「ご指導ご鞭撻」は教えを乞う際や締めの文章として使われる言葉
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「ご指導ご鞭撻」とは、「指導」と「鞭撻」を尊敬語で表し、自分から相手に教えを乞う際に用いられる敬語表現です。
2つの単語にはどちらも「相手に乞う」意味があり、どちらも相手に乞う意味として単独でもセットでも使える言葉です。また、相手に教えを乞う際だけでなく、会話やメールでの締めの文章としても使うこともできます。
挨拶として使われるときの「ご指導ご鞭撻」には「これからもよろしくお願いします。」というニュアンスが含まれており、上司、恩師、両親など、お世話になっている目上の方々への感謝の言葉としても用いられます。
「ご指導ご鞭撻」以外にも「教えを受ける(乞う)」と同じ意味合いの言い換え表現はほかにもあるため、日常会話やビジネスシーンで上手に使い分けましょう。
・ご教授
・ご伝授
・ご教導
・指導を仰ぐ
「ご指導ご鞭撻」の読み方や言葉の意味を詳しく解説
「ご指導ご鞭撻」の「ご指導」は読めても「ご鞭撻」が読めないという人も多いかと思われます。言葉の意味を正しく覚えるなら両方の読み方を知っておくべきでしょう。ここからは「ご指導ご鞭撻」の読み方や言葉の意味を詳しく解説していきます。
「ご指導ご鞭撻」の読み方
「ご指導ご鞭撻」のそれぞれ読み方を見ていきましょう。
「ご鞭撻」・・・「(ご)べんたつ」
「ご指導は」よく耳にしますが、「ご鞭撻」はあまり耳慣れない言葉という人も多いため覚えておいてください。先述したように結婚式などのセレモニーやビジネスシーンで広く使われます。
「ご指導ご鞭撻」の言葉の意味
「ご指導」と「ご鞭撻」にはそれぞれ意味があります。
「鞭撻」・・・強い励ましや戒め
接頭辞の「ご」を用いることで自分を教育してくれる相手に対して敬意を表した言葉です。
道を指し示し導く「指導」に対し、「鞭撻」は鞭を打つという意味合いの言葉です。叱咤激励や戒めの言葉は厳しいながらも自分への教育、すなわち「愛の鞭」を表現しており、情のある教えを意味しています。
「ご指導ご鞭撻」の使い方・例文
日常会話ではあまり使わなくてもビジネスシーンでは使用する機会が増える言葉も多く、今回の「ご指導ご鞭撻」もそのひとつと言えます。
社内外の目上の人や取引先との会話やメールなど、ビジネスシーンで用いる「ご指導ご鞭撻」の使い方と例文をご紹介します。
ビジネスメールや挨拶の言葉として使える「ご指導ご鞭撻」の例文
披露宴のスピーチなどで使われる「ご指導ご鞭撻~」の口上を聞いたことはあっても、ビジネスメールや挨拶ではどのように使うのか知らない人も多いと思います。ビジネスシーンで一般的に使われる「ご指導ご鞭撻」について、さらに掘り下げてチェックしていきましょう。
ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします
目上の人に教えを乞う時に使われる言葉ですが、ビジネスメールでは文章の締めとしても用いられます。相手との今後の付き合いを考えた場合、さらに言葉を付け加えて良好な関係を築きたいという願望を表現できます。
挨拶としてだけでなく、実際に教えを受けたときの感謝の言葉としても使える言葉です。相手が目上であること以上に、自分に貴重な知識・技術を指導してくれた相手に敬意を表す言葉として「よろしくお願い申し上げます」などの丁寧な言葉を用いるのもよいでしょう。
ご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます
「賜る」と「申し上げる」の2つの謙譲語を使ってへりくだることで相手を敬った言葉です。ビジネスシーンでも格上の相手に対して使える言葉ですが、結婚式や披露宴の謝辞の締めの言葉としても用いられます。
「教えを受ける」を「教えを賜る」と表現することで相手への敬意を言葉で表現しています。
「ご指導ご鞭撻」を使う際の注意点
お礼の挨拶やメールの締めの文章、ビジネスシーンでの社交辞令、セレモニーのスピーチなど、さまざまなシチュエーションで使える「ご指導ご鞭撻」ですが、便利だからといってどこでも使えるわけではありません。
本来の意味を考えて正しく使用できるよう、「ご指導ご鞭撻」を使う際の注意点をチェックしていきましょう。
「ご指導ご鞭撻ありがとうございました」は違和感がある
教えを受けた時に「ありがとうございました」とお礼をいうのはマナーとして当然ですが、「ご指導ご鞭撻」と一緒に使用するのは適切ではありません。
「ご指導ご鞭撻」には「【今後とも】よろしくお願いします」というこれからも関係性が続く意味をもつため、「ありがとうございました」と過去形にするのは違和感があります。
メールや会話で使用する場合にも、これからも続く関係を過去形にするのは不自然な表現です。別れの際の挨拶にしても「ご指導ご鞭撻」の言葉自体に「今後の関係」を含んでいるため、過去形で締める言葉は別れの挨拶に使うのは好ましくありません。
「ご指導ご鞭撻」を受けた際の返事の仕方は?
ビジネスシーンで活躍する人ほど多く「ご指導ご鞭撻」を受けて立派なビジネスパーソンとして成長していきます。
「ご指導ご鞭撻」を受けたあとは相手に対して
としっかりとした返事をすることが大切です。
それでは次に、そのほかの「ご指導ご鞭撻」を受けた際の返事の仕方をご紹介していきます。相手からの教えに対するお礼と感謝の気持ちをそのまま言葉で表しましょう。
お時間をいただき、ありがとうございました
人に物を教えるということは「教える時間を使う」ということです。自分のために時間を割いてくれたことや新しい知識や技術を享受できた時間に対して感謝を述べた言葉です。「厚意」「時間」「知識・技術」への感謝を忘れてはいけません。
ご指導くださいましたこと、心より感謝いたします。
新人教育や技術指導は一朝一夕で成就するものではありません。自分のために長期に渡って指導してくださった恩師に対し、心からの感謝を言葉で表した言葉です。共有する時間が長くなるほど深い感謝の気持ちを相手に伝えることが大切です。
ご指導くださいまして、誠にありがとうございました。
人に教えるケースは多くの場合、役割や厚意によるものですが、いずれも「親切心」に起因しているといえます。受けた親切に対しシンプルに感謝の言葉で伝えることは決して間違っていることではありません。積極的に気持ちを伝えることが重要です。
「ご指導ご鞭撻」の類語(言い換え表現)
「教えを受ける」との意味である「ご指導ご鞭撻」の類語(言い換え表現)も確認しましょう。「ご指導」と「ご鞭撻」それぞれが類語です。ひとつの単語として単独で使うこともできますが、別の類語も覚えておくと相手との関係性に合わせて使い分けができます。
「薫陶を受ける/授かる」
「薫陶(くんとう)」とは「人徳や品格のある人物から影響を受け、人格が磨きあげられること、感化されること」を意味し、教えを授けてくれた相手を立てて敬意を表した言葉です。
例えば政界やスポーツの世界での「~チルドレン」と呼ばれる人物は、ある人物の薫陶を受けた教え子たちということになります。
「ご教授」
ご教授は「学問や技芸の技術を教え授ける」との意味をもつため、「ご教授ください」は相手に対して自分に学や技を教え授けるようお願いする言葉です。
よく間違えやすい「ご教示」との使い分けですが、こちらは「知識や方法を教え指し示す」との意味で使われる言葉です。どちらも教えを乞う言葉で明確な分け方が難しいのですが、「ご教授」は「専門的な知識や技術」。「ご教示」は「物事の知識や手順」として使い分けるのが一般的です。
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「ご教授ください」は「ご教示ください」の誤用?意味・例文・類語・英語表現を解説
「ご伝授」
意味としては「ご教授」に近く、「奥義や秘伝などを教え授ける」ことを意味する言葉です。時代劇などで武芸や忍術の「奥義を伝授」という言葉でも知られており、ネット上の小ネタのタイトルに「〇〇を伝授!」のように現代でも広く使われています。
「ご教導」
思想や理念などを教え導く言葉です。「ご教授」が学問や技術に対し、こちらは「学問的な理念や宗教思想などの概念」を指し示す言葉です。宗教的な意味合いが強く、ビジネスシーンでもあまり使われる機会はありません。
「指導を仰ぐ」
目上の人に対して教えを求めることを意味します。一般的には「師と仰ぐ」「指示を仰ぐ」という言葉で日常会話でも広く使われています。
卒業式のときに歌う「仰げば尊し」は学校生活や教師たちの教えを振り返る唱歌で、卒業生たちが恩師や学校に感謝する歌です。
「ご指導ご鞭撻」の関連語
相手からの教えをお願いする「ご指導ご鞭撻」はビジネスシーンでよく使われる言葉ですが、ネット上ではサブカルチャーとして使われていたり、漫画作品でも見受けられるケースもあります。ここでは「ご指導ご鞭撻」の関連語について触れてみましょう。
YAGGY(ご指導ご鞭撻よろしゅうな)
ゲームやアニメなどでメディアミックス展開をしている作品「艦隊これくしょん」の登場人物「陽炎」「不知火」「黒潮」の3人による登場時の挨拶をローマ字にして頭文字で表した言葉です。
該当の台詞が「や(Y)っとあ(A)えた」「ご(G)しどうご(G)べんたつ」「よ(Y)ろしゅうな」であることから、それぞれを取って「YAGGY」と呼びます。3人で1チームということから彼女たちを表す言葉としてネット上で用いられます。
ソーシャルゲーム「艦隊これくしょん」において彼女たちはいわゆる「ハズレ枠」として扱われており、レア枠狙いで3人のいずれかが出てきた場合の「残念な結果」に例えて主にネットスラングとして使用されています。
「ご指導ご鞭撻」と同じ意味で使える英語表現は?
your guidance and encouragement
と表現できます。
今すぐ使える例文を見ていきましょう。
⇒ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
・I wish to benefit from now on as wall from your guidance and encouragement.
⇒今後ともご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
・This year, same as last, I wish to benefit from your guidance and encouragement.
⇒本年も昨年同様、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
・Thank you from the bottom of my hear for your guidance and encouragement.
⇒ご指導ご鞭撻を賜り、誠にありがとうございました。
「ご指導ご鞭撻」をビジネスシーンで正しく使おう
「ご指導ご鞭撻」は目上の人に対して教えを乞うとき以外にも「今後の良好な関係」を例えた言葉です。ビジネスシーンでは指導を受けることや相手との関係が長く続くことも珍しいことではありません。「ご指導ご鞭撻」を正しく使って目上の人と良好な関係を築きましょう!