“絵に描いた餅”は「理想論」!
新人
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上司
“絵に描いた餅(もち)”という言葉を聞いたことはあるでしょうか。知らない人からすると、文字通り餅を題材にした変わった絵のことかと思うかもしれません。しかし、これは立派なことわざ。“絵に描いた餅”には「実現する可能性のないもの」「役に立たないもの」という意味があります。今回は“絵に描いた餅”について詳しく解説していきます。
“絵に描いた餅”の意味
“絵に描いた餅”はどんなにリアルにおいしそうに描かれていたとしても食べることはできないですよね。どんなに考えや計画は立派でも実現する可能性のないもの、役に立たないものを“絵に描いた餅”で表したことわざ。
冒頭での会話では、新人くんがした実現不可能と思える提案に対して、上司さんがあきれたように“絵に描いた餅”と発言しました。ただし、新人くんの提案は実在するオフィスを参考にしているので、必ずしも“絵に描いた餅”とはいえないかも。
“絵に描いた餅”の語源
“絵に描いた餅”の意味がわかったところで、語源についても見ていきましょう。“絵に描いた餅”は中国の三国時代(184-280年)に記された『魏書(ぎしょ)』の「選挙莫取有名 名如画地作餅 不可啖也」という一文から。
訳すと「有名だから、評判がいいからという理由だけで人を選んではいけない。それらは地面に描いた餅の絵ようなもので食べることはできない」という意味になります。人を雇用する際の心得を説いた曹叡(そうえい、魏の第2代皇帝)の言葉が転じて、ことわざになりました。
中国語でも
中国語にもこの言葉を由来にした「画餅」という言葉が残っています。意味は“絵に描いた餅”と同じ。「画餅(がべい)」は読み方は違いますが、日本語にもなっており、「画餅」単体や後述する「画餅に帰す」というように使われています。
英語では?
英語での表現も見ていきましょう。英語で“絵に描いた餅”を表現するとしたら、「pie in the sky(空にあるパイ)」。おいしいパイだとしても空にあったら食べられない、つまり、“絵に描いた餅”ということですね。他にも「castle in the air(空中にある城)」という表現もあります。こちらは科学の発展次第では実現してもおかしくないかも。
“絵に描いた餅”の類語
“絵に描いた餅”の類語として「画餅」を紹介しましたが、他の表現もご紹介していきます。
・画餅に帰す
机上の空論
「机上の空論(きじょうのくうろん)」は「机の上(頭の中)で作られた現実には役に立たない理論、考え」という意味。“絵に描いた餅”が役に立たない、実現できそうもない「物」に対して使うのに対して、こちらは「理論、考え」に対して使います。
画餅に帰す
「画餅」だけだと“絵に描いた餅”と同じ意味ですが、「画餅に帰す(きす)」にするとどうでしょうか。「画餅に帰す」は「計画や案が失敗・役に立たない結果になる」という意味。
“絵に描いた餅”の使い方
“絵に描いた餅”を使った例文を見ていきましょう。実際に使う際の参考にどうぞ。
“絵に描いた餅”でも
“絵に描いた餅”は実現しそうもないもの、役に立たなさそうなものという意味。自分では最高だと思った提案や意見が先輩や上司に却下されたことはありませんか。知識や経験が豊富な人の目から見たらそれは“絵に描いた餅”だったのかも。
しかし、何でもかんでも“絵に描いた餅”としていたのでは何も新しいことはできませんよね。“絵に描いた餅”とレッテルを貼られても諦めずに取り組んだ結果、成功した例はたくさんあります。もちろん、「画餅に帰す」の結果になった例もたくさんありますが…