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円満退職できる切り出し方とは?
会社(上司)にとって、あなたの退職は多くの場合で「引き止めたい」ものですよね。でもあなたは「辞めたい」ので、話し合いは難しいものになることは想像できます。
話したいことが伝えられなかった、話が通じなかった、結局辞められなかった、話したあと社内でいたたまれない雰囲気になってしまったなども想定されます。
なるべく上司が納得してくれるように、また会社に迷惑がかからないよう、しっかり準備を整えて「退職を切り出す」ことが円満退社への重要なポイントとなります。
では、具体的にどのような準備が必要なのかみていきましょう。
退職を切り出す準備4つ
先にもお伝えしていますが、退職を上司に切り出す前には準備が必要不可欠です。退職のトラブル・失敗の原因は会社・上司から引き止められて思うように退職できないというものです。
トラブルにならないために、これから紹介する項目を自分で用意しておきましょう。
あわせて、NG例・OK例など上司への「伝え方文言例」も紹介しますので、すぐに実践に活かしもらえる内容になっています。
1)退職の固い意志
まず準備しておきたいのが「退職の固い意志」です。
泣き落としや、今までの恩を出して引き止められたり、給与や配置などの条件を譲歩されて揺らぐことが無いような、固い意志は重要。
人間ですから、どうしても引き止められると揺らいでしまします。ですが、迷っている雰囲気を出してしまったら、そこを付け込まれてしまいどんどん退職からは離れてしまうでしょう。
また、1度退職を切り出した後に撤回しても、その後の昇進や職場の雰囲気などで苦しむことになってしまいかねません。
何をいわれても毅然とした態度で「退職の意思は変わりません」といえるようにしましょう。
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NG例
上司>辞めてもらっては困るんだよ。来月から役職手当をつけるから考え直してくれないか?
退職希望者>‥‥。そんな風に考えてもらえるのはうれしいです…。
上司>それなら、この話はなかったということで。
このようなやり取りで、退職の機会を逃してしまうと困りますよね。
OK例
上司>辞めてもらっては困るんだよ。来月から役職手当をつけるから考え直してくれないか?
退職希望者>そこまでいっていただけるのは、私としても大変ありがたいことなのですが、退職の意思は変わりません。
余裕をもたせた退職期限
また、退職の固い意志と合わせて準備しておきたいのが、会社のことも考えているというアピールです。
勝手に自分の都合で退職日を決めてしまうのはよくありません。民法上は退職の意思を伝えて2週間で退職をすることができますが、社会人としての自覚があるなら、会社に迷惑をかける退職の切り出し方をしてはいけません。
一般的には、会社の就業規則に「退職の1か月以上前」に伝えることなど決まりがあるので確認しておきましょう。
また退職日ではなく、●月○日までという期限を設けることでその間で、会社の都合の良い日程を決めてもらえるというスタンスになり、より会社のことを考えた対応になっているといえるでしょう。
NG例
退職希望者>転職先に行く日が決まっているので、1か月後の○月△日をもって退職させていただきたいと思います。
上司>(え???こちらの都合はお構いなし?(怒))それは急すぎて、こちらとしては承諾できないよ。
OK例
退職希望者>(2~3か月後など余裕を持った)□月〇日を期限に退職を考えております。身勝手な行動であることは自覚しておりますが、ご了承いただきたく思います。
引継ぎの方法・準備
引継ぎについても考えておかなければいけません。上記の、余裕を持った退職期限の提示とも関係がありますね。
会社の仕事は一人で進めているものではありません。部署・チーム、上司、部下などさまざまな人と関わっているでしょう。
自分が抜けた時に、想定される問題の対処方法まで考えて準備しておくこと・準備する予定があることを伝えることで、上司の心象もよくなり、さらに引き止められにくくなります。
NG例
上司>引継ぎはしっかりできるの?
退職志望者>はい。する予定です。
上司>(本当に大丈夫かな?不安だし、やはり抜けられたくないな…)
OK例
退職志望者>●月×日までに、私の関わっている仕事内容を部下の□□に引継ぎをする予定です。そのためのマニュアルも作成しております。
2)退職理由
退職の理由としては「一身上の都合で」という理由でもOKなのですが、さらに突っ込まれて聞かれることが多いでしょう。
ここが最重要ポイント!
