疑心暗鬼は「疑いすぎて怖い」!
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“疑心暗鬼”(ぎしんあんき)という言葉をご存知でしょうか。意味を知らなくても「疑う」という字が入っていることから何となく推測できるかと思います。
“疑心暗鬼”は「疑う気持ちが強くて何でもないことまで恐れるようになる」こと。
「疑心暗鬼に陥る(おちいる)」、「疑心暗鬼を引き起こす」などと使いますよね。今回は“疑心暗鬼”についてくわしく見ていきましょう。
疑心暗鬼の意味
“疑心暗鬼”は「疑心暗鬼を生ず」の略。「疑う心が暗闇に鬼を生じさせる」ということですね。疑う心があると、何もない暗闇にも鬼(不安、恐れ)がいるように思えてしまうことを表しています。
誰でも“疑心暗鬼”の経験はあるのではないでしょうか。
新入社員の人であれば、できない奴と思われたくない、期待に応えたいという気持ちから、ミスを隠してしまった、知ったかぶりをしてしまったなんて経験もあるかも。
それは会社やメンバーに対する不安な気持ちからきていると考えられます。“疑心暗鬼”の対処法については後ほど。
疑心暗鬼の具体例
疑心暗鬼の由来
“疑心暗鬼”は古代中国の思想書『列子』の注釈書(補足や解説したもの)から。
鉞(まさかり)をなくした男が、隣の家の息子が盗んだのではと疑い、彼の言動全てが怪しく思えたが、鉞を発見したことから疑う心もなくなった、という例え話が由来です。
この話のように、何かをなくしたときに、誰かを疑った経験のある人はいるかもしれませんね
「おやつを食べられたのでは」と疑って、口元に手をやる仕草まで怪しく見えるというかわいらしいものから、殺人事件や戦争の引き金になってしまうものまで“疑心暗鬼”はさまざまな悲劇の原因ですね。
疑心暗鬼の類語
“疑心暗鬼”と似たような意味を持つ言葉は数多くあります。いかに人間の心が疑り深いものかということがよくわかりますね。
・茄子を踏んで蛙と思う
・幽霊の正体見たり枯れ尾花
・李下に冠を正さず
落ち武者は薄の穂にも怖ず
落ち武者は薄の穂にも怖ずは、「おちむしゃはすすきのほにもおず」という読み方になります。
落ち武者(戦に負けて逃亡してきた武者)は常にビクビクしているので、薄(ススキ)の帆すら怖がるという意味。怖いと思えば何でもないことまで怖く感じてしまうということ。
茄子を踏んで蛙と思う
茄子を踏んで蛙と思う(なすをふんでかえるとおもう)は、そのままの意味。カエルを踏んだと思ったら確かに怖いですよね。
幽霊の正体見たり枯れ尾花
幽霊の正体見たり枯れ尾花は、「ゆうれいのしょうたいみたりかれおばな」と読みます。
幽霊と思っていたら実は枯れたススキだったという意味。怖い、凄いと思っていたものや人の正体が実はそうでもなかったということ。
李下に冠を正さず
李下に冠を正さずは「りかにかんむりをたださず」と読みます。
スモモの木の下で頭にかぶっているものを直そうとする行為は、スモモを盗もうとしていると誤解される可能性があるという意味。人に疑われるようなことはするべきではないということ。
疑心暗鬼の英語表現
“疑心暗鬼”と同じような意味の英語表現はたくさんありますが、その中からこのフレーズをご紹介します。「jumping at shadow(影に驚いて飛び跳ねる)」。実体はないもの(影)におびえるという意味ですね。
疑心暗鬼の関連語
“疑心暗鬼”についてだいたいわかったところで、“疑心暗鬼”の関連語についても見ていきましょう。
ボカロの曲
ボカロ(ボーカロイド、合成音声)の歌として作られた曲名に『疑心暗鬼』というものがあります。動画投稿サイトの『ニコニコ動画』では「歌ってみた」として歌い手(人間)が歌う動画も人気に。
モンストのキャラ
人気スマホゲーム、『モンスターストライク』のキャラ名にも『疑心暗鬼』があります。
博多大吉のWeb連載
デジタルコンテンツである『cakes(ケイクス)』において、お笑い芸人の博多大吉さんが2014年から連載していた『疑心暗鬼』。終了したり再開したりしているようです。
疑心暗鬼の使い方
“疑心暗鬼”の使い方を例文で見ていきましょう。
疑心暗鬼の治し方
「疑う」という行為は決して悪いことではありません。疑いの気持ちがなければ悪い人に騙されまくってしまいます。
しかしながら、行き過ぎた疑う心は生きづらくしてしまうのも事実。まさに“疑心暗鬼”ですよね。ここでは“疑心暗鬼”の治し方、対処法などをいくつか提案していきます。
休む
身体が疲れていたりストレスが溜まっていたりすると、ネガティブになりがち。心身を休めることで“疑心暗鬼”な感情を取り除くことができるかもしれません。休めない場合はちょっとした気分転換でもOK。
開き直る
疑っても疑わなくても、事実に変わりはありません。思い切って開き直ってしまえば楽になるはず。開き直れば、真実が見えてくることもあるかもしれません。
話し合う
腹を割って話し合うことで、お互いの考えていることが共有できれば、“疑心暗鬼”がなくなることもあるでしょう。
特にチームに入ってきた新人は、周りの人たちのことがよくわからず“疑心暗鬼”になりがちなので、気にかけてあげることが重要です。
疑心暗鬼になりすぎないように
仕事においては「本音と建て前」や「駆け引き」、「出し抜き」などがあるため、疑う心は持っておかなくてはいけません。
しかし、“疑心暗鬼”になりすぎてしまうと仕事だけではなくプライベートも楽しくなくなってしまいます。ほどほどにしておいて考えてもキリがないことは思い切って開き直ることも大切でしょう。
また、自分も周りを“疑心暗鬼”にさせないように「李下に冠を正さず」の精神も忘れずに。