こんにちは。私は新卒で入社した電機メーカーを2年半ほどで退職し、一般社団法人に転職をしました。
入社3年以内・第二新卒での転職でしたが、最初の会社にいた時の一番の悩みが解決できたので、思い切って一歩踏み出してよかったと感じています。
今回は私の初めての転職体験談をご紹介します。転職を考えている方の参考になれたら幸いです。
新卒で電機メーカーに就職。想像していなかった業界へ
私は大学を卒業後、上場企業の電機メーカーに営業職として就職しました。メーカーではありましたが自社製品ではなく、国内外メーカーのネットワーク機器などの製品を代理販売する部署に配属され、主に企業に対して提案営業を行っていました。
実はもともと電機メーカーに興味があったわけではありません。そんな私がこの会社に惹かれ就職したのは、大学の企業説明会のイベントに参加したことがきっかけでした。人事の方にお話を聞いたときとても感じのいい人だったので、会社にもすごくいい印象を抱いたんです。
実際に応募してから面接も4回ほど行ったのですが、その時も好印象でした。他のどの企業よりも私の話を親身に聞いてくれたり、私に興味を持ってくれたりして、さまざまな質問を積極的にしてくれました。他の企業と比べて、自分が求められている感じがしたんです。次第に「この会社で働いてみたい」という気持ちが高まっていきました。
仕事内容に特に興味があったというよりは、働く人たちの人柄に惹かれて入社を決意しました。
慣れないIT系商材の営業に悪戦苦闘する毎日
面接の時に感じた通り、会社の先輩たちは優しい人が多く、特に直属の上司である先輩は本当にいい人で私の面倒をよく見てくれていました。人間関係は入社後も恵まれていたんです。
新卒で電機メーカーに飛び込んで約2年が経つ頃、業務内容に強い志望動機がなかった私は、働いていくうちに徐々に壁にぶつかるようになりました。
私は文系の大学を卒業したため、IT系の知識はほとんどない状態で入社しました。それから研修を通じて勉強をし、ITパスポートという資格を取得したものの、それでも営業としてお客様に提案できるほどの知識がなかったのです。
前職ではネットワーク製品を商材としていたのですが、お客様の中にはITの知識に詳しい方も多く、質問をいただいても営業として答えられませんでした。お客様と対等に喋られないことで、自信を喪失していったんです。
私なりに勉強をし続けていたものの専門的な言葉が分かりづらく、覚える前に新しい言葉がどんどん増えていく。営業としてお客様とコミュニケーションが深められないという状況に、次第に耐えられなくなっていきました。
そのため、「この業界で知識をつけてキャリアを長く続けていきたい」というモチベーションは、正直にお話しするとありませんでした。
労働時間の長さに削られ続ける体力と心
加えて、最も辛かったのが労働時間の長さです。私の部署では、既存のWi-Fiルータなどの電子機器の販売と並行して、新規事業の立ち上げを担っていました。0から事業を立ち上げるのはとても大変で、毎月約70〜100時間もの残業をしていました。
残業をしても終われなかった場合は、土日の休みを削ってでも仕事をする。そんな過酷な生活が、いつの間にか当たり前になっていました。今となってはとても長い労働時間だったと理解できます。当時は仲のいい先輩や他の方はさらに長時間働いていて、「自分は残業していない方だ」と感覚が麻痺していました。
残業代はもらえていたのですが、会社と労働組合との取り決め以上の残業をした場合は、申請できないということもありました。
今考えると、おかしなことでも受け入れてしまうくらい、日々の忙しさに追われていました。そんな中、果てしない労働時間が私の体力と心を少しずつ削っていったんです。
休職そして転職活動へ。改めて自己分析に注力する日々
労働時間に辛さを覚えながらも、周りはいい人ばかりだったので、仕事自体はなんとかやっていけていました。ですが通常業務に加え社内研修等も重なり、2年目の終わりを迎える頃には肉体的にも精神的にもボロボロに。
頑張っているはずなのに、打ち合わせの時間に間に合わなくなってしまったり、電車に怖くて乗れなくなってしまったりするなど、徐々に仕事に支障をきたすようになってしまいました。そんなこともあり上司に相談し、1ヶ月休職をすることになりました。
