稀代には2つの意味がある
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『稀代』は日常会話の中でそんなに頻繁に登場する言葉ではありませんが、確実に知っておきたい言葉のひとつです。稀代には2つの意味があります。それぞれ個別に解説していきましょう。
稀代とは『世にもまれなこと』
『稀代』の1つ目の意味は『世にもまれなこと』です。つまり、めったにおこらないことを形容する言葉で、人に対して使う場合もあります。「稀代の悪党」というと、めったにいないくらい、とんでもなくひどい悪党ということになるわけです。例文に登場した新入社員君も家でのかっこうと同じ短パン姿のまま、出社したのですから、めったにないオッチョコチョイということになります。
ただし、上司の使った「稀代の無教養」という表現はちょっと言い過ぎでしょう。そもそも、稀代という言葉すら知らない人はかなりの割合でいると思われるからです。
稀代とは『不思議であること』
稀代のもう1つの意味は『不思議であること』です。最初に紹介した『世にもまれなこと』という意味と近いのですが、イコールではありません。怪談などで「稀代な話もあるものだ」などと書かれていることがあります。『不思議であること』とは科学や常識では説明できない奇怪なこと、といったニュアンスがあるのです。
稀代の意味をチェック
せっかくなので、稀代の意味が1つだけではなく、『世にもまれなこと』と『不思議であること』の2つあることを覚えておいてください。
稀代の読み方は「きたい」と「きだい」、正しいのは?
この稀代という言葉、どう読むかわかりますか? 「きたい」と「きだい」とで迷う人もいるのではないでしょうか。実はどちらも正解です。
広辞苑では最初に「きたい」という読み方が見出しに書いてあり、「きだい」とも読む、とも書かれています。「きたい」と「きだい」、どちらでもOKと覚えておくとよいでしょう。
稀代は希代と表記することもある
この稀代、実は漢字の表記も2種類あるのです。本来は「稀代」と表記するのですが、「稀」という文字が常用漢字ではないため、新聞やテレビ放送で流れるテロップでは「希」を使っています。つまり『稀代』と「希代」、どちらを使ってもいいのです。
稀代の由来
稀代という言葉は「稀」という文字と「代」という文字のもともとの意味を合わせて生まれた言葉です。
「稀」は「まれ」という読み方もあって「珍しい」、「少ない」などの意味があります。
また「代」は「だい」と「よ」という読み方があって、「時代」や「世」などの意味です。2つの文字を続けることによって、この時代の中でもまれである、この世の中でもまれであるということから、『世にもまれなこと』『不思議であること』という意味を表す言葉になりました。
稀代の英語表記
稀代を表す英語はいくつかあります。それぞれ例文と合わせて紹介しましょう。
【uncommon(珍しい)】
It’s also uncommon story in a world.
世界でも聞いたことがないような珍しい物語だ。
【extraordinary(並外れた、風変わりな)】
He had an extraordinary physical strength.
彼は並外れた体力を持っている。
【rare(まれな)】
It’s also rare talk in a world.
世にも稀な話だ。
稀代と稀有の違い
稀代と似た言葉に、稀有があります。稀有の読みは「けう」です。稀代も稀有も「稀」という言葉が使われていているところも共通しています。
稀有の意味は「めったにないこと」「とてもめずらしいこと」の2つ。稀代と重なる部分がかなりあります。稀代が人間、もしくは人間にまつわること、擬人化できることなど、人物や現象にかかわるものを形容する言葉であるのに対して、稀有は人・もの・事など、さまざまな対象について使うことができます。
また、稀代は「歴史的にみてもあまり例がない」、「世界的にみてもあまり例がない」といった前提があったうえで使用されるものと理解しておくといいでしょう。
一般的には稀有という言葉を使うケースのほうが多いです。
稀代の使い方・例文
稀代という言葉、会話ではどう使われているのでしょうか? 具体例を紹介します。
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上司
稀代という言葉を正しく使いこなそう
稀代は「きたい」とも「きだい」とも読み、「稀代」以外に「希代」という漢字を使うこともあります。
日常会話の中でそんなに頻繁に登場する言葉ではありませんが、それだけに、ここぞという場面で的確に使いたいものです。意味を理解して、正しい使い方をしましょう。