類推とは『似ている点をもとに他の物事を推し量ること』
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上記の会話にもあるように、類推とは思考法の一つ>です。ある事柄や物事をもとに、何かを推し量るときに使います。
「~から類推して」「~と類推する」などはよく使われる形の一つでしょう。しかし普段なかなか聞き慣れない言葉なので、どんな時に使うのか疑問を持つ方も多いかもしれません。
そこで類推の意味や使い方、推測との違いなどをご紹介します。
類推の意味をチェック
プライベートでも、ビジネスシーンでもあまり使う機会がない『類推』ですが、意味を正しく知れば実は使い勝手の良い言葉でもあります。
まずは『似ている点をもとに他の物事を推し量ること』を意味する『類推』について、詳しく説明します。
類推とは数学的な考え方の一つ
類推は数学的な思考法のひとつです。小学校で習う算数にも学習を進めていく過程でも『類推』が活かされています。例えば下記のような場合です。
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・四角形の内角の和を考える時に、三角形の内角の和を解く方法を参考にする
・長方形と正方形の内角の和をもとに、ひし形や台形の和を推測する
・九九を覚える際に2のだんや3のだんにあるパターンや性質を見つける
つまり算数における類推とは、すでに習ったことのある内容をもとに、今回の問題と似ている点を見つけ出し、解答の方法を見い出すことなのです。
類推は法律の条文内にもある
法律の条文で、「民法○条を適用して」という文はよく目にしますが、「○条を類推適用して」という説明がある場合もあります。
この類推適用とは、大まかにいうと事案の解決にぴったりの法規がなく、法規が想定した場面によく似ているものがあれば、それを参考にして守備範囲を広げて解決しようということです。
これも類推の意味である『似ている点をもとに他の物事を推し量ること』に通じる部分があります。
類推は古文でも使われている?
古文や古典を学ぶ上でも『類推』という言葉が出てきます。例えば古典文法には「だに」という言葉があり、「水だにとらず」を訳すと「水さえもとらない」という意味です。
つまり「水さえも飲まないのであれば、食事もとらないのだろう」と推測し理解しています。軽いことを挙げることで、実はそれより重いものがあることを示しているのです。
これも『似ている点をもとに他の物事を推し量ること』という観点では同じ意味といえるでしょう。
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類推の英語は『analogy』
類推を英語表記すると『analogy』となります。例えば、次のように使われています。
How far does this analogy fit?
どこまでがこの類推に当てはまるのでしょうか。
I am good at thinking by analogy.
私は類推で思考することが得意です。
類推と推測の違い
『類推』と似た意味を持つ言葉に「推測」があります。『類推』よりも「推測」ほうが聞き慣れているという方も多いでしょう。
この2つの言葉の意味は非常に似ていますが、実際は明確に違う言葉です。その一番の違いは思考のステップにあるといえるでしょう。
『類推』は物事の似ている点をもとに、他の物事について結果や判断します。その反対に「推測」はある事象をもとに、その時点ではまだわからない物事の状況や発生した原因や理由を判断するのです。
つまり、推測は既に知っていることを判断材料として物事を考え決めますが、類推とは複数ある要素から同じものを並べて比較しながら考えるので、全く違うものといえるでしょう。
類推の使い方・例文
類推の言葉の意味はわかりました。それでは、その例文をいくつかご紹介します。
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[おまけ]類推の力は歴史に影響を与えている?
世界的な科学の発見に類推の力が大きな役割を果たしてきたことをご存知でしょうか。原子構造が太陽系の類推で発見されたのもその一つで、ニュートンがりんごが木から落ちるのを見て、万有引力の法則を発見したのも類推の発展形です。
新しい発見には、類推の力が必要不可欠といえるでしょう。しかし残念ながら、現在学校のテストや入試問題で行われている選択式の試験は、類推の力をほとんど問われなくなりました。
歴史をも動かしてきた類推の力を高めることは、わたしたちにしてみても大変重要なことなのです。
類推はアイデア発想に活用できる思考法
これまで類推の意味や使い方、推測との違いなどについてご紹介しました。類推は新たなアイデアを発想するために必要不可欠な思考法です。今よりも思考の幅を広げたい方は、ぜひ様々な場面で類推してみてくださいね。