フィルターバブルとは『新しい考え方に出会えない状態』
上司
部下
上司
現代では、誰もがスマホ(またはPC)を使って調べ物や悩みごとの解決策を検索します。この際の検索結果が人によって異なり、自分にベストマッチなサイトが上位表示されていることはご存じでしょうか?
検索結果の偏り、これこそが『フィルターバブル』です。フィルターバブルとは、検索エンジンがユーザーに合わせた検索結果だけを表示させることで、泡で包まれたように他の情報や考えに触れられない状態のことを表しています。
検索エンジンのAIは、ユーザーがこれまで検索してきた内容などを記録し、検索の履歴から、ユーザーの趣味や嗜好に合うサイトを優先的に表示させるのです。
フィルターバブルの意味をチェック
フィルターバブルとは『検索エンジンがユーザーにとって最適なサイトだけを表示させることで、新しい考え方に出会えない状態』を意味します。
なぜフィルターバブルが問題なのか?また、フィルターバブルが起きてしまう原因とは何なのを掘り下げてみていきましょう。
なぜフィルターバブルが起きるのか?
検索エンジンは、3つの工程で検索にフィルターをかけて、ユーザー好みのサイトを厳選します。
トラッキング
検索エンジンは、ユーザーの検索履歴・クリックしたサイトの履歴・住んでいる場所など、プライベートな情報を記録しています。
このシステムがトラッキングです。
フィルタリング
トラッキングでユーザーの趣味趣向を掴み、ユーザーが求めていると判断したサイトのみを表示させます。反対に、興味がない(または反対意見を持った)サイトは表示させません。このシステムをフィルタリングと呼びます。
パーソナライズ
トラッキング・フィルタリングを最適化して、常にユーザーが好む内容だけを表示させる状態になります。
これらは本来ユーザーにとって有益な機能であるはずが、AIが進化しすぎた結果としてフィルターバブルを発生させることに繋がりました。
フィルターバブルの問題点とは
検索エンジンがユーザーの好みを判別し、見たい情報だけを表示してくれることは、一見すると非常に優秀な機能です。
では、一体この状況の何が問題なのでしょうか?
それは、反対意見やユーザーの視野にない情報を取り入れることができないことです。
あらゆる物事には、多様性や多面性があります。自分の好む情報だけを見ているだけでは、考え方に偏りが出てしまい、思考や価値観が広がりません。
例えば、AとBという2人の議員がいて、選挙にでるとします。ユーザーは議員Aを推してBのことに関心がない設定です。
選挙のことで検索をかけると議員Aの輝かしい経歴ばかりで、議員Bの経歴や性格を知ることができません。これは間違いなく、議員Aの方が有利に見えます。
しかし実際に当選したのは議員Bです。ユーザーは「目立った経歴のない議員Bがなぜ!」と驚きを隠せないでしょう。
議員Bにも輝かしい経歴があったにも関わらず、議員Aを推すユーザーに必要ないと判断し検索エンジンが議員Bの情報を遮断したのです。
実際、過去のアメリカ大統領選挙で似たような事態が起きました(こちらはフェイクニュースなどが飛び交うなど異なる点もあります)。行き過ぎた機能が、ユーザーを情報から孤立させたのです。
フィルターバブルの英語は『Filter bubble』
フィルターバブルの影響で、自分の思想にない意見を取り入れることができなくなります。しかし、あるアンケートによると、若い世代はフィルターバブルには肯定的で、素早く知りたい情報が知れる点に対してはメリットと感じています。
そんなフィルターバブルを英語で書くと、『Filter bubble』です。英語での例文を見てみましょう。
フィルターバブルによって、得られる情報に偏りが生まれる。
XXXサイトは、フィルターバブルを使用していますか?
フィルターバブルとエコチェンバーの違い
フィルターバブルとよく似た言葉にエコチェンバー(もしくはエコーチェンバー)があります。
エコチェンバーは閉ざされた空間やグループの中で、同じ思想を持つ者同士が集まり、更に思想への信念が強まるという内容です。
フィルターバブルとの違いは、その原因が検索エンジンかSNSコミュニティに分かれることです。フィルターバブルは検索エンジンがユーザーの考えを偏らせる原因であり、個人で偏った思想が増幅します。
対してエコチャンバーは、SNSなどで作ったコミュニティ内で交流して思想が強くなる起きる問題です。
フィルターバブルの使い方・例文
フィルターバブルが起きるとどうなるのかについて、影響がわかる会話を見ていきましょう。
後輩
先輩
後輩
先輩
[おまけ]フィルターバブルの回避方法
フィルターバブルを回避して情報を集めたい時は、プライベートブラウジング(またはシークレットウィンドウ)を使ってください。
プライベートブラウジングを使えば、ユーザーに合わせた検索結果を表示しません。情報の幅が広がるでしょう。
しかし、全てのプライベートブラウジングでフィルターバブルが起きないとはいえません。検索エンジンのアルゴリズムは、完全に把握することはできないためです。
情報を孤立させる泡から抜け出そう
フィルターバブルは、進化し過ぎた検索エンジンによって起きる問題。本来なら、検索サイトは、ユーザーが快適に調べものをできるためのシステムです。
自分の知りたいことや、信じている内容だけを見られるのは、心地よいでしょう。しかし、物事はあらゆる角度から見聞きすることで理解が深まります。
一辺倒な情報だけだと「この考え方以外何もない」と固定観念が強くなってしまうのです。それでもかまわないという世代も増えてきているようですが、本当にそれで良いのでしょうか?
気になる人は、プライベートブラウジングで検索してみてください。私たちを孤立させる泡から抜け出し、正しい情報を見聞きするようにしましょう。