ステルスマーケティングとは「やらせの宣伝」のこと
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「ステルスマーケティング(ステマ)」は、サクラの口コミなどを利用した「やらせの宣伝」のこと。「ステルスマーケティング」について詳しくみてみましょう。
ステルスマーケティングの意味をチェック
「ステルスマーケティング」は口コミサイトやブログなどで横行している悪質な広告行為です。まずは「ステルスマーケティング」の意味を詳しくみてみましょう。
ステルスマーケティングの英語
「ステルスマーケティング」は「stealth marketing」という英語がもとになっています。
「stealth」と「marketing」の意味は次のようなものがあります。
■marketing:マーケティング。市場で売買取引すること。
「stealth」と「marketing」のふたつを組み合わせた「stealth marketing」は、こっそりとしたマーケティング活動という意味になります。
ステルスマーケティングって何?
「ステルスマーケティング」はサクラを使ったやらせの宣伝行為のこと。中立的な人物の意見を装って、企業に対するよい口コミや評価を出したり、逆にライバル企業に対する悪評を流したりします。
芸能人やカリスマブロガーなどのインフルエンサーが広告宣伝費をもらって、業者・商品を使っていないのにもかかわらず、業者の要望に沿った口コミを出していたことが発覚し、大問題になったこともあります。
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ステルスマーケティングのタイプは2種類
「ステルスマーケティング」は大きく分けて、「なりすまし型」と「利益提供型」の2種類があります。
「なりすまし型」は業者が自作自演のサクラをするパターン。
「利益提供型」は業者がインフルエンサーに広告宣伝費を渡して、サクラを依頼するパターン。ブログやFacebook、YouTubeなどが宣伝の場として使われることが多いです。
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ステルスマーケティングの事例3選
「ステルスマーケティング」の意味はつかめましたか?この見出しでは実際におこなわれた「ステルスマーケティング」の事例を紹介します。
ペニーオークション詐欺事件
「ペニーオークション詐欺事件」は、2012年12月に起こった「ステルスマーケティング」です。非常に悪質で出会い系サイト運営会社の役員1人、社員3人が逮捕されています。
4人は自分たちが運営しているペニオクサイトに、高額な商品を0円など非常に安い価格で出品し、入札者を集めました。しかし、入札が入るたびに架空会員が自動入札するように細工されていて、1,000万円以上にならないと落札できないようになっていました。
そのうえ、出品されていた高額商品は仕入れられておらず、はなから商品を入札者に渡すつもりがなかったことが明らかになっています。
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デビッド・マニング事件
「デビッド・マニング事件」は、2001年に米ソニー・ピクチャーズエンタテインメントが自社映画作品の宣伝目的でおこなった「ステマ」です。
米ソニー・ピクチャーズエンタテインメントは、コネティカット州の週刊誌リッジフィールド・プレスに、映画評論家デビッド・マニングが書いた自社映画作品を絶賛するレビューを載せます。しかし、ビッド・マニングは架空の人物で、レビューは米ソニー・ピクチャーズエンタテインメントの自作自演だったのです。
この「ステマ」はニューズウィーク誌のジョン・ホーン記者に告発され、世に知れ渡ることになりなす。
その後、米ソニー・ピクチャーズエンタテインメントは映画ファンたちから損害賠償訴訟を起こされ、賠償金として観客1人あたり5ドル、計150万ドル(約1億6,000万円)を払うことになってしまいます。
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食べログの高評価レビュー
「食べログ」は過去に何度か「利益提供型ステマ」がおこなわれ、問題になったことがあります。2012年ごろに「やらせ業者」が多く出没し、報酬をもらって特定の飲食店を高評価する口コミを投稿。2017年には有名なレビュアーが、接待を受けた知り合いの飲食店に高評価レビューを投稿しています。
どちらも「食べログ」が意図的におこなった「ステマ」ではないですが、「食べログ」のように自社で管理しているサービスに「ステマ」が発生することはあります。
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違法性は?ステルスマーケティングに関する規制・法律
消費者に広告であることを隠して商品や企業の宣伝をする「ステルスマーケティング」は、消費者に不利益を与えます。この見出しでは「ステルスマーケティング」に違法性がないかみていきましょう。
景表法
日本にはウソ・大げさ・紛らわしい宣伝・広告から消費者保護する目的で定められた、「景表法」という法律があります。
事業者が自社で取り扱っている商品やサービスの宣伝、広告をするときにはこの「景表法」に定められたルールを守らなくてはなりません。
ステルスマーケティングは景表法違反か?
「ステルスマーケティング」が「景表法」に違反するかは、ケースバイケースで、消費者を保護する任務を持つ消費者庁でも、「ステルスマーケティング」=違法という判断はしていません。
「ステルスマーケティング」が違法かどうかは、「景表法」の「優良誤認表示」と「有利誤認表示」に違反しているかどうかで判断されます。
優良誤認表示
「優良誤認表示」は、商品やサービスの品質や内容を実際よりもよいものだと、著しく誇張して宣伝、広告したときに違法と認定されます。
「ステルスマーケティング」の場合も、商品やサービスの品質や内容が実際よりもよいものだと物凄く誇張されて目に余るようなケースだと違法と認定されます。
有利誤認表示
「有利誤認表示」は、商品やサービスの価格が著しくお得だと消費者に誤解させるような宣伝、広告をしたときに違法と認定されます。
商品やサービスが実際はそれほどお得なわけではないのに、「物凄くお得ですよ~」というような「ステルスマーケティング」をした場合、違法認定されます。
ステルスマーケティングは炎上のリスクも!
日本の場合、「ステルスマーケティング」をしたからといって即、違法とされるわけではありません。しかし、バレたら企業や業界の評判を著しく低下させてしまいます。「ステルスマーケティング」に協力したインフルエンサーも、ブログが炎上するリスクがあります。
「ステルスマーケティング」で得られる宣伝効果とバレたときのリスクを天秤にかけたら、「ステルスマーケティング」は手を出す価値があるとは言い難いですよね。誘われても、安易に手を出さない方がいいですよ!