退職理由に関して注意が必要なのは「本当の退職理由を言わない」ということ。会社や外的要因(会社の待遇の不満など)での退職理由にしないでください。
なぜかというと改善すれば退職しないのだと思われてしまいます。仕事内容・配置転換・給与面、評価などを改善してあげるといわれ引き止められることになり、退職が難しくなります。
本当の理由は胸の内にしまっておいて出してはいけません。社会人として我慢しましょう。
対照的に、引き止められにくい「前向きかつ自己都合による理由」を考えておく必要があります。
NG例
「私はこの会社に来て〇年になりますが、上司から正当な評価をしてもらっていると感じられません。そのため転職を考えているので、退職させていただきたいと思います。」
OK例
●「異なる・新しい分野の仕事に挑戦したい」(新卒でも使いやすい)
今の職場に不満なく、とてもよくしていただいていると感じています。しかし、自分のこれからのキャリアを考えた時に、~~の仕事をしたいと考えにいたりました。そして、そのためには□□のような経験が必要です。
しかしながら、今の会社ではそれが厳しく、そういった仕事ができる企業に転職したいと考えているため、退職をさせていただきたいです。自分自身を見直し、よく考えた結果、現在の仕事とは違う分野に挑戦してみたいという気持ちが抑えきれず退職を決意するにいたりました。
➡「今後やりたいこと」と「この会社ではそれができない理由」を明確に伝えよう!
●「家の都合で仕事を続けることが難しくなった」(自己都合の場合)
家庭の事情で、引っ越しをすることになってしまいました。身勝手な理由だとは存じますが、退職をさせていただきたいと思います。
転職を理由に退職する場合
転職活動を同時進行しているなら、転職エージェントに退職について相談するのも手です。
転職エージェントサイトに無料登録をして、自分の希望する転職条件を伝えると専門のエージェントが企業とマッチングしてくれるサービス。
紹介、面接のセッティングや給与の交渉などのサポートをしてくれる。
無料登録をするだけで担当のエージェントがつき、転職活動に関する色々な相談に乗ってくれます。
記事の終わりにCHEWYおすすめの転職エージェントサイトの紹介もあります。気になる方はチェックしてみてください。
結婚・出産を理由に退職する場合
どちらもおめでたい理由なので伝えやすいですよね。ですが、「時短勤務」や「産前産後休暇」の利用者が多い会社なら、引き止められる確率が高くなるでしょう。そのため、もう少し切り込んだ理由が必要になります。
OK例①
「実は今度結婚をすることになりました。相手の勤務先に引っ越すことになるため、身勝手な選択ではありますが、退職をさせていただきたいと思います。」
(引っ越し先を伝える場合は、会社の支社がないか確認しておきましょう。支社がある場合は転勤をすすめられる場合も)
OK例②
「仕事には正面から精いっぱい取り組んできました。ですが結婚生活が始まり、さらに育児もとなると、どちらかが中途半端になってしまいます。そういった働き方は自分が許すことができないので、退職させていただきたいと思います。」
介護を理由に退職する場合
介護が理由の時は、家庭内の事情になるため比較的、深く突っ込まれずに退職を納得してもらえることが多いです。
そのため、勤続年数が浅く、家庭のことをあまり話していない場合、介護以外の理由での退職の場合でも理由にする人もいます。
もちろん、同業種での転職で後で顔を合わす機会などが考えられる場合はやめておきましょう。
病気を理由に退職する場合
病気や体調不良でも、正当な退職理由になります。引き止めにあいにくい理由でもあります。しかし、病気が完治してから復帰してほしいという流れも想定されます。この場合もしっかりと退職の意思を伝えることが重要です。
OK例
「現状では病気により自分の力を十分に発揮できておりません。とても悔しい思いをしております。力を出せるようになるため、しっかりと療養に励みたく、退職しさせていただきたいと思っています。」
「退職は不本意です」という内容+「退職の意思」を伝えましょう。
3)上司にアポイントをとる方法を確認
退職を切り出す準備が整い次第、上司にアポイントを取りましょう。取り方は2パターン。
・直接話しかける
よく顔を合わせて話す機会がある場合などは直接話しかけてアポイントを取り付けましょう。
・メールを使う
直属の上司といっても少し距離のある関係であったり、なかなか会えない・いつも忙しそうにしている場合はメールでアポイントを取り付けることもOKです。
社内ルールでアポを取るときはメールでと決められている場合もあるでしょう。
退職は社内で噂になりやすいもの。先に退職の情報が漏れていると、変に尾ひれがついたような噂になって独り歩きしてしまうことも。退職までの期間が過ごしにくくなってしまわないように注意しましょう。
切り出すタイミングは?
上司が忙しくない、時間をとることができるタイミングを狙います。就業前、就業後(就業時間外)の忙しくなさそうな時を狙いましょう。
ただ就業後は、区切りがないため長々と引き止めに合う可能性もあるので注意が必要。時間が取れそうなら就業時間中でも構いません。
業種や仕事の仕方にもよるので臨機応変にタイミングを考えてみましょう。上司によっては就業時間中に、個人的な内容を話されたくないという感じになってしまうので、そのあたりも考えたほうがいいでしょう。
切り出す時期としては「繁忙期」や「人事異動の後」、「大きなプロジェクトが動いているとき」など、会社の迷惑になる時期は避けたいところ。そこまで考えて転職活動をする必要があるということですね。
アドバイザー
口頭でアポを取る場合
NG例文①
「ご相談があるのですが、お時間いただけないでしょうか?」
※この聞き方は絶対にやめてください。相談ということは、退職をまだ迷っていると受け止められてしまいます。強めの引き留めにあう可能性が高くなります。
NG例文②
「退職についてお話があるのですが、お時間よろしいでしょうか?」
※これも絶対にやめてください。どこで誰が聞いているかわからない状況で「退職」のワードをいってしまうのはNG。噂になって会社にいづらくなる場合も。また上司も身構えてしまうので、自分のペースで話を進められない可能性が高くなります。
OK例文
「このあと、少しお時間いただけますでしょうか?」
「お話があるので、お時間よろしいでしょうか?」
「相談」という言葉を使わず「お話が」というスタンスを忘れないようにしましょう。
メールでアポを取る場合
メールでアポイントを取る場合も、気を付けるべき点は口頭の場合と同じです。「相談」「退職」というワードは避けましょう。
例文
件名:面談のお願い
○○課長
お疲れさます。お忙しいところ恐れ入ります。お話させていただきたいことがあり、お時間をいただきたくメールをさせていただきました。
よろしければ以下候補のいずれかで30分ほどお時間をいただくことは可能でしょうか。
ご都合をお聞かせください。
・〇月×日 △時~
・〇月×日 △時~
・〇月×日 △時~(3つほど候補を出す)
ご検討宜しくお願いいたします。
4)退職の切り出すときの雰囲気づくりも重要
繰り返しになりますが、切り出し方で一番してはいけないのが「退職を相談している」というニュアンスを出すこと。
伝え方は毅然とした態度でありながらも、物腰が柔らかい雰囲気を出しながら伝えましょう。「すみませんが、少しお時間をいただけないでしょうか。」「お話があります」とアポをとる時から、普段よりも真剣な落ち着いたトーンで話します。
焦って早口になったり、うつむいて悩んでいる様子などを出さずに話せるように、苦手な人は練習しておいてもいいでしょう。
退職に関連するQ&A
退職に関する、気になる・知っておきたい内容をここで一気にチェックしておきましょう。退職を切り出す前後の内容になっています。
退職願(届)はいつ渡せばいい?
退職の意を伝えるのは、退職願(届)はなくても口頭で問題はないのですが、口頭だけではいったいってないの話になりもめてしまう可能性もあります。退職の意思を示した日付など残しておけるよう、書面として提出することが一般的です。書類として会社の処理上、必要な場合もあります。
直属の上司に口頭で退職の旨を伝え、退職願をいつ提出するか上司や人事担当と相談してから決めることが通常です。
法的には退職の2週間前に提出すれば効力を持ちますが、実際には就業規則などにより、1ヵ月前に提出する会社が多いようです。
企業側が退職交渉に応じない場合は退職届を提出
退職の意思を伝えても、会社側が全く交渉に応じてくれない場合もあります。この場合は「退職届」を提出することになります。
退職届は、受理されなくても提出するだけで民法上、2週間後に退職できるようになります。円満退社はできなくなりますので、最終手段として知っておいてください。
退職願・退職届について詳しく知りたい方はリンク先をチェックしてみてください。退職届・退職願の疑問を徹底解説|書き方(見本・テンプレートあり)や出し方・英語表現を解説
同僚にはいつごろ伝えるべき?
相談者
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上司に伝える前などに退職の噂が広まってしまい、引継ぎ期間等を含めて1~3か月以上の期間、過ごしにくい雰囲気のなか仕事をする羽目になってしまうことも。
退職する日取りが本決まりになり、引継ぎを開始する時期が同僚に退職を伝える目安となるでしょう。この日程についても、会社としての都合もあるでしょうし、上司と相談して決めるのが一番スマートな方法だといえます。
それまでの間は細心の注意をしながら、退職の情報が漏れないようにしましょう。
退職の切り出し方は試用期間でも管理職でも同じ?
●試用期間であっても辞め方・切り出し方は通常の会社員と同じです。
また試用期間内での退職であっても、働いた分だけの給料をもらえるので安心してください。ただ、「即日退社」ができると思いがちですが、一般の社員と同様、退職の意思を示したから2週間は法律上、退職できないので注意が必要です。
●管理職の場合でも、辞め方・切り出し方は通常の会社員と同じです。
ただ、より上司からの引き止めが強くなることが予想されます。しっかりと引継ぎの準備や退職までのスケジューリングなど準備してからの切り出しがいいでしょう。
有給休暇を消化したい場合は?
1年ごとに与えられてきた年次有給休暇を、退職前にまとめて使う場合もよく聞くと思います。残したまま退職するのはもったいないので、消化したいですよね。ただし、一定の条件がありますのでまずチェックしてみてください。
年次有給休暇を消化するための「条件」
・6か月以上の継続勤務
・労働日の8割以上の出勤
条件を満たしていれば、いつ有給休暇を使用しても問題ありません。残っている日数を直近の給与明細で確認し、退職のスケジュールに組み込んでおきましょう。
必要な提出書類などの事務手続きや引継ぎなどが終わったあと、退職日まで有給休暇を使用し、最終日にあいさつに出向くという場合も多いでしょう。
最終チェックで円満退社!退職の切り出し方まとめ
準備はいつから? | 退職の3か月以上前から始めるのがおすすめ |
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何を準備する? | ①退職の固い意志 ②退職理由 ③上司にアポイントをとる ④退職を伝える雰囲気作り |
誰に? | 直属の上司に |
アポの取り方は? | メールでも口頭でもOK |
どこで? | 人目につかず、声が漏れない場所 |
時期は? | 繁忙期などにかからないようにする |
タイミングは? | 上司の忙しくない時間を狙う(会社や業種によって異なるので、上司を観察して決める) |
少なからずお世話になっている会社に退職を切り出すのはとっても気まずいもの。しかし「退職は迷惑をかけるものだ、自分の役割は誰かがやってくれる」と割り切って進めることが重要です。
その分、辞める前にしっかりと準備・フォローしておくことでできるだけ円満に退社を進めることができるでしょう。
退職するなら転職活動にも目を向けよう
退職を切り出す前に転職先を探しておく方もいるでしょう。
転職先を決めておいて退職するメリットは、ブランクが開かないこと。ブランクが開けばあくほど再就職は難しくなるといわれています。また転職にかかる税金や年金、保険の手続きを自分でしなくてもよくなるのも助かります。
また、以下に紹介する転職エージェントを利用しておくことで、退職の相談にも乗ってもらえます。管理職や新卒など、会社に強い引き留めに合いそうで不安な方は、退職の方法についてエージェントに教えてもらうのも手です。