年10月にリリースした『Love』というアルバムに収録されている楽曲に『パラドックス』があります。『P・A・R・A・D・O・X』と表記されているので、ちょっとわかりにくいかもしれません。そして、パラドックスはサビの部分に登場。
P・A・R・A・D・O・X(I’m gonna make you stop it, baby)
P・A・R・A・D・O・X(I’m gonna make you stop it, )
P・A・R・A・D・O・X(I’m gonna make you keep on, baby )
P・A・R・A・D・O・Xの後の英語を訳すと、『I’m gonna make you stop it』は『やめさせる』、そして一番最後の『I’m gonna make you keep on』は『続けさせる』という意味です。相反することを言っているので、パラドックスになるのかもしれません。
パラドックスという服のブランドもある!
ファッションブランドの『PARADOX(パラドックス)』は、世の中の矛盾から生まれるエネルギーを軸に、新たなクリエーションの可能性を追求し続けることをコンセプトとしています。レディースメンズ問わずに着られる服が多いのが特徴です。
参考 PARADOX公式サイトパラドックスの定義を理解してうまく会話に取り入れよう!
パラドックスという言葉をビジネス会話に取り入れるのは、ちょっと難しく感じるかもしれません。しかし、「これは矛盾してるな」「それは逆説じゃないのか?」と思う場面に遭遇することはあるでしょう。今のうちにきちんと意味を理解し、機会があればスマートに使ってみてください。