「不徳の致すところ」とは「私のせいです」という意味
私の不徳の致すところです
企業の不祥事があった際に、責任者が頭を下げているシーンをニュースで見ることがあります。その際に使われるのが「不徳の致すところ」。
「不徳の致すところ」とは「自分の不徳のせいで起きた結果」、つまり「責任は全て自分にある」と表明する際のセリフです。
「不徳」とは
「自分の不徳のせい」=「自分のせい」という認識でいいのですが、この「不徳」とは何なのでしょうか。「不徳」の意味を見ていましょう。
・人の行うべき道に反すること ・徳が備わっていないこと
やっちゃいけないことをするのが「不徳」?「徳が備わっていない」とは?そもそも「徳」って何なのでしょうか。
そもそも「徳」とは
パナソニックの創業者、松下幸之助はこのように言葉を残しています。
人間として一番尊いものは徳である
経営の神様の言う通りだとしたら、「不徳」とは人間として一番尊いものがないということに。だとしたら大問題ですよね。
「徳」の意味は「神仏の加護」、「富や財産」、「生まれ持った才能」などいくつもありますが、ここでの意味にふさわしいのは「精神を磨くことで身に付く品性や気質」でしょう。
つまり、「不徳の致すところ」とは「品性や気質に問題があったため起きてしまいました」という意味になります。言い換えれば「私の人間性に問題があったことが原因です」。
何か失敗をした時に人間性まで否定されると傷つきますよね。それを自分で否定するくらい大反省しているということです。
「不徳の致すところ」の使い方・注意点
・全ては私の不徳の致すところです ・今回の報道に関しましては、私の不徳の致すところであり猛省しています ・今回の騒動は弊社の不徳の致すところです。つきましては再発防止に努めていく所存です
「不徳の致すところ」は企業の不祥事の責任者や、世間を大きく賑わせたニュースの当事者が謝罪の言葉とともに口にする言い回しです。
使う際の注意点
ちょっとしたミスに対して使う表現ではありません。
犯罪やそれに準ずるコンプライス違反ぐらいの出来事でなければ使うのは大げさだという人もいます。できれば一生のうちで口にすることがないようにしたいですね(謝罪文等の書面で使うこともできますが)。
また、「不徳の致すところ」自体は謝罪の言葉ではないので、必ず「申し訳ありません」や「お詫び申し上げます」等と一緒に使います。
「申し訳ありません」「申し訳ないです」の違いとは?使い方や注意点など詳しく解説!
「不徳」を使ったその他の表現
・不徳の極み ・不徳の至り
「不徳の極み」や「不徳の至り」といった表現も。これらは「不徳の致すところ」よりも「不徳」を強調した表現です。「不徳の致すところ」でも足りないと思うときに使うことができます。
とはいえ、「不徳の致すところ」でもかなり重い表現なので、これらを使うと大げさな印象を持たれてしまうかもしれません。「不徳の致すことろ」で充分です。
「不徳」の類語
・不義理(ふぎり) ・不道徳(ふどうとく) ・不徳義(ふとくぎ)
これらは「不徳」と似たような意味の表現です。「不徳の致すところ」のような表現はこれらにはないので、使い勝手は「不徳」の方がいいでしょう。なるべく使いたくはないですけどね。
「不徳の致すところ」を英語で
This is all my mistake.I apologize for this ⇒私の不徳の致すところです。申し訳ありませんでした
「This is all my mistake(全て私の失敗です)」で「不徳の致すところ」を表現しています。日本語と同様、謝罪の言葉とともに使用します。「sorry」や「apologize」を使った一文を続けましょう。
「不徳の致すところ」で潔く
深く反省すべきことがあったときに口にする「不徳の致すところ」。なるべくならお世話になりたくない表現です。
とはいえ、万が一そのような事態が起きてしまったら潔く「不徳の致すところ」を使って謝罪しましょう。