休んでいる間に精神的にもだいぶ落ち着きを取り戻していたのですが、とある出来事が私に転職を決心させたんです。
職場復帰後に同じ部署に戻ることに
休職をしたことで私は「会社に戻りたい」と強く思うようになりました。
しかし、会社には戻りたいけど、また同じ部署に戻ってこれまでのようにハードな働き方は到底できません。そこで復帰前に、会社に異動の希望をだしました。率直な思いを会社に伝えて、異動できることを祈っていました。ですが結局は、私の異動の願いは叶いませんでした。
会社は組織なので、簡単に異動できるとは思っていません。それでも希望が叶わないとわかると、少なからずショックを受けました。
その後は私の周りで働く人を見て、「5年から10年ほど我慢したら他の部署に異動できるかもしれない」と考えました。ですが、また精神的に体調を崩すなんてこりごりですし、5年から10年いたら、他の業界に転職するのも難しくなります。
そのような理由から早いうちに転職をしようと決心し、転職活動を始めました。
初めての転職活動。1社目で決まる。
「私は本当にこのままこの会社で働き続けていけるのだろうか?」
自分に問い始めたことをきっかけにスタートした転職活動は、在職時から慎重に行いました。新卒の就職活動時に利用していた「マイナビ転職」という転職サイトがあったので、ひとまずそこで求人探しから始めました。
IT系の仕事に携わる難しさを体感したので、次の仕事はとにかく慎重に決めよう。そう思って、ノートに書き込んだりパソコンで診断をしたりとしっかり自己分析をして、「自分は次にどんな仕事をしたいのか」ということを掘り下げていきました。
IT系はやめようというのは決めていたのですが、営業はやめたいのかどうか、どういう業種なら転職したいのか。自分をじっくり見つめ直して、少しずつ仕事を絞っていきました。
私が転職活動をする上でもう1つ気をつけていたのが、自分にとって会社が取り扱う商品や事業に興味が持てるかという点です。
前職で1番辛かったことは、事業で扱っている商品や業界の知識がまったくなかったことでした。次に選ぶ会社ではこれまでとは違う業種にチャレンジしよう、自分が興味を持って取り組める事業を行うところにしようと、そこだけはきっちり決めて転職活動を行いました。
さまざまな軸を持って転職活動をしていたのですが、実は最初に応募した会社に転職が決まったんです(笑)
初めての転職なので転職エージェントにも申し込んでいて、いろいろと会社を紹介してもらいました。ですが、紹介してもらった会社は自分的にあまり志望動機が見つからず、うまくはいきませんでした。結果的に転職エージェントとの面談前に、自分で応募した企業からストレートに内定をもらえました。
その会社は、展示会や講演会、セミナーを企画・開催する会社です。前職とは異なる業種でしたが、製品に捉われない自由な「コト売り」は私にとってとても興味深いものでした。
4回あるといわれていた面接も3回で終えられ、初めての転職活動はとてもスムーズに終えられました。
転職したからこそ新たに学べたこと
2019年10月から今の会社に転職をして10ヶ月ほどになります。企画営業という職種で入社をしたので営業の仕事も多いと思っていましたが、実際はほとんどが企画の仕事でした。
前職の営業のときは見積書や損益計算書などの作成など、さまざまな数字の管理業務もあったのですが、今は製品自体を扱っていないのでそういった仕事も少なくなり、価格や利益の計算など細かな数字にまつわる事務作業のストレスからは解放されました。また、前よりも扱っている商材に対して一定の知識があるため、お客様に提案しやすくなったのも大きく変わったことだと感じています。
労働時間もグッと減りました。残業も基本的になく定時に上がれています。会社の雰囲気が「残業はせずに時間通り帰ろう」という文化なので、気持ちの余裕はかなり持てるようになりました。
営業のスタイルは前職とは異なり、直接会いに行って営業をするというよりはメールの配信などのデジタルマーケティングを活用して提案するスタイルです。新しい営業の仕方を学べて刺激を感じています。
