雲泥の差とはどんな言葉?
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雲泥の差は、日常的によく使われる慣用句のひとつ。
でも、字をみてもニュアンスがわかりにくいため、意味をしっかり理解できていない人は多いです。
間違った解釈で言葉を使用したり、言われた内容を取り違えたりしたら大変ですよね。雲泥の差について学び、正しく使用できるようになりましょう。
雲泥の差の読み方と意味とは
雲泥の差は「うんでいのさ」と読みます。
なぜ雲と泥なのかはひとまず置いておいて、言葉の確認から。雲泥の差は、次のような意味になります。
雲は天、泥は地にあるところから、天と地のように対極に位置していて両者の差が非常に大きいことを表す慣用句になります。
雲泥の差の語源・由来とは
雲泥の差は、中国の故事から生まれたことわざです。由来ではないかと考えられている2つのお話を紹介します。
後漢朝の歴史書「後漢書」
国に仕える高官が、俗世間との関わりを断ち名誉を捨て、人里離れた山中でひっそりと暮らすひとりの隠者を高く評価していました。
高官はその隠者を国の官僚としてスカウトしようと考え、次のような手紙を書きます。
雲に乗っている私と泥の中を行くあなたでは、住むところが違っていますね。しかし、あなたのいる西のほうから風が吹いてくるたびに、ため息をつかずにはおれません。
高官は国に仕える自分を雲に乗る、隠れ住む隠者を泥の中を進むと表現しています。
雲と泥は地位の上下を表していない
雲が上、泥が下で地位の上下を表しているようにも思えますが、そうではありません。泥は、昔の中国で隠遁生活(いんとんせいかつ:隠れ住むこと)を意味していた言葉です。
さらに高官は、自分が優秀だと認めている隠者に対して手紙を書いているので、泥を地位が低い劣ったものだと考えるわけがありませんね。
雲と泥を用いて、単に立場が真逆で大きく隔たっているというニュアンスを表現しているだけです。そこにさげすみの意味はありません。
白居易の詩「傷友」
唐の時代に活躍した詩人・白居易(はくきょい)は「傷友」という詩を書きました。出世した友のことをうたった詩で「対面雲泥を隔つ」というワードが出てきます。
これは、かつての友と久しぶりに通りですれ違ったけれど、友は自分に振り向きもしなかった。友が偉くなったことで、お互いの立場や心に「雲と泥ほどの距離」ができてしまったと嘆く文言です。
こちらも、偉くなった友と比べて出世していない自分をさげすんでいるようなニュアンスはありません。
雲泥の差の使い方・例文
本来の雲泥の差は、比べたものに優劣をつけるニュアンスはなく、ただ両者の差が大きいことを表すだけの言葉。
しかし、実際の会話などでは、一方を卑下して他方を持ち上げる。または、自分よりも下のものをさげすむという意味合いで使われるケースもあります。
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雲泥の差の類語になることわざ
雲泥の差と同じような意味のことわざには「月とすっぽん」や「提灯に釣鐘」があります。
提灯に釣鐘(ちょうちんにつりがね):形は似ていても、中身が違いすぎて比較にならない。つり合いがとれないこと
また、雲泥の差を四字熟語で表すと「雲泥万里(うんでいばんり)」や「天地雲泥(てんちうんでい)」となります。
雲泥の差の英語表現
雲泥の差を英訳するときには「difference(違い、差)」を使ってください。次の表現で雲泥の差のニュアンスを伝えられますよ。
great difference:大きい差
wide difference:大きく開いた差
a world of difference:雲泥の差
このうち「a world of difference」の「world」は「世界」という意味の単語。しかし「world of」になると「多数の、おびただしい」を表す言い回しになります。「a world of difference」で「おびただしい差がある」。雲泥の差のニュアンスにつながりましたね。
雲泥の差は使い方をよく考えて
雲泥の差は、2つのものの違いが大きいことを意味する言葉。しかし、2つのものに優劣をつけて、どちらかがもう一方より大きく劣っているという意味合いでも使われます。
この優劣をつけるほうの雲泥の差を頻繁に使用しすぎると嫌味に聞こえたり、何でもかんでも自分を卑下するウザいやつと思われたりする恐れあり。
使い方をよく考えて、誤解されないようにしましょう。