ブラック企業について、あらためて正しく認識するために、定義や特徴、見分け方を紹介します。ブラック企業を避けてよい会社に勤めるために、正しい知識をチェックしておきましょう。また、自分の会社がブラック企業だと知ってしまったら、正しい方法でスムーズに辞めることを目指すとよさそうです。
ブラック企業とは
ブラック企業という言葉は、すでに多くの人に知られています。ブラック企業に勤めている人やブラック企業によって何らかの被害や損害を被ったことがある人など、実際の体験者も多いようです。
しかし、勘違いしている人やまだまだ自分の会社がブラックなことに気づいていない人もいます。ブラック企業とは何か、改めて確認してみましょう。
ブラック企業の定義
ブラック企業という言葉は、若いIT労働者たちが使い始めた言葉で、厚生労働省などが定義しているわけではありません。ただし、厚生労働省の労働条件についてのサイトでは、一般的なブラック企業の特徴として以下の3点をあげています。
- 極端な長時間労働やノルマ
- パワハラなど低いコンプライアンス意識
- 労働者に対する過度な選別
このように過酷な環境と違法な労働条件で、健康を害する人が増えて過労死する事例まで出ています。
ブラック企業を英語で言うと
ブラック企業は日本に限らず、英語圏にもあります。ただし、英語で「ブラック企業」という場合には「悪い企業」という意味で「evil corporation」や「evil company」といいます。
そのまま「ブラックカンパニー」といっても通じることもありますが、「ブラック」=「黒人」として違った意味にとられることもあります。
漫画でもテーマにされるブラック企業
最近では、漫画でもブラック企業を扱うものが増えています。漫画は多くの人に読みやすく、ブラック企業についてもわかりやすく書かれています。
一見ふざけているようにみえるものもありますが、意外と的確にブラック企業を表現しているものもあるようです。描かれた内容にうなずけたら、自分の会社もブラック企業かも知れません。
ブラック企業の特徴とは
ブラック企業の定義を知ったところで、具体的な特徴をチェックしてみましょう。ブラック企業にありがちな特徴を自社と比較することでブラック企業かどうかがわかります。
給料面
給料面は特に、ブラック企業の違法性が強く表れる部分です。特徴としては、安すぎる金額、残業代未払いなどがあります。
休日・有給面
休日が少ない、有給休暇が取れないといった状況もブラック企業の特徴です。身体を休めることができず、精神的にも疲れます。
年間休日数は最低105日というルールがありますが、一般的には120日程度が働きやすい環境です。法的に問題なくても、休日数105日の会社は大変な可能性があります。また、有給休暇は労働者の当然の権利です。
労働時間
長時間労働・多すぎる残業もブラック企業の特徴となります。労働時間が長いことも心身の不調を引き起こす原因です。また、労働時間や残業時間についても法的に定められており、あまりにも過酷な場合にはそれに反している可能性もあります。
社内環境
パワハラ・セクハラ・男女の不平等な扱いなど、社内環境の悪さもブラック企業では多く見られます。上司や社長が威圧的で、絶対的なトップダウンの方針なども特徴です。さらに体育会系のノリが多く、根性論を持ち出されたり、成績の悪さをやる気が足りないせいだと怒られることもあります。
求人・定着率
ブラック企業では、劣悪な環境のせいで社員の定着率が悪く、常に求人を出していることもあります。いつでも求人雑誌や転職サイトなどに広告が出ている場合などは要注意です。
また、会社として社員を育てようという姿勢もなく、教育制度もありません。成績の悪さは自分のせいと思いこませる洗脳や不当解雇なども見られます。
ブラック企業の見分け方は
ブラック企業かどうか、自分で判断できないときにチェックしておきたいブラック企業の見分け方を紹介します。
ブラック企業診断チェックリストで分析
ブラック企業かどうか自分で判断できないときには、具体的な特徴を提示したチェックリストが役立ちます。細かい特徴までリスト化されているため、客観的に当てはまるか否かを選ぶだけで判断できます。
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ブラック企業診断チェックリスト公開!今すぐ自分の労働環境を見直そうブラック企業大賞2018をチェック
「ブラック企業大賞企画委員会」では、ブラック企業の定義に当てはまる企業や機関を大賞という形で発表しています。ブラック企業の大賞を決めて授賞式まで行なうなど、ふざけているようにも見えますが、シンポジウム、労働関連ニュース発信などもあるまじめなサイトです。
また、選ばれるノミネート企業の多くは過労死問題を抱えるなど、ブラック企業の可能性が高い会社ばかりです。選択基準などに賛否両論あるようですが、参考程度に見ておいてもよいでしょう。
■2018年のブラック企業一覧
- 株式会社ジャパンビジネスラボ
- 財務省
- 三菱電機株式会社
- 株式会社⽇⽴製作所・株式会社⽇⽴プラントサービス
- 株式会社ジャパンビバレッジ東京
- 野村不動産株式会社
- スルガ銀⾏株式会社
- ゴンチャロフ製菓株式会社
- 株式会社モンテローザ
自分がつらいと感じたら誰かに相談を
自分がつらいと思っても、一人ではブラック企業だと判断しにくいものです。つらいのに見分けられないときは、我慢するのではなくまずは人に相談してみましょう。
判断できなくても、ブラック企業である場合もあります。体調の悪化や過労死など、手遅れにならないように早めの対処が必要です。相談する人がいないなら、専門の相談窓口もあります。
総合労働相談コーナー
厚生労働省の相談コーナーです。幅広い労働問題に対応しており、電話相談、面談の両方を利用できます。無料で相談でき、予約は不要です。
ブラック企業ユニオン
ブラック企業ユニオンでは電話・メール相談、面談を行なっています。組合なので組合員が協力し、団体交渉で改善を求めることが可能です。出向くことができない人には、出張面談もあります。
↓↓もっと相談窓口を知りたいならこちらから
ブラック企業の相談をしたい!無料・メール・匿名でできる窓口を紹介
ブラック企業を辞めたい人は
ブラック企業だとわかって辞めたくなったら、速やかに行動しましょう。ブラック企業に長くいると、自己評価が低くなりすぎたり心身ともに疲弊したりして、次のステップに移れなくなることもあります。
手遅れになる前に辞めて、健全な会社を探すことが大切です。
正しい手順でスムーズな退職を
辞めると決めたらすぐにでも辞めたくなりますが、自分側に落ち度がないように正しい手順を踏むことが大切です。ブラック企業では、こちらに少しでも落ち度があると必要以上に責められて、辞めにくくされることがあります。
ただし、引きとめや妨害に対して強気の姿勢を貫くことも必要です。辞める権利は守られているので、引き留められても負けないで退職の意思を通しましょう。
↓↓ブラック企業の辞め方を知りたい人はこちらから
ブラック企業を辞めたいときの対処方法は?冷静に正しく行動して円満退職
在職時に証拠集めを
パワハラ、セクハラの慰謝料、賃金不払いの請求をしたいなら、在職時に証拠を集めておきましょう。退職してから証拠を要求しても、会社が握りつぶす恐れがあります。
特に証拠として残しておきたいのは、タイムカードやPCのログ、診断書などです。また、出社や退社時間に社内の時計を撮影する、手帳に毎日の行動を時間入りで書いておくのもよいでしょう。
在職時に転職活動準備を
次の仕事の準備をしないで辞めると、辞めたあとに焦りが生じて転職活動がうまくいきません。そのため辞めることを決めたら、転職活動も開始しておきましょう。引継ぎなどが忙しくてできない場合には、せめて準備だけでもしたいところです。
ブラック企業を知ることで正しい対策を見つけて
ブラック企業かも知れないと思ったら、まずはブラック企業のことをよく知りましょう。定義や判断の仕方などを知り、それでも自分で判断できなかったら他人に相談することも大切です。
ブラック企業だとわかったら、正しい方法で退職を目指し、新しい道を見つけましょう。転職エージェントを使うと、マッチングや入社後のケアまでしてもらえて安心です。