ただ、どこの会社もそうだと思いますが、入社して半年以上勤務してみると、入る前の想像とは違うなと感じることもあります。
入社してわかった大企業と一般社団法人の大きな違い
前の会社は上場企業で何万人の社員を抱える企業だったのですが、今はかなり小さい組織です。
今のようなコロナウイルスの影響による経済的な圧迫が生じたときに、「企業の規模でも対応が変わるのかな」と感じています。前職は組合にも入っていたので、このような状況でも給料保証などの社員を守るための整備がされていました。ですが、今の会社ではそのような保証はありません。
「組合なんて必要ないのでは?」と思っていたのですが、いざこういう時になると安心感を与えてくれてたことに、転職してから改めて気づきました。
現職のメイン事業は基本的には集客が必須なので、コロナウイルスの影響ですべて中止しなければなりません。その結果、売上もほぼ見込めない状態になっています。
会社が給料を減らさざるを得ないのは目に見えているのですが、組合に入っていない分、どれだけボーナスを減らされてもそのまま受け入れるしかない。その点が苦しいなと感じています。
また福利厚生は通勤手当のみ。月給がそこまで高くない分、ボーナスがかなり多く出るのが売りだったのですが、来年のボーナスはもらえるかどうかもわかりません。
お金に関することは、前職の方が整っていたと感じています。
コロナウイルスによって改めて自分の今後を考える日々
転職してからも上司とキャリアプランの話をすることがあるのですが、今の会社に長く勤めるかどうか、正直悩み始めています。悩んでいる理由は、柔軟な働き方に対する会社の取組みの姿勢です。
私は前職の上司や先輩たちと今でも話をするのですが、前の会社のような大手企業やその他のさまざまな企業はコロナウイルス対策のために、在宅勤務にシフトしています。しかし、今の会社は柔軟な働き方を認めてくれません。基本的にオフィスに出勤する方針をとっているのです。
子どもがいる社員から「なるべく子どもを自宅で見ていて欲しいと幼稚園からお願いがあったので、在宅勤務をさせて欲しい」という相談があっても、公的な文書が出ていないから認められないと一蹴された方もいます。仕事は在宅勤務が可能なのに、とにかく出社を促すことに将来的に疑問を感じ始めました。
もちろん転職したばかりなので、すぐに退職は考えていません。今の会社にいればさまざまな業種を経験できたり、webスキルも上げられたりするなどメリットも多いです。
しかし、ずっと続けていくのには不安も大きいのは事実。腰を据えるというよりは、「スキルを身につけた後、在宅勤務など柔軟に働き方を選べる会社に転職をしたい」とぼんやりと考えています。
転職は自分が仕事に対して何に重きを置くか見極めが大事
私は思い立ったら吉日と転職を決意して、「2019年9月までに絶対に会社を辞める」と友達に宣言し、逃げ道を塞いで転職活動をしました(笑)
我慢していてもいいことはないと思います。転職を希望するのであれば強い意志を持って行動することが大切ですし、実際にそう思うことで転職を実現できました。
ただ実際に転職をして感じたことは、労働時間や給料はもちろん重視していますが、同じくらい”一緒に働く人”も大事だということがわかりました。
今の職場は仲が悪いわけではないけど、特別人間関係がいいというわけではありません。前職の方が、人間関係ははるかによかったです。
実際に前職の厳しい労働環境の中で私が2年半頑張れたのは、サポートしてくれる上司がいたからだったと転職したことでわかりました。
これほどまでに信頼関係のおける上司と離れる選択をとったことは、唯一の後悔だと感じています。
転職は勢いも大事です。ですが今の職場の人間関係に恵まれていると感じているのであれば、その人間関係を失ってでも次の仕事へ行きたいか。一度立ち止まって、改めて考える必要があります。
私の経験談を通じて、転職において何に重きを置くのか考えてもらえたら幸いです。
インタビューイ: 土偶
取材・執筆:渡辺健太郎(けんわた)(けんわた@美容とジェンダー)
編集:chewy編集部 はら