周知には2つの意味がある
上司
新人
上司
周知はビジネスの場面ではよく登場する言葉です。社内や部署内のルールとして「周知徹底」といったフレーズが掲げられることもあります。この周知という言葉、2つの意味があることを知っていましたか?
意味は近いのですが、微妙な違いがあって、使う場面も異なります。その2つの意味を説明していきましょう。
周知とは『広く知らせること』
『周知』が持つ1つ目の意味は『広く知らせること』です。より一般的なのはこちらの意味といっていいでしょう。
業務連絡などで使われることが多いのは『広く知らせること』という意味のほうです。
周知とは『広く知れ渡っていること』
もう1つの意味は『広く知れ渡っていること』です。「周知の事実」という言葉はこちらの意味で使われています。周知という言葉を正しく理解するにはこの2つの意味を知っておくことが必要です。
周知の意味をチェック
周知には『広く知らせること』と『広く知れ渡っていること』という2つの意味があります。それぞれの使い方について、くわしく説明していきましょう。
動詞的用法と名詞的用法があることに注意
周知の2つの意味は微妙に重なるところがあるので、混同してしまいそうになるかもしれません。『広く知らせること』を動詞的な使い方、『広く知れ渡っていること』は名詞的な使い方として覚えておくと、区別しやすくなります。
『広く知らせること』という意味の周知は命令、依頼、注意喚起、情報の共有をうながすなどの場面で使われます。一方、『広く知れ渡っていること』という意味の周知は状態を指す言葉なので、使う場面は限定的ではありません。
周知の語源
周知という言葉の「周」には「あまねく」という意味があります。ものがすみずみまで行き渡っている状態を指す言葉で、田の中に米がいっぱいある状態に、口をつけて、「周」という言葉になったのが語源とされているのです。この「周」に「知る」という意味の「知」をつけて、『周知』という言葉になりました。
上司や目上の人に使う時は注意が必要
この『周知』という言葉、上司や目上の人に使う場合には注意が必要です。『広く知らせること』という意味の『周知』は命令や依頼の場面で使われることが多いため、上司に対して、「周知しておいてください」と使うことはほぼありません。まわりにも知らせておくように、というニュアンスを含んでいるからです。似た意味で使うならば、「ご承知おきください」がいいでしょう。
もう1つの意味の『広く知れ渡っていること』の『周知』も注意が必要な言葉です。「周知のとおり」という言葉には「知っていて当然」「知っていて当たり前」というニュアンスがあるため、上司や目上の人に使うと、無礼だと思われる危険性があります。言葉はとてもデリケートなものです。使い方に気をつけましょう。
周知の英語表記
周知を表す英語はいくつかあります。それぞれ例文と合わせて紹介しましょう。
【well-known(よく知られた)】
He is the well-known actor.
彼はよく知られた俳優です。
【widely known(広く知られた、周知の)】
Mt. Fuji is widely known in the world.
富士山は世界に広く知られています。
【as everybody knows(周知のように)】
As everybody know, chicken can’t fly.
誰もが知っているように、ニワトリは飛べない。
周知と衆知の違い
周知の類義語は拡散、啓蒙、伝達などですが、ここでは同じ響きを持つため、混同することの多い言葉である「衆知」との違いを説明しましょう。
「衆知」は『周知』と同じく「しゅうち」と読みます。「衆」にはたくさんの人という意味があり、「衆知」の意味は「多くの人の知恵」です。「衆知を結集して、難題に取り組む」などの使い方をします。『周知』の「知」は「知らせる」の「知」で、「衆知」の「知」は「知恵」の「知」なのです。
響きが一緒で、「知」という漢字が共通していますが、それぞれ意味が違うことを理解しておいてください。
周知の使い方・例文
周知は使われることの多い言葉であり、ビジネスのさまざまな場面で使われています。具体的な例文をみていきましよう。
先輩
新人
先輩
新人
先輩
周知の意味を理解して正しく使おう
周知はビジネスの様々な場面でよく使われる言葉です。情報の共有という組織の基本的なルールの伝達で使われることが多いのですが、上司に対しては基本的には使わないため、正しい使い方をマスターしておくことが求められます。意味が2つあることを認識したうえで、正しい使い方をしてください。