憶測とは『あてずっぽうな推量』
新人
先輩
確かに憶測と予測・推測は似ている言葉ですが、違いはどこにあるのでしょうか?
先輩がいっているように、憶測とは『あてずっぽうな推量』のことです。しかしその言葉を聞き慣れない人もいるかもしれません。
ここでは使用例も挙げながら、憶測をわかりやすく解説していくので、しっかり覚えて使いこなせるようになってください。
憶測の意味をチェック
憶測という言葉の読み方は「おくそく」です。意味としては前述のように『あてずっぽうな推量』で、『あてずっぽうでおしはかること』を指します。もう少し詳しく見てみましょう。
憶測か否かは憶測する人のスタンスで決まる
憶測という言葉と、「〜測」という多くの言葉とを区別する要素は何でしょうか。いずれの言葉も「推量」つまり「おしはかる」行為に関係しますが、違いはその人がどのようなスタンスで推量しているかによります。
いい加減な、根拠が薄いスタンスでの推量が『憶測』の部類に入ります。かといってそれほどネガティブな色が濃い言葉でもありません。いうなれば、それほど罪のないいい加減さのようなものです。
これに対して、いい加減ではなくそれなりに根拠がある推量は、一般的に「推測」と表現されます。
憶測に続く言い回しあれこれ
憶測のあとに続く述語の言い回しには、何種類もの豊富な表現があります。ここでその一部を紹介します。
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憶測をめぐらす
憶測とはかぎらない
憶測を試みる
憶測を氷解(ひょうかい)させる
憶測が横行(おうこう)する
憶測を刺激する
憶測を許す
憶測をまき散らす
憶測が加わったに過ぎない
憶測を鵜呑(うの)みにする
憶測にほかならない
上司
憶測の英語は『guess』
憶測は英語で『guess』と表記し、日本語で使われる意味とだいたい同じです。
おおむね下記のように使います。
It’s my guess to the end.
それはあくまでも私の憶測ですよ。
Her guess was on the nose.
彼女の憶測は正確でした。
What he said was just a guess, but he was telling the truth.
彼の言ったことは憶測に過ぎませんが、実は真実を言い当てていました。
憶測と予測の違い
憶測と予測の違いは何でしょうか。似たような言葉でも、意味合いがかなり違います。予測とはきちんとした根拠があって、「あらかじめ推測する」ことを指しているのです。いい加減におしはかることを指す憶測とは、裏付けの深さや向き合い方の真剣さがまったく違うといえるでしょう。
予測も推量するという意味では同じかもしれませんが、いわば無責任な推量が憶測、責任感がある推量が予測なのです。
憶測の使い方・例文
日常会話にもたまに登場する憶測ですが、ビジネスの現場ではいったいどんな会話で使われるのでしょうか。例文で見てみましょう。
先輩
上司
新人
[おまけ]「憶」と「臆」の意味
憶測の2文字のうち「憶」には、一文字だけでも「推測をする」という意味や「おもんぱかる」という意味があります。そしてもうひとつの「測」の方にも、「おしはかる」という同じような意味があります。
つまり憶測は、同様の意味合いを持つ文字が連なった熟語になっているのです。ただし、奇妙なことにどちらの文字にも「根拠がないのに」という意味は含まれていません。
また憶測の「憶」という字は、臆病の「臆」と字面がよく似ています。こちらの「臆」は「根拠がないのにも関わらず主観的に考える」という意味を持っています。これは、すばり憶測のことですね。
それもそのはずで、「憶」は「臆」の代わりとして使用された時代があったのです。つまり、憶測という書き方はその時代の名残であると考えられます。
似ている「〜測」との違いを意識して使おう
憶測の意味や使い方を、具体的な例文も挙げてわかりやすく紹介しました。推測や予測、観測や計測など「〜測」という言葉はいろいろとあります。基本的にこれらの熟語は、もう片方の文字でニュアンスが変わってくるのです。
会話の中で憶測や予測という表現を使う時は、微妙な意味の違いをしっかり意識して使いましょう。