「淘汰」とは「必要ない物を取り除く」という意味
人工知能により多くの職業が淘汰されるかも
10年後、20年後、自分がいる業界の仕事がAI(人工知能)に取って代わられないか不安ですよね。そんな話題でもよく「淘汰」という言葉が登場します。
「淘汰(とうた)」とは「必要ない物を取り除く」という意味。ここでいう「必要ない」とは、「弱い」「トップになれない」といった意味も含みます。
また、「物」だけではなく会社やサービス、人さえ「淘汰」されることも。
「淘汰」と言えるシチュエーション
具体的にどのようなシチュエーションにおいて「淘汰」を使えるのでしょうか。
・AIに仕事を奪われる ・集客力のない大学が潰れる ・乱立したタピオカ屋が徐々に減っていく ・プログラミングできない社員が解雇される
このように多くの集まりの中で、「必要ない」とされた物・企業・人などに対して使います。倒産、撤退、解雇などを余儀なくされる状態であれば「淘汰」と言い表すことができます。
企業の採用試験や入学試験なども「淘汰」と言えるかもしれません。
「淘汰」の注意点
優れた物や人が排除されることは「淘汰」とは言わないので注意。
また、正しい使い方だとしても、自分に関係することに対して「淘汰」と言われるのはいい気がしませんよね。積極的に使うのは控えた方がよさそうです。
「淘汰」の語源
「淘汰」の語源は「水」に関係があります。「淘」と「汰」、どちらの部首も水を表す「さんずい」ですよね。「淘」も「汰」も意味はほぼ同じで「水を使ってより分ける」。
そして、二つを合わせた「淘汰」には「(人が)水を使ってより分ける」「(自然に)流水や風で砂や石などがより分けられる」という意味もあります。
これらの意味ではあまり使いませんが、川で砂金や砂鉄などの鉱石を採る際に使用する道具、「淘汰盤」に名残を見ることができます。
また、地学用語では粒が揃っている状態を「淘汰がいい」、逆に不揃いな状態を「淘汰が悪い」といいます。
「淘汰」が専門用語として使われているのは地学だけではありません。
生物学における「淘汰」
「自然淘汰」という言葉を見聞きしたことはあるでしょうか。進化論で有名な学者、ダーウィンが進化の要因として重要視したことから広く知られるようになりました。
「自然淘汰」によって変化する自然環境に適応できなかったものは滅び、生き残るために形質を変えたものが現在の生物につながると考えました。
逆に人の手で優良な個体をより分けて新しい品種を育成していくことを「人為淘汰」といいます。
「淘汰」の使い方・例文
「淘汰」はどのように使われるのでしょうか。例文で確認していきます。
・AI時代に対応できない企業は淘汰される ・企業淘汰の時代に突入した ・娯楽ビジネスは淘汰されてしまうのか ・資金力のない企業は淘汰されてしまう ・出走馬の影に何千倍もの淘汰されている馬たちがいることを忘れてはならない ・現在生き残っている生物は自然淘汰、人為淘汰を勝ち抜いたものたちと言える
一般的に「淘汰」が使われる際は水も進化も関係ありません。
インパクトのある言葉なのでビジネス記事の見出し等でよく見かけます。企業やビジネス形態が、他の企業に負ける、時代遅れになることを「淘汰」と表しています。
「淘汰の時代」という表現も。「企業淘汰の時代」とは「限られた企業しか生き残れない時代」という意味です。同様に「大学淘汰の時代」とも言われます。
「淘汰」の類語
「淘汰」の言い換え表現にはどのようなものがあるでしょうか。
・選別(せんべつ) ・ふるいにかける ・排除(はいじょ) ・除去(じょきょ)
「選別」や「ふるいにかける」は「淘汰」と同じように「より分ける」という意味があります。
一方、「排除」や「除去」は単に「取り除く」という意味です。
「淘汰」を英語で
That business will become obsolete ⇒あのビジネスは淘汰されるだろう
「淘汰される」に近いニュアンスで使われるのは「obsolete」。直訳すると「廃れる」「取って代わられる」という意味合いです。
「自然淘汰」は「natural selection」、「人為淘汰」は「artificial selection」で表現できます。
「淘汰」されないために
激動の令和。「淘汰の時代」真っただ中と言われても納得できるような情勢です。自分は、自分の会社は「淘汰」されることは絶対ないと言い切れるでしょうか。勝ち残るための武器(スキル)を身に付けておくことが必要でしょう。
とはいえ、「淘汰」される時はされちゃいますし、ある意味「自然淘汰」なのかもしれません。