プロダクトアウトとは作り手の考えで開発・生産すること
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プロダクトアウトは、もちろんお笑い番組の「◯◯、アウト〜!」ではありません。作り手が自分の売りたいものを生産し、販売すること、供給者視点の戦略を表す言葉です。
プロダクトアウトの意味をチェック
プロダクトアウトは戦略として成り立つのでしょうか。詳しい意味を確認しておきましょう。
プロダクトアウトの英語は?
プロダクトアウトは、「prodact:商品、製品」と「out:(外に出すさま)」と合わせたカタカナ言葉。英語の話者に「prodact out」といっても通じません。プロダクトアウトの意味を英語でいうなら、「product-oriented」が正しい言葉です。
日本語のプロダクトアウトを詳しく
プロダクトアウトは、作り手の都合で製品を生産、販売することなので、現在主流となっている「ニーズ」を考えた商品開発戦略とは大きく異なります。「プロダクトアウト」には、以下のような2つの意味合いがあります。
1.ニーズよりも企業の発想に基づき、商品やサービスを提供すること
2.消費者を無視して自社都合で商品やサービスを提供すること
戦略として1のように用いる場合もあれば、2のようにネガティブな意味合いもあります。2は押し売りや在庫処分のために顧客に必要ないものを売りさばくといったイメージです。
テクノロジーアウト
プロダクトアウトに似た響きのテクノロジーアウトという言葉もあります。テクノロジーアウトとは、新たに生まれたテクノロジーを使ったアプローチの方法です。「こんなテクノロジーができたから、こんなことをしよう!」という戦略です。
コンセプトアウト
プロダクトアウトと混同しがちですが、全く異なる考え方を持つのが、コンセプトアウト。コンセプトアウトとは、製品そのもののコンセプトを発展させて開発を行う手法です。顧客のニーズに関係しないプロダクトアウトとは異なり、コンセプトアウトは外部の参加者や顧客のニーズが重要となります。
反対語はマーケットイン
プロダクトアウトの反対語は、マーケットイン。マーケットインとは、顧客のニーズ を汲みとって製品開発を行うことです。現在の主流はこちらですね。
カスタマーイン
マーケットインの考え方をさらに発展させたカスタマーインという考え方も存在します。カスタマーインとは、個々の顧客に対して、そのニーズに応じた商品やサービスを提供するという考え方です。
コンシューマーイン
カスタマーインとほぼ同じ意味を持つのが、コンシューマーイン。コンシューマー(consumer)が「消費者」。コンシューマーインは消費者に応じて商品やサービスを提供する考え方です。
デマンドイン
さらにデマンドインも似た言葉として挙げられます。デマンド(demand)つまり需要に応じた商品やサービスを提供する考え方です。
プロダクトアウトからマーケットインへの転換
今、プロダクトアウトのみを戦略として掲げる企業は多くはありません。いまやモノを作れば作るほど売れる時代ではなくなり、インターネットなどを通じて競合と簡単に比較できるご時世です。消費者・顧客のニーズを無視したマーケティングは不利にしか働きません。全ての業界において、プロダクトアウトからマーケットインにシフトしているわけです。
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プロダクトアウトとマーケットインの事例
プロダクトアウトとマーケットインを成功経験としている企業はあるのでしょうか。これを知っておけば、時代の求めるものとプロダクトアウトとマーケットインのメリットがどちらも見えてきます。
プロダクトアウトの例
プロダクトアウトの、作り手の考えだけで製品を開発・販売することは、必ずしも「悪」ではありません。大手企業でも革新的な技術をウリにしている事例は存在します。どんな企業、どんな商品がプロダクトアウトの具体例なのでしょうか。
SONY
ソニーは、50年代半ばにトランジスタラジオを開発し、一気に発展した企業です。トランジスタラジオは、それまでの大型ラジオを小型化し、世界で初めて製品化した商品。「ソニーの小型化技術」といわれ始めた商品です。この革新的な技術は、作れば作るほど利益を生み出し、ソニーは大成功を収めました。
その後、ソニーはプロダクトアウトからマーケットインに転換することで再度大成功するのですが、こちらは後述します。
Apple
Apple社が開発した、市場に全く存在せず、売り出したところ大成功を収めた製品とは何でしょうか。いうまでもなく、iPhoneですね。このiPhoneは『スマートフォン市場』という新たな市場を開拓するにいたり、販売当初はまさに作る分だけ売れる商品でした。さらにスティーブ・ジョブズのプレゼン力によりプロダクトアウトの代表例のようにも見なされています。
しかし、ジョブズ本人は「ソニーのマーケットインを参考にした」としており、iPhoneが従来の携帯電話に足りなかったニーズを踏まえている点をかんがみると、プロダクトアウトとマーケットインどちらの顔も持ち合わせているといえます。
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マーケットインの例
顧客へのヒアリング、ニーズの調査などに注力している企業は、マーケットインの良い例です。どのような企業、どのような商品がマーケットインといえるのでしょうか。
SONY
「SONY」の名を世界に轟かせたのはプロダクトアウトの時代ですが、その後のマーケットインへの転換についても、ソニーは代表的な成功企業といえます。高度成長期が終わりを迎えつつある80年代前後、ソニーは「音楽を外出時に歩きながら聞きたい!」というライフスタイルに潜むニーズを発掘。
カセットテープレコーダーを小型軽量化したウォークマンを発売しました。時代の変化に合わせてマーケットインにシフトしていったからこそ、ソニーは今でも親しまれる日本を代表する企業なのです。
明治
近年大ヒットとなった明治の「ザ・チョコレート」。カラフルでおしゃれなパッケージが目を引くこの商品は、従来のチョコレートの2倍お高い商品ながら大成功をおさめました。
その裏側には、緻密なマーケティングリサーチがあります。消費者からのデザートに対するニーズを集めたことで、チョコレート業界で空白となっていた「リッチで美しいパッケージ」というニーズを埋めました。顧客満足度を高める商品開発、マーケットインの典型例です。
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プロダクトアウトの使い方・例文
「社長、遅すぎます。」
「ありのままの俺じゃダメなのか…。」
ネガティブな客(これは…在庫処分のために似合ってなくても買わせようとするプロダクトアウト!)
プロダクトアウトの良し悪しを理解しておこう!
プロダクトアウトは時代遅れといわれながら、革新的な技術やサービスを提供する場面では非常に有効的な考え方です。その良し悪しを常に見極めることが、ものづくりや企画開発担当には必要です。プロダクトアウトとマーケットインどちらが有効な業界なのか今一度見極めましょう!