ファブレスは工場を持たない会社!
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ファブレスの意味をチェック
まずは「ファブレス」の意味を確認してみましょう。もとになっている英語を知ると、なぜ「工場を持たない製造会社」になるのか納得できるはずです!
ファブレスとは?
「ファブレス」は英語で書くと「fabless」となります。「ファブ(fab)」は「加工施設(fabrication facility)」の略。要するに「工場」のことです。「less」は「より少ない」という意味。
ふたつをくっつけた「ファブレス(fabless)」は、次のような意味を持ちます。
工場なしの、製造施設をもたない、 設計などに特化した企業
ファブレス企業の製造はどうするの?
自社の工場を持たないファブレス企業は、自社で製品の企画・開発、販売をおこない、製品の製造は外部委託する業務形態をとっています。
ファブレスの使い方・例文
「ファブレス」の意味は確認できましたか?次は「ファブレス」の使い方を例文でみてみましょう。
例文①
A:「新製品の製造はどのファウンドリ企業に生産委託しましょうか?」
B:「ファブレス化によるコスト削減も大事だけど、ちゃんと品質管理できるファウンドリ企業じゃないと任せられないな~信頼できる委託先の候補を挙げてくれ」
例文②
A:「ファブレスメーカーについて詳しい?」
B:「ステップワゴンRF後期型にファブレスのエアロパーツ取り付けしたことがあるよ。フルエアロ装備して、車高調とホイールとマフラーも変えたよ。」
A:「車の改造の話じゃなくって、製造メーカーのファブレス化の話なんだけど・・・」
ファブレス企業の一覧と事例
ファブレス企業にどのようなものがあるか気になりますよね。有名なファブレス企業をみてみましょう。
ファブレス企業が多い分野
半導体など技術進歩が速い業界や、トレンドの変化が激しい業界でファブレスの企業が増えています。このような業界でファブレス化が進む理由は設備投資に多くの費用が掛かり、自社工場の維持が難しいためといわれています。
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有名なファブレス企業
有名なファブレス企業には次のようなものがあります。誰もが知っている大手の会社にもファブレス企業は多いのです。
・任天堂
・Apple
・ダイドードリンコ
・船井電機
このうち、任天堂とAppleを事例としてファブレス企業の実態をみていきましょう。
任天堂
日本が誇るゲームメーカー「任天堂」はニンテンドーDSや、Wiiなどのゲーム機に汎用性のある部品を使っています。各部品を自社で独自開発せず、ファブレス化することで資金や時間を節約。ファブレス化で浮いた資金や時間は、メイン業務のゲーム開発につぎ込まれています。
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Apple
iPhoneには日本企業が製造した部品が多数使われています。2016年秋には865社の日本企業に、3兆円を超える代金が支払われたそうです。
「Apple」は自社で設備投資をほとんどしていなかった時期がありました。しかし、2010年9月期からは設備投資を進め、自社でも設備を所有する設備集約型モデルに転換しています。
②製造委託企業に設備投資用の資金を前払いし、長期供給契約を締結する
ファブレス企業のメリット・デメリット
なぜ企業はファブレス化しようとするのでしょうか?ファブレス企業のメリット・デメリットをみてみましょう。
メリット
ファブレス化するメリットには次のようなものがあります。
・資金を固定化せずに済む
・多額の投資によるリスクを避けることができる
・流動資産をキープでき、市場の急変に素早く対応できる
・自社工場を持たず身軽なので、条件に合う生産工場を自由に選ぶことができる
・少ない資金で市場に挑戦できる
デメリット
ファブレス化するデメリットには次のようなものがあります。
・製造コストを削減できるかは製造委託企業との交渉次第
・機密情報が漏れるリスクがある
・品質管理が難しい
・製品に問題が起こったときに素早い対応が難しい
・生産に関する知識と技能が得られない
ファブレスの関連語
次に、「ファブレス」の関連語についてみてみましょう。製造業に携わる人なら知っておくべき言葉を集めました。「聞いたことがあるけどわからない」という言葉もこの機会にチェックしてみてください。
ファウンドリ
「ファウンドリ」はもともと「鋳造場、鋳物工場」という意味のカタカナ語。
自社では製品を設計せずに、ファブレス企業が開発した製品をファブレス企業が用意した設計データどおりに製造する会社のことです。
OEM
「OEM」は他の会社のブランド製品を自社で製造すること。また、そのような企業のことで、次の2パターンが多いです。
・高度な技術を持つ製造者が、それほどではない技術レベルの製造者に指導して製造するケース
・同程度の技術レベルの製造者同士のやりとりで製造するケース
IDM
「IDM(Integrated Device Manufacturer)」は自社で製品開発、製造、検査、販売のすべてを一貫しておこなうデバイスメーカーの呼び名。
半導体産業では製造を外部に100%委託する業務形態をファブレス。自社工場でも製造し、一部を外部委託する業務形態をファブライトと呼びます。
垂直統合型デバイスメーカー
「垂直統合型デバイスメーカー」はIDMのこと。
IDMが主流だった日本の半導体メーカー
1980年代~1990年中頃まで、日本の半導体メーカーは垂直統合型デバイスメーカーばかりでした。その多くが世界での半導体売上高トップ10に食い込んでいましたが、2017年には日本企業は東芝の1社だけになり、衰退。
その東芝も半導体メモリー子会社の「東芝メモリ」を2018年6月に売却。米投資ファンドのベインキャピタルが筆頭株主になっている「日米韓連合」の支配下に入りました。
今後増えていく可能性のあるファブレス企業
企業のファブレス化は大規模設備投資によるリスクを小さくできます。高品質な製品開発を強く求められ続ける企業にとって、ファブレス化はメリットが大きいですね。
しかし、ファブレス化することで品質管理が難しくなったり、情報漏洩のリスクが高くなったりするデメリットもあります。ファブレス企業は今後増えていく可能性があるといわれていますが、万能な業務形態というわけではないんですね。
ファブレス企業のメリットとデメリットをしっかり理解し、最適な判断ができるようになりましょう。