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大手企業では珍しくない「出向」。派遣や転籍など、他にも似たような制度はありますが、違いはご存じですか?今回はビジネスパーソンが知っておくべき「出向」の意味や使い方、類義語・対義語や英語表現についてくわしく解説します。
出向の意味
出向は人事異動の一種で、会社に籍を置いたまま、関連会社や取引先での勤務を命じることを指します。
所属している会社=出向元、勤務する会社=出向先と呼びます。通常、雇用主は出向元のままですが、業務上の立場は出向先の社員と同一です。
出向の辞令を受けた社員は、出向先や期間、待遇や復職後の条件等を記載した契約書や通知書を出向元と取り交わします。
・部下に出向を言い渡す
出向時の待遇は?
出向の条件はケースバイケース。具体的な内容は会社によって違うので、いざ出向を命じられた場合は、慎重に確認しましょう。以下に一般的な事例をご紹介します。
出向の期間
期間は、出向の目的によっても変わります。数か月で終了する場合もあれば、数年に及ぶことも珍しくありません。また、途中で期間が変更になることもありえます。
在籍型か移籍型か
出向には一般的に在籍型と移籍型の2種類があります。
出向中、あるいは出向期間終了後の雇用関係がどうなるかは、その後のキャリアにも大きく影響する問題。必ず確認しておくべき条件の1つです。
出向中の給与
給与については出向先に合わせるのが一般的です。ただし、従前の出向元の水準を考慮して決められることも多いようです。
出向=左遷ではない
出向というと左遷と同義ととらえる人がいますが、そもそも意味が違います。
企業によっては、出向を左遷や雇用調整の目的で行うケースがあるのは事実です。しかしながら、そうしたネガティブなケースばかりではありません。人材交流や情報交換、育成や業務支援など、さまざまな目的で出向を活用している企業も多いのです。出向=左遷という先入観は、一概に正しいとはいえないのです。
出向の類語
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多くの企業の人事制度では、出向とよく似た複数の手法が採用されています。ここでは「出向」の類語を解説します。
派遣
「派遣」も所属元とは別の場所で勤務するという意味で、出向とよく似た制度です。
違いは業務命令を出す主体。出向の場合は出向先、派遣の場合は派遣元(もともとの所属)からの業務命令に基づいて勤務します。
配転・転勤
「配転」は配置転換のこと。同じ会社内で所属部署や業務内容を変更することを意味します。「転勤」は勤務地が変わること。
出向が別の会社で勤務するのに対し、配転・転勤は勤務地や業務がかわっても、勤務する会社は同一です。
・仙台営業所から大阪支店に転勤することになった
転籍
上述した移籍型出向により、出向先と雇用関係を結ぶことを「転籍」と呼びます。転籍すると、出向元との雇用関係は終了となります。
出向の対義語は?
出向を終えて出向元で勤務を再開する、いわば出向の対義語にあたる表現に「帰任」「出向復帰」があります。会社によって使用する用語はまちまちで、これ以外の呼び方をしているケースもあるかもしれません。
・出向復帰後の所属部署を人事部に確認する
出向の英語表現は?
出向を英訳する場合、複数の表現があります。「loan=貸し出す」「assign=割り当てる」「second/secondment=派遣、一時配属」いずれかを使った言い回しが一般的です。
・I am on loan to Company A.(/from Company B.)
・I am assigned to Company A.(/from Company B.)
・I am seconded to Company A.(/from Company B.)
・I am on secondment to Company A.(/from Company B.)
なお「second/secondment」は英国式表現で、より公式な印象です。
「出向者」についても同じ単語を使って表現できます。
・an assigned employee
・a seconded employee
「employee」は「worker」に置き換えてもよいですが、前者の方が「会社員/被雇用者」というニュアンスが伝わります。
カジュアルな会話なら「temporarily=一時的に」を使った平易な言い回しもよいでしょう。
I am temporarily working for this company.
人事制度を理解しておこう
出向は会社の規模や業態、職種によっても大きく内容が異なります。そもそも自分は出向に縁がないと思っている方も多いかもしれません。が、状況は常に変化するもの。いざその立場になってから慌てないよう、自社の人事制度はよく確認しておきましょう。