「腐心」とは「悩む」という意味
計画の改善に腐心する
一から計画を練るよりも既にあるものを改善する方が難しいですよね。どこをどう直したらいいのか…いっそのこと全部リセットして最初からやらせてくれ!と苦しく思うことがあるかもしれません。
「腐心(ふしん)」とは「悩み苦しむこと」。何かを成し遂げようとして頭を抱えて思い悩むことを表しています。
ビジネスパーソンは何かと「腐心」することが多いですよね。
なぜ「腐」?
「腐」は「食べ物が腐る」のイメージが強いですよね。また、「腐る」は「投げやりになる」や「いじける」を意味する態度を表す言葉としても使われます。
実は、「腐」には「頭を悩ます」という意味も。「腐心」の「腐」はこちらの意味です。
「腐心」の使い方・例文
・新しい条約に沿ったサービスを展開するため準備に腐心している ・選挙運動にばかり腐心して当選後のことは考えない ・浪人生として勉強とアルバイトの両方に腐心している ・長年腐心してきた嫌がらせ問題がようやく解決した ・コロナ渦での事業運営に何かとご腐心のことと推察いたします
新しい挑戦、目標に向かって努力、難しいトラブルを解決するため…世の中の頭を悩ます様々な問題に「腐心」を使うことができます。
「ご腐心」と相手を気遣う際に使うことも可能。フォーマルな挨拶文として使用することができます。
「腐心」を使う際の注意点
「腐心(ふしん)」は同音異義語がたくさんあります。会話で使った場合、「腐心」を知らない人は別の意味にとってしまうかもしれません。それほど一般的な表現でもないのであえて使う必要はないでしょう。
・不審 ・不振 ・不信 ・普請 ・浮心 など
連想してしまうかも
腐心して寿司屋をオープンさせた
全然間違った使い方ではありません。ありませんが、なんかイメージ悪いですよね。新鮮さが感じられないというか、ネタが変色してそうというか…。
「腐心」に「食べ物が腐る」という意味はないとはいえ、人間は想像力豊かな生き物です。言葉を知っている人でも連想してしまいます。知らない人ならなおさらでしょう。
食べ物屋さんに「腐心」を使う際は気をつけてください。特に多くの人が目にする文章に「腐心」を使ったら営業妨害と訴えられてしまうかも。全然間違った使い方ではないんですけどね。
「腐心」と「苦心」の違い
「腐心」と似たような表現に「苦心(くしん)」があります。
「腐心」も「苦心」も意味に違いはありません。しいていえば「腐心」の方が苦しみが強い印象です。
とはいえ、「苦心」の方が言葉として一般的であり、また「腐心」を使うのがはばかられること(飲食店等)もあるため、迷ったら「苦心」の使用をおすすめします。
「腐心」の類語
・苦労(くろう) ・心痛(しんつう) ・尽力(じんりょく) ・注力(ちゅうりょく)
これらも「腐心」の類語です。
お馴染みの言葉が多いですよね。あえて「腐心」を使う理由はないかもしれませんが、「苦労」の一言では済ませたくないほど悩んで悩んで何かを成し遂げたときなんかは「腐心」を使うとしっくりくるかも。
「尽力」とは?意外と難しい使い方・類語・英語表現を詳しく解説!
四字熟語の「腐心」
「切歯腐心(せっしふしん)」という四字熟語もあります。「切歯」は「歯ぎしり」を表していて「歯ぎしりするほど怒る」という意味に。「腐心」も含まれているので「激怒して思い悩む」という意味ではあるのですが、「激怒する」という意味合いの方が強く、「腐心」の存在感は薄いです。
「腐心」を英語で
He is struggling to procure operating funds ⇒資金調達のため腐心している
「struggle」で「腐心」を表現しています。「苦心」や「苦労」と訳すことも可能。「have a hard time」としても同様の意味になります。
成し遂げたときは「腐心」
めちゃくちゃ苦労して何かをやり遂げたときは「腐心」するといいたくなるかもしれません。「悩んだ」や「苦しんだ」では表現しきれない言葉の妙。
使うか使わないかは別として、頭の片隅に置いておくだけでも表現の幅が広がるでしょう。