「匙を投げる」とは?仕事で使える言葉?
新人
上司
新人
「匙を投げる」は、文字どおり匙を投げるという動作から生まれた言葉です。
しかし、そこに子どもが癇癪を起こすとか、食事が嫌でわがままをいうとかのニュアンスはありません。
言葉の意味がわからないときに、文字からニュアンスを考えてみるのは悪い習慣ではないです。でも、正しい解を確かめないままでいるのは、ビジネスマンとして賢い選択とはいえませんね。
「匙を投げる」について学び、仕事でつかえる知識にバージョンアップしましょう。
「匙を投げる」の意味とは「諦めて手を引く」
「匙を投げる」は「諦めて手を引く」という意味をもつ言葉。もう少しくわしく説明すると、次のようなニュアンスになります。
・状態が改善する見込みがないと諦めて、うまくいかないものごとから手を引く
思いつく限りの方法を試してみたもののすべて失敗。これ以上はどうしようもないと判断して、途中で諦めるのが「匙を投げる」です。
誰が匙を投げるの?語源・由来
「匙を投げる」の語源は、食事に使うスプーンではありません。薬の調合に使用する「薬匙(やくさじ)」が由来になります。薬匙とは、薬材専用の計量スプーンのこと。
外科技術がまだ発達していなかった昔、手術はほとんど行われていませんでした。手術ができないので、病気の治療はもっぱら漢方薬頼み。医師は、薬匙を用いて患者の症状に合う薬を調合していました。
しかし、薬では治せない病気も当然あり、医師がどのように調合しても症状を改善させられない場合も。
重病人の治療にあたっていた医者が、これ以上はもうどうしようもないと薬匙を投げてしまったことが「匙を投げる」という言葉のはじまりといわれています。
「匙を投げる」の読み方は「さじをなげる」
「匙を投げる」の読み方は「さじをなげる」です。
「匙」は「しゃじ」と読むこともできますが「しゃじをなげる」とはいわないので注意しましょう。
「匙を投げるな」の短文・例文
「匙を投げる」は、もとは医師が患者を見放すという意味でした。
しかし、そこからニュアンスが広がり、医療に関係ない事柄でも何かを諦めるというときに「匙を投げる」が使用されています。
「匙を投げる」の使い方を短文の例文でイメージしてみましょう。
新人
上司
「匙を投げるな」は諦めるなという意味です。
先輩
上司
「匙を投げる」は「さじ投げする」のように、アレンジを加えて用いられる場合も。
「匙を投げる」の類語
「努力しても、もう無理だ。諦めよう」というニュアンスをもつ言葉は「匙を投げる」のほかにもあります。
「匙を投げる」の類語もこの機会に勉強しておきましょう。
お手上げ:もうどうしようもなく行き詰ってしまうこと
音を上げる:もう無理だと弱音を吐くこと
白旗を上げる:降参する
刀折れ矢尽きる(かたなおれやつきる):戦う手段が尽きること
簡単にいいたいのなら「お手上げ」。諦め宣言をするにしてもかっこよくきめたいという人には「刀折れ矢尽きる」がおすすめです。
「匙を投げる」の対義語
「匙を投げる」の対義語には、次のものがあります。
七転び八起き(ななころびやおき):何度失敗しても諦めず、立ち上がって努力すること
「匙を投げる」の対義語を度忘れしてしまったときには「匙を投げない」といえば「匙を投げる」の反対の意味を表すことができます。
もとの言葉を否定するだけなので簡単ですね。
「匙を投げる」の英語表現
「匙を投げる」を英語で表現するときには次の語句が使えます。
・give up
・throw in the towel
「give up」は「諦める」という意味。「ギブアップ」は日本語でも日常的に使う言葉になっているのでわかりやすいですね。
「throw in the towel」の意味は「タオルを投げ入れる」。
ボクシングの試合などでは、選手がもう戦えそうもないとセコンドが判断すると、リングにタオルが投げ入れられてギブアップとなります。
このことから、タオルを投げ込むことが降参の意味になり、比喩として「途中でやめる」というニュアンスでも使われるようになりました。
仕事で「匙を投げる」のはこれ以上ないほどあがいてから!
「匙を投げる」の語源になった医者が実際に匙を投げるのは、あれこれ手を尽くして、それでも活路を見いだせなかったときだけ。
ビジネスでも「匙を投げる」が使われるのは、もうどうしようもない場合になるのが一般的です。
ビジネスマンならそうやすやすと仕事を投げ出すことはできませんよね。
本当に匙を投げるしかないのかよく考えて、最後の最後まで粘れる社会人を目指しましょう!