「ひいては」とは?意味や漢字・類語・「しいては」との違い・英語表現を解説!

「ひいては」は”ひいて”を強調した言葉

新人

毎日雑用みたいな仕事ばかりだけど、こんなことで本当に役に立っているのかなあ…。
何事も基礎が重要だ。毎日の積み重ねはそれだけで自分の経験となる。ひいてはそれが、自分のレベルアップにもつながるからね。

上司

新人

ふむふむ…。そういうものなんですね。

「ひいては」は”ひいて”を強調した言葉として使われます。「ひいては」の使い方を知る前に、まず「ひいて」がどのような言葉かをご説明します。

「ひいて」とは、動詞の「引く(ひく)」が変化して「ひきて」→「ひいて」に転じた副詞です。ものや事柄を”引っ張る”や”引っ張って”の表現でも使われている言葉ですね。

言葉の表現による「引いて」だと、”物事を引っ張っている”とも受け取れますが、それだけでは「ひいては」の本来の意味には少し足りません。「ひいては」の使い方を間違えないように、漢字や類語表現の解説にも目を通しておきましょう。

「ひいては」の類語(言い換え表現)
・そのため
・それゆえ
・その結果
・さらに

「ひいては」の漢字と意味

「ひいては」の漢字は「引いて」ではなく、「延いては」が正式な表記になります。なぜ「引」ではなく「延」なのか…それは、「ひいては」の意味が関わってきます。

物事の”原因”と結果をつなぐときに「ひいては」は使用され、前文の事柄を「引っ張る」「引き延ばす」との意味があります。

ただ”事柄を引っ張っている”だけではなく、”事柄を大きく延いている”から「引いて」ではなく「延いては」になるのです。このように本来は副詞である「ひいては」ですが、前文の事柄をつなぐ接続詞的な使い方がされています。

上司

「引いては」と表記するケースもあるけど、本来の意味は”事柄を引き延ばして大きく広がる”から「延いては」の意味になるんだ。だから「引いては」も大きな間違いではないけど、漢字にするなら「延いては」が正しいね。

「ひいては」の使い方・例文

原因と結果を説明をする場面は、ビジネスシーンで多く起こります。いざというときにのために、「ひいては」の使い方を例文でマスターしておきましょう。

「ひいては」を使った例文

例えば、災害時における二次災害を懸念する説明の場合。

例文

後輩

ようやく地震が収まりましたけど、みなさん大丈夫ですかね?
火の元やガラスがそのままであれば、ひいてはそれが原因で火事やケガ人が出る恐れがあるわね。

先輩

災害の原因があって被害範囲の拡大を懸念しています。つまり、出来事の”原因”である災害を受ける形で、”原因”による二次災害の結果が起こる可能性につなげています。

それでは次に、ビジネスシーンでよくあるシチュエーションでの例文をご紹介します。

例文1

後輩

これだけ人がいれば、多少手を抜いてもわかりませんよね?
こら!君が手を抜いたらそれだけ仕事が遅れるのよ。ひいてはそれで、ほかの人に迷惑がかかることになるんだから!

先輩

 
例文2

部下

今つらくても、あとで絶対自分のためになるから頑張りましょう!
その意気だよ。ひいては社内全体にとっても、それがいい影響を及ぼすからね

上司

例文3

後輩

なんとか終わりましたね。それにしても疲れたなあ…。
お疲れ様。だけど今ここで頑張った分だけ評価も上がるし、ひいては業績アップにもつながるわよ

先輩

「ひいては」の類語

前文とあとの文につなげる使い方ができる「ひいては」の類語をご紹介します。普段から使用頻度の多い言葉のなかには、「ひいては」と同じ意味をもつ言葉があるのでチェックしていきましょう。

そのため

「そのため」は「ひいては」よりも使用頻度が高く、そのまま置き換えての使用が可能です。

例文

後輩

おはようございます。あれ?課長、今日は遅いですね?
昨日の案件にクレームが入ったみたいで、そのために先方の会社に直行したそうよ。

先輩

それゆえ

「ひいては」と同じく、前文の事柄を受けて結果につなげる言葉です。“理由”をあらわす「故(ゆえ)」を用いた表現です。

例文

部下

結局楽をしようと思ったら、それなりの実績と成果が必要なんですね。
それゆえに人はみな努力する。あなたも少しは頑張りなさい!

先輩

その結果

前の出来事の結果へと導く際に使用する表現です。表現が直接的で、「ひいては」や「それゆえ」よりも意味を伝えやすい表現です。

例文

部下

課長、お疲れ様です。どうでした?
先方にはこってり絞られたけど、すぐさま対応したからその結果大事にはならなかったよ。

課長

さらに

前の事柄にかぶせるように出来事が続いている様子をあらわす言葉です。

例文

部下

お疲れのところ申し訳ないのですが、実はもう一件問題ごとがありまして…。
クレームだけじゃなく、さらに問題があるのか…。

課長

「ひいては」に似ている言葉「しいては」との違い

「ひいては」に似ている言葉に「しいては」があります。「ひいては」の意味で用いる人も少なからずみられますが、それはハッキリとした誤用です。おそらくは母音が似ているために、誤って覚えている可能性があります。ここで「ひいては」と「しいては」の区別をつけておきましょう。

そもそも「しいては」という言葉は存在しない

「しいては」は「ひいては」と意味が異なるだけではなく、そのような言葉自体、存在しません。この時点で誤用は確定していますが、それでも使ってしまう人が多いのは言葉が似ているだけでなく、「強いて」の誤用が原因と考えられます。

強いて
・”強いる”の連用形に接続助詞である「て」をつなげた言葉
・無理やり。強引。強要。押し切って無理強いさせること。

「ひいては」と「しいて」は動詞を連用形に変えた言葉ですが、意味合いがまったく別物です。これまで説明したように、「ひいては」は”前の事柄を受けて原因となった出来事につなげる言葉”です。対して「しいる」は、”相手に強要している”表現です。

厳密にいえば「しいては」を使用するケースもありますが、「無理をさせては~」と”様子”をあらわす意味の言葉になり、文章をつなげる言葉ではありません。前の事柄をつなげる言葉にするには、「しいては」では不自然になってしまいます。

ここで「しいて」の正しい使い方を例文で確認しましょう。

例文1

部下

ほら!スケジュールが詰まってるんだから休まない!それが終わったらこれもやっちゃいなさい!
自業自得とはいえ、Aくんにあまり無理をしいてはダメだぞー。

上司

例文2

上司

あまり強く言いすぎても逆効果だからほどほどにね。
ちょっと言いすぎちゃいましたね…。しいて引き留めはしませんでしたが、あんなに頑張るなんて。

部下

また、強引な理由づけや”あえて”の意味合いで「しいていうなら」の使い方も可能です。

例文

部下

課長、この案件どう思いますか?少し理不尽な気がしますが…。
日程はカツカツだしなあ…。しいていうなら、実績つくりの強硬スケジュールだよね。

課長

適当な表現が見当たらない場合に、「あえていうなら」と同じ使い方が可能です。

このように「ひいては」と「しいて」では意味合いがまったく異なり、「ひいては」と同じ使い方は明確な誤用だとわかります。フレーズが似ているために誤用されやすいですが、意味を理解すればこのような誤解は生まれません。

「ひいては」の英語表現

「ひいては」はビジネスシーンにおいても使われる可能性のある表現です。万一、英語で表現しなければならない機会にそなえて、メールや会話での使い方を事前に身につけておきましょう

「ひいては」の英語表現
「ひいては」は英語で・・・
after all
と表現できます。

「ひいては」の英語表現を使用した例文はこちらです。

例文
・If the fire and glass are left how they are, I am afraid that those are the causes of fires and injured people after all.
⇒火の元やガラスがそのままであれば、ひいてはそれが原因で火事やケガ人が出る恐れがある。
・Mr. 〇〇’s resignement will cause trouble to other people after all
⇒〇〇君が手を抜くことでひいてはそれで、ほかの人に迷惑がかかることになるんだ!
・The hard work of Mr. 〇〇 has a good effect on all the company after all.
⇒〇〇君が頑張ることで、ひいては社内全体にとっても、それがいい影響を及ぼすよ。
・After all, doing a good job here comes with a better evaluation and performances.
⇒今ここで頑張った分だけ評価も上がるし、ひいては業績アップにもつながる。

「ひいては」を正しく使いこなせるビジネスパーソンになろう!

ビジネスシーンでの物事の分析と予測は業務プロセスにおいて重要なポイントです。あらゆるデータから起こりうる結果を見越し、成功につなげるのが優秀なビジネスパーソンといえるでしょう。

社会で勝ち残るには伝える言葉がそもそも間違っていたら本末転倒であり、「ひいては」を使う機会が多いビジネスシーンであればなおさらです。誤用を防ぎ、正しく「ひいては」を使いこなしましょう!