「都度」とは「毎回」という意味
その都度確認するようにしてください
ビジネスシーンに限らず、このような表現をよく耳にしますよね。
「都度(つど)」は「毎回」という意味。そのたびごとに行うことを表しています。特に「その都度」という言い回しがよく使われます。
「都度」の漢字の意味
なんで「都」の「度」で「毎回」って意味になるの?
「都」は中央政府が集まっているところ、という意味でお馴染みの漢字です。「京都」や「東京都」がその例です。「毎回」の意味を持つ「都度」のイメージにいまいち合わないですよね。
しかし、中国語をちょっとかじったことのある人であれば、違和感がないはず。
中国語の「都(dōu)」には「全て」という意味があります。中国語学習では、最初の方に習う基本的な単語です。
「都度」は日本の言葉ですが、「都」は中国由来の意味を受け継いでいることがわかります。
「その都度」がよく使われる
「都度」といえば「その都度」というくらい、「都度」は「その」とセットで使われます。
・その都度注文するのではなく、一度に注文すれば節約になる ・その都度記入するようにすればミスを防げる
「その都度」の次に多く使われるのが「○○する都度」、「○○の都度」。
・出勤する都度タイムカードを打刻するのが面倒だ ・試合の都度、怪我をするようではプロ失格ですよ
基本的には「その都度」と「○○する都度」「○○の都度」の使い方さえ押さえておけばOK。
「都度」は江戸時代ごろには文献で使用が確認されている言葉とされていますが、当時から現在までこれらの使い方が主でした。
しかし、1990年頃から単体で使われる「都度」が確認され始めたといわれています。
単体の「都度」
・紙は都度交換してください ・都度支払いが必要です
若者言葉やネットスラングというわけではなく、商品説明やテレビ等で敬語とともに使われています。この場合の「都度」は「その都度」の「その」を省略した言葉と予測できます。「その都度」に置き換えるとしっくりきます。
これらの使い方に違和感がある、見たことがないという人も多いでしょう。しかし、10年、20年経ったらこれらの使い方が普通になっているかもしれません。
現に「都度課金」や「都度払い」、「都度決算」という表現は一般化しつつあります。
「都度都度」とは
「都度都度」は「都度」を重ねて強調した言葉。「その都度都度」「○○の都度都度」といった使い方もありますが、「都度都度」単体でも使用されます。
二度重ねることでくどい、しつこい印象になるので、「いちいち」「こまごまと」といった悪いニュアンスで使うことも。
辞書に載っていない場合があり、またネガティブな意味合いもあるためビジネスシーンでの使用には注意が必要です。
・その都度都度手紙を送ってきた ・都度都度催促してくるのでうんざりする
「都度」の類語
「都度」の類語表現にはどのようなものがあるのでしょうか。
・毎回 ・毎度 ・逐一(ちくいち)
「逐一」には「一つ残らず全て」という意味があり、「都度」と同じように使用できます。
・トラブルがあったらその都度報告をする ・トラブルがあったら逐一報告をする
「逐一」と似た言葉の「逐次」は「次々と」という意味で微妙にニュアンスが違うので注意。
「逐次」の意味とは?「逐一」との違いは?使い方から類語、英語表現まで
「都度」を英語で
Please point that out every time ⇒その都度指摘してください
「every time」で「その都度」を表現してます。「each time」とすることも可能。
ビジネスシーンでは
「その都度」と使われることが多いですが、「都度」単体で使われることも今後増えていくかもしれません。また、使っていいのか迷う「都度都度」という表現も。
ビジネス上では「その都度」「○○する都度」、「○○の都度」の使い方をおすすめします。とはいえ、新しい使い方も拒絶することなく柔軟に受け入れていきたいですね。