トランジットとは「乗り継ぎ」のこと!
上司
新人
上司
日本から近隣諸国への航空路線では少ないですが、直行便でも10時間を要するような長距離に及ぶ路線の場合には、乗り継ぎが必要になることも多いです。これを航空業界では『トランジット』と呼びます。
飛行機での出張が発生するような仕事をしている人はもちろんのこと、出張の手配やスケジュール管理をすることがある人も知っておいて損のない言葉です。これを機に正しい意味や使い方などをしっかり覚えておきましょう。
トランジットの意味をチェック
冒頭で、トランジットは『乗り継ぎ』を指す言葉だと説明しましたが、海外でも同じ意味あいで通用するのでしょうか?まずは、カタカナ語での意味と英語の意味の比較をしてみましょう。
トランジットの英語は「transit」
トランジットは英語でも使われており、スペルは『transit』で、次のような意味をもつ単語です。
■通過する
■通過
■通行
■輸送
■推移 など
そして、熟語としてはこんな使い方があります。
■transit action(輸送活動)
■transit agency(交通機関)
■transit cargo(通過貨物)
■transit check-in counter(空港の乗り継ぎカウンター)
■transit lunge(空港の乗り継ぎ用待合室) など
トランジットでの乗り継ぎは、基本的には一度機外に出ても再度同じ飛行機に乗りますが、他の飛行機への乗り継ぎの場合は一般的には『トランスファー(transfer)』が使われます。
また、乗り継ぎの対象となる飛行機そのものは『connecting flight(コネクティングフライト)』といいます。
カタカナ語のトランジット
カタカナ語のトランジットは、ひとことで言うと『乗り継ぎ』の意味です。しかし、もっと詳しく説明すると、飛行機で目的地に行く際、直行するのではなく他の空港へ立ち寄ること、またその飛行機に乗っている乗客を指す言葉として使われます。
出張や観光で役立つトランジットの知識
普段飛行機を使わない人にとっては「トランジットて結局どうすること?」と思いますよね?そこで、ここではトランジットについての知識を頭に入れることにしましょう。
トランジットの所要時間は?
トランジットは、基本的には経由地の空港で給油することを目的としており、搭乗客は同じ飛行機に乗ります。その場合は30分~1時間程度の所要時間となります。
しかし、必ず同じ飛行機になるとはいいきれず、別の飛行機への乗り継ぎになる可能性もあります。経由地での待ち時間はできれば短いほうがいいと思うのが普通ですよね?そのため、トランジットの所要時間が短い便を選ぶ人がいますが、これによる失敗談も多く目にします。
飛行機が異なる場合は、トランジットで立ち寄った空港に到着したら、飛行機から降り、次の搭乗ゲートまで移動し、また乗り込むということをしなければなりません。
時間だけ見ると30分って余裕があるような気がしますが、人の移動だけでもけっこう時間がかかるもの。荷物を預けているならさらに時間がかかります。できれば、トランジットは2~3時間の余裕をもっていたほうが安全だという意見が多いです。
トランジットの時間を活用する方法は?
トランジットの所要時間は便によってまちまち。1時間程度の場合もあれば、5時間以上の場合もあります。3時間以内のトランジットタイムなら、空港内で過ごすのが安全です。しかし、4~5時間やそれ以上の長時間になる場合には、一時出国の手続きをして空港外トランジットタイムを過ごすという方法もあります。
海外旅行で一緒に行く家族や、出張に同行する人を上手にエスコートできるよう、おすすめの滞在方法をいくつか紹介しておきますね。
空港内や近隣のスパ・マッサージ店で過ごす
日本でも宿泊できる公共温泉や、営業時間の長いスパがたくさんあり、普段からよく利用しているという人も多いでしょう。渡航先にもよりますが、海外においても空港内にマッサージ店などが入っていることがあります。さまざまな設備が整っていることがあるので、トランジットタイムを過ごす場所としておすすめです。
ホテルでのデイユース
空港からの移動にそれほど時間がかからない距離に存在するホテルでは、トランジットタイムを過ごすためのデイユースプランが用意されているところもあります。ホテルであれば、シャワーや着替えをしたり、ベッドで仮眠したりすることもできるので、長時間移動での気分転換にもなります。
現地に着いてから最寄のホテルに直接向かうのもいいですが、時間を有効利用するためには事前にデイユース可能なホテルを調べておくことをおすすめします。
あるいは、空港直結のカプセルホテルなどが用意されていることもあるので、こちらも仮眠する場としてチェックしてみましょう。
空港近隣の観光
都市へのアクセスが便利な空港であれば、市内観光をするのも一つの方法です。場所によっては空港からバスが出ていることもあります。最終目的地ではないので観光目的ではないにしても、空港から離れることで観光した気分を味わえてちょっと得した気分になれるのではないでしょうか。
トランジットでは荷物をどうする?
搭乗券が目的地になっている場合は、荷物を預けていても目的地まで自動的に運んでもらえる場合がほとんどです。しかし、乗り継ぎの飛行機を別で手配した場合や、経由地から国内線になる場合は、荷物の預け直しが必要なことがあります。
最初に搭乗する空港でチェックインするときに、トランジットでの荷物の取り扱いについてもきちんと確認しておきましょう。
注意!トランジットビザが必要な国もある
トランジットビザとは、経由地を通過するためのビザで、必要な国と不要な国があります。必要な国で代表的なのは、アメリカやスイスでしょう。また、通常の入国にビザが必要な国は次のとおりです。
■インド
■カンボジア
■サウジアラビア
■エジプト
■エチオピア
■ロシア
■ブラジル など
ただし、日本のパスポートを持っている人は世界的に信頼度が高く、不要とされている国も多いので、出発前にトランジットビザの要否の確認も忘れず行ってください。
トランジットの使い方・例文
『トランジット』という言葉の意味を理解したら、会話でもカッコよく使いたいですよね?いくつか例文を用意しましたので、今後の参考に読んでみてください。
[番外編]身近なところにあるトランジット
ここまでは、一般的な『トランジット』について解説してきましたが、実は、航空関連以外のところにもトランジットがあります。いくつかピックアップして紹介しておきますね。
映画の「トランジット」
2012年のアメリカ映画に『トランジット』があります。内容は、武装グループが現金輸送車を襲い現金を奪ったものの、検問をしているのを発見。無事に検問を通過するために一時的に家族旅行中の車に現金を隠します。
しかし、その車の家族は、仮釈放中の父親が家族の絆を取り戻すためにキャンプに向かっており、現金を取り戻しに追いかけられる武装グループから生還するというものです。
現金を他の車に『乗り換え』させるということで、トランジットと名付けられたんでしょうね。
IT業界の「トランジット」
インターネットを接続する際、ピアリング*で直接相互接続をするには、インターネットを接続する場所から地理的に近い場所であることが条件になります。
その場合、大規模のプロバイダーが小規模なプロバイダーに有償で経路を提供して中堅地点になることをトランジットといいます。
(ピアリング*:同じ規模のプロバイダーが無償で経路情報を相互提供すること)
ドラマの「トランジットガールズ」
『トランジットガールズ』は、2015年にフジテレビで放送されたドラマで、親同士の再婚で、義理の姉妹として一緒に住むことになった女子2人。最初は反発しあいながらも、徐々に恋を育んでいくというガールズラブストーリーです。
一緒に住むことになったことが恋の通過点になっているということで、『トランジット』が使われたんでしょうね。
雑誌の「TRANSIT」
『TRANSIT(トランジット)』は、ユーフォリアファクトリーが発行している季刊雑誌で、旅を通して世界の美しい風景や伝統文化などの情報が掲載されています。世界を知るために旅を経由しているということで、『トランジット』なんですね。
海外に行くなら必ず知っておきたいトランジット
「海外旅行はすることないから」と思っていても、ある日突然行くことになるかもしれません。また、海外旅行や出張の手配をする場合にも、『トランジット』の知識は必要ですので、今必要ではないという人も、ぜひ覚えておいてください。