『長年憧れた人の会社を辞めてルーマニアで生活費を稼げるようになるまで』を初回から読みたい方は、下記の【退職編】をご覧ください!
長年憧れた人の会社を辞めてルーマニアで生活費を稼げるようになるまで【退職編】
期待と不安のなかで移住の準備開始
移住して起業することを考えつつ、半年後にルーマニアで生活するための準備を開始しました。
準備期間となる半年の間には、日本での各種手続きや引っ越し業者選び、荷造りなどやるこはたくさんありました。移住するにあたり、主に以下の作業を行いました。
・マンションの解約/郵便物の転送届
・荷造りとルーマニアへの引っ越し代行業者選び
・海外転出の手続き
国民年金/社会保険料/NHKの解約手続き
数ヵ月滞在して日本に戻る短期滞在ではなく、永住することを前提とした移住なので、国民年金や社会保険料、NHK解約の手続きを行いました。
国民年金は海外移住しても任意で加入することが可能ですが支払いをストップしました。NHKの解約は電話で海外へ移住する旨を伝えたところ、解約書類を送ってくれました。書類に必要事項を記入して返送するだけと簡単で助かりました。
マンションの解約/郵便物の転送届
ルーマニアへ出国する前の1ヵ月間は実家で過ごす予定にしていたので、早めに2人で住んでいたマンションを解約。郵便物が実家へ届くよう転送届も行いました。
私物が何一つないマンションを見て、「いよいよだな」と感じましたが、マンションを空の状態にするまでが大変でした。
国内で引っ越すわけではないので、家具や家電は譲ったり、業者に買い取ってもらいました。問題だったのは大量に保有していた衣類。すべてをルーマニアにもっていくと送料が高くなりすぎるため、ルーマニアへ送る荷物を段ボール20個に抑えました。
ルーマニアへの引っ越し代行業者選びと荷造り
荷造りを開始する前に引っ越し手続きを代行してくれる業者を探しました。
荷物は航空便ではなく値段の安い船便を選択。ルーマニアと日本間は直行便を運航している航空会社がなく、航空便のなかでも価格が安いエコノミー航空便(SAL便)の取り扱いもないため、仕方なく船便にしました。船便は価格が安い点はうれしいですが、到着まで日数が多くかかります。私の場合、日本で20個の荷物を預けてから、ルーマニア到着までに2ヵ月くらいかかるといわれました。
数社一括で見積もりをとったのですが、各社の料金が大きく異なり迷いました。20個の代金が23万円ほどともっとも安かったB社に依頼しましたが、対応は散々なものでした。
送られてきた大型の段ボール20個に衣類などを詰め、荷造りの準備をして集荷を迎えましたが、約束していた13時になってもB社の担当者が来ません。
私が電話をかけると「今向かっていますが、予定のお時間より到着が遅れます」との答えが…。この時点で、B社に対する信頼感はゼロになりました。
B社は日本人と外国人の2名体制で行っている会社で、今回集荷に来たのは日本人の50代ぐらいの男性1名。衣類が詰め込まれて重くなった大きな段ボール20個を1人で運ぶため、1.5時間ほどかかりようやく終了しました。
大事なものを海外へ送る際は、金額が高くても業界大手のY社などに依頼したほうが安心できただろうなと少し後悔。
海外転出の手続き
海外へ移住する際、日本の住民票を抜くか抜かないかは選択できます。
住民票を抜かない場合、日本にいなくても住民税の支払いが発生します。私は移住のつもりで渡航するため、抜きました。
余談ですが、「移住すると国籍も日本からルーマニアに変わるの?」という質問をたまに受けますが、国籍は変更しない限り日本のまま。ルーマニア国籍も一定の要件を満たせば取得できますが、変えてもメリットが少ないので取得するつもりはありません。
ようやく日本から荷物が届いたがまたしてもハプニングが
ルーマニアに移住して2週間ほど経過したころ、B社から、荷物がそろそろ届くと連絡がきました。荷物のチェックが終わり税関を通過した後は、現地の宅配業者がドアまで運ぶ予定となっていました。
数日後、荷物20個を引き取った現地の宅配業者から以下の内容のメールが送られてきました。
「あなたの妻が日本にいた理由や活動を証明できなければ、日本から送付した荷物20個すべてを輸入品と扱い、関税の支払いが発生する」
ルーマニア現地の宅配業者は日本の引っ越し代行業者B社のパートナーとなっている会社。B社には事前に妻のパスポートや日本に在留できる旨を記した証明書のコピーを渡しており、それをルーマニアの宅配業者が確認していれば、上記の内容のメールは送られてくるはずがありません。
このメールが送られてきたときは、私自身もルーマニアの生活に慣れていない時期であったことから戸惑いや不安、イライラが一気に襲い掛かってきたように感じていました。
「どうしてこんな問題が発生するんだ?日本だったらあり得ないだろ」
「B社はなにをやっているんだ?!書類を渡してないのか?」
B社に対し、怒りにまかせた文面にならないよう、イライラを抑えつつこれまでの成り行きをメールで説明しました。すべての書類を宅配業者が確認できるよう送付してもらうことに加え、仮に関税が別途かかるようであれば、その支払いをする意思は一切ないと抗議しました。
この問題が起きた原因は、B社とルーマニアの宅配業者の英語での会話がかみ合っていないことでした。
翌日にB社からはメールの返事があり、謝罪なのか言い訳なのかよくわからない文面が届きました。
「やはり引っ越しをB社に依頼したのが大間違いだった…」
B社の誠実ではない態度やメール内容にあきれて、それ以降はルーマニアの宅配業者とのみやり取りを開始し、最終的に関税なしで荷物を自宅のドアの前まで届けてもらうことができました。
海外移住をして初めてのハプニングだったので精神的にとても疲れましたが、届いた荷物を開封し、自分が大切にしてきた衣類が無事に届いたことを確認したことで少しだけ安心感を覚えました。
ルーマニア移住後の各種手続きで心折れそうに
ルーマニアで生活を始めて2週間後に荷物のハプニングがあり、大変でしたが、移住して暮らすために行わなければならない現地での各種手続きも大変でした。
現在はだいぶ改善されていますが、ルーマニアは日本と違い、公的機関のHPなのに情報が乏しく、書いてあってもその情報が正しいのか疑わしいレベル。直接問い合わせて聞こうと思い電話をかけても誰も出ない。そもそも問い合わせの電話番号すら公表していない機関も。
手続きするために公的機関を訪れても何時間も待たされることは当たり前で、どの課で手続きを行えばよいのか聞いても「私はわからない」とだけ答える人も。同じ機関で働いているのに自分の担当する仕事以外は理解していないのか、ただ教えるのが面倒なだけなのかはわかりませんが、国や地方で働く人の対応は不愛想に感じることが多かったです。
私はルーマニアに居続けるために必要な在留証明書発行の手続きをしなければなりませんでした。ルーマニア人の配偶者である立場上、猶予はしてもらえますが、証明書が発行されなければ、最悪の場合、日本へ帰国しなければならないため、急いで申請準備にとりかかりました。しかし、私も妻も初めてのことなので勝手がわからないうえに、各機関のHPは情報が乏しい。5年前はgoogleで検索してもそれほど有益な情報はでてきませんでした。
なんとか調べられる範囲で書類を集めて公的機関へ申請に向かいましたが、不備があったり、書類不足を指摘されるなどしました。書類を書き直したり集め直しているうちにいつになったら書類を受け取ってもらえるのかと焦り、移住することの大変さに何度か心が折れそうになったこともありました。
日本では地方でも公務員と言えば安定している・給与が高いなど”良いイメージ”があり、なりたい職種としても人気が高いですが、ルーマニアの地方公務員は安定こそしていますが給与に関しては平均的。国家公務員は別物になりますが地方公務員は職業としてそれほど人気はなく、誰でも採用されるイメージがあるため、進んで公務員になりたいというルーマニア人はそれほど多くありません。
私が移住後の手続きで体験したことは、ルーマニアに限らず、外国では珍しくない現象かもしれません。
日本でも自治体の公的機関で手続きをする際、さまざまな課に出向くこともあり、面倒に思うこともありましたが、ルーマニアでの手続きは日本の倍以上に面倒だと感じました。
ルーマニアと日本の公務員の仕事ぶりや対応を比較すると、ルーマニアは日本よりもサービスの質が低く、対応も満足できるものではないことを思い知らされました。
次回に続く
取材・執筆:chewy編集部 イシ (@ishiwm)
編集:chewy編集部 はら (@MmcNaka)