「凋落」とは「落ちぶれる」という意味
かつての人気サービスの凋落、利用者減で赤字へ
ビジネス系や政治系の記事の見出し等メディアで広く使われる「凋落」。日常会話で使うには少々大げさな表現ですが、見出しに使うと効果抜群で人目をひきつけます。
「凋落(ちょうらく)」の意味は「落ちぶれる」。かつて栄えていた人や物が、その力や人気、勢いを失う様を表しています。
「凋落」のその他の意味
「凋落」は人や物の勢いが失われるという意味での使用が多いですが、「凋落」にはその他の意味も。あわせて確認しておきましょう。
・草木がしぼみ枯れること ・美貌が失われること ・衰えて死ぬこと
「凋落の秋」といえば、夏には青々と生い茂っていた植物がしぼみ枯れてしまう秋の物悲しさを表した言葉。
「美貌が失われる」「衰えて死ぬ」という表現は、現代ではあまり使われません。しかし、草木のようにしぼみ枯れるイメージに当てはめると違和感のない表現です。
「人や物の勢いが失われる」という意味で使う場合も、草木がしぼみ枯れるかのごとく徐々に衰えていくニュアンス。昨日までは調子がよかったのに、今日になって急に失墜したようなケースに「凋落」を使うと違和感があります。
「凋落」の使い方・例文
「凋落」の具体的な使い方を例文を通して確認していきましょう。
・世界を席巻したA社だがリコール問題を境に凋落の一途を辿っている ・栄華を誇ったテレビ産業もインターネットの台頭で凋落傾向にある ・かつては彼をテレビで見ない日はないくらいだったのに、めっきり見なくなった現在の凋落ぶりには儚さを感じる ・向かうところ敵なしだった彼も、さすがに年には勝てず凋落の秋を迎え引退した
「凋落の一途を辿る」は「どんどん凋落していく」という意味でよく使われます。
「凋落の秋」は「凋落」と同じ意味で例えに使われることも。
勢いがあったものにしか使わない
「凋落」はかつては勢いがあったものが落ちぶれる様を表す表現です。そのため一度も力、人気等がなかったものに使うことはできません。
例えば、「お笑い芸人として人気が出ることなく凋落していった」という表現は誤りです。
「凋落」と「没落」の違い
「凋落」と似た言葉に「没落(ぼつらく)」があります。二つの表現に違いはあるのでしょうか。
・凋落⇒人や物が落ちぶれること ・没落⇒国家や家が落ちぶれること
どちらも「落ちぶれる」のには違いありませんが、「没落」は特に国家や家などの勢いが失われる、破産する様を指すことが多いです。「没落貴族」と言えば権力や地位、財産などを失って勢いがなくなった貴族のこと。
「凋落」のように徐々に衰えていくというニュアンスもないため、急に落ちぶれた人や物に対して使うことも。不倫騒動で一夜にして人気を失った芸能人の話題には「凋落」よりも「没落」の方がふさわしいと言えます。
「凋落」のその他の類語
「没落」以外の「凋落」の類語表現も確認しておきましょう。
・衰退(すいたい) ・転落(てんらく) ・失墜(しっつい) ・破滅(はめつ)
「凋落」はそれほど使う表現ではないので、あえて使うとオーバーな感じになるかもしれません。そんな時はよく使う表現に言い換えることで自然に聞こえます。
「凋落」の英語表現
「凋落」は英語ではどのように表現できるのでしょうか。
If America goes down, the free world will go down too ⇒もしアメリカが凋落すれば自由世界も凋落するだろう
「go down」で「凋落」を表しています。アイドルやスターの人気がなくなったと言いたいときは「no longer popular」とすることで表現可能。
「凋落」から学ぶ
『平家物語』にも「盛者必衰の理をあらわす(栄えた者も必ず滅びる)」とあるように、どんなに調子がよさそうに見えるものでもいつかは滅びます。それが早いか遅いかの違いです。
凋落した物を見下すのではなく、明日は我が身と学ぶ姿勢でいることが大